【やってないことに誰も気づかない】傍観者効果を考慮して保育現場の人数が適正かどうかを見直してみる

あなたは、「傍観者効果」という言葉を知っていますか?「自分以外にも傍観者がたくさんいる時に、率先して行動を起こさなくなる」という、集団心理の一つだそうです。これを保育現場に当てはめてみると、問題点の改善方法を見付けやすい…ということを、具体例を挙げて考えてみますね。特に適正な人数を考える時に役に立ちそうです。

傍観者効果とは

「傍観者効果」は心理学の用語なので、引用してしまいますね。

傍観者効果(ぼうかんしゃこうか、英語: bystander effect)とは、社会心理学の用語であり、集団心理の一つ。ある事件に対して、自分以外に傍観者がいる時に率先して行動を起こさなくなる心理である。傍観者が多いほど、その効果は強力なものになる。

これは、以下の3つの考えによって起こる。

  1. 多元的無知 – 他者が積極的に行動しないことによって、事態は緊急性を要しないと考える
  2. 責任分散 – 他者と同調することで責任や非難が分散されると考える
  3. 評価懸念 – 行動を起こした時、その結果に対して周囲からのネガティブな評価を恐れる
引用:Wikipedia

専門的な言葉について考えると難しくなるので置いといて、「他者が積極的に行動しないことによって、事態は緊急性を要しないと考える」「他者と同調することで責任や非難が分散されると考える」「行動を起こした時、その結果に対して周囲からのネガティブな評価を恐れる」ということは、事件ばかりでなく、何かの仕事をする場合にも関係が深いと思いませんか?

コーヒーショップでのマニュアル外の対応の話

では、仕事でも同じことが起こるという具体的な例を挙げますね。

先日、あるコーヒーチェーン店に行ったんですよ。先に会計を済ませてから品物を受け取り、それから席に着く…というタイプの店でした。注文した時に、「今、(ある事情があって)コーヒーを淹れるのは4分ほどかかりますがよろしいですか?」「コーヒーは後から席に届けます」と言われ、他の品物を受け取る際にも、「コーヒーは後から持っていきますね」というように言われました。

しかし、何分経ってもコーヒーが届けられることはありませんでした。しばらくして、コーヒーを持ったお客さんが近くの席に座ったのを見たので、「やっぱり忘れているんだろうな」と思い、コーヒーが届いていないことを伝えに行ったんですよ。お客さんの流れが途切れていたので、スタッフのみなさんは手を止めて話をしている様子でした。

「コーヒーをまだ届けてもらってないんです」ということを伝えた瞬間、店長らしき人が「申し訳ございません。カフェラテ、リンゴジュース、○○ドーナツとコーヒーを頼んだお客様ですね」と言われ、すぐに持ってきてくださいました。

父親と女の子2人という、ちょっと珍しい組み合わせで、私の見た目も特徴あるので、届ける相手が分からなくなったということは考えにくいです。これ、店長さんの反応から想像すると、特に忙しくない状態で、把握しながら誰もやってなかったパターンかなと思います。事件ではないですが、傍観者効果のようなものですね。

今後どう対応するか

「時間がかかります」「後から席に持っていきます」という部分は、おそらくマニュアルで決まっているんですよ。ここから先は本当に想像でしかないのですが、もしかすると、受け渡し口で「後から持っていきます」と言った人が責任もって対応するということは決められていないのかもしれません。決められていたとしても、他のお客さんの対応をしている間に忘れる可能性があるので、2人組を作って確認し合うようにすれば、忘れてしまう可能性も低くなります。

こんなことまで考えると細かくて仕方ないとも思いますが、保育の現場だと、あらゆることが子どもの安全につながるので、細かすぎるくらいでも足りませんよね。ということで、保育の配置基準について考えてみますね。

保育の配置基準を傍観者効果で考える

さて、国で示されている配置基準とは別の、独自の手厚い配置を行っている県や市があります。保育士不足が叫ばれる中、本当にありがたい話なのですが、人数が増えることにより傍観者効果のような現象も見られているようです。

たとえば、子どもが転んでも誰も反応しない。または、ずいぶん経ってから反応する。反応する人はいつも決まっていて、床に根を下ろしたかのように座りっぱなしの人がいる。ということが起きているそうです。「他者が積極的に行動しないことによって、事態は緊急性を要しないと考える」ということそのものですよね。

「他者と同調することで責任や非難が分散されると考える」…なんてことは考えていないと思っているかもしれませんが、実際に「同調して同じように反応しない」という状況になっています。もしかすると、まだ若い保育者であれば、動きたい気持ちはあるけれど、「行動を起こした時、その結果に対して周囲からのネガティブな評価を恐れる」ということになっているかもしれません。

これはあくまでも一部の園の話であって、人数が増えた分だけ、一人一人の子どもに応じた適切な支援を行っている園も当然あります。人数が増えること自体は良いことなのですが、その増やし方に工夫が必要です。

できる園とできない園との違い

県や市ではなく、法人独自で保育士の人数を増やしているところもあります。その場合、園全体で仕組みを整えながら、どれだけの人数が必要かを考えてやっているんですよね。それに対して、県や市の取り組みで一律に配置基準を改善した場合、「単に人手が増えた」になってしまう園があります。そこで、適切な支援を行えるようになる園と、むしろ人数が少ないときよりも動かなくなってしまう園に分かれてしまいます。

ここで考えたいのが「傍観者効果」に関連して行われた実験です。

この実験では、学生を2名、3名、6名のグループにわけて、相手の様子が分からないようにマイクとインターフォンのある個室にそれぞれ一人ずつ通す。その後グループ討議を行わせ、1人が途中で発作を起こす演技をするというものであった。

この時、行動を起こすかどうかを確認し、また、その時間を計測した。結果として、2名のグループでは最終的に全員が行動を起こしたのに対し、6名のグループでは38%の人が行動を起こさなかったことが確認された。

引用:Wikipedia

2名のグループでは全員が行動を起こしたということがヒントになりそうです。

多いところでは、30人以上の1歳児や2歳児を6人の大人が見ている…というような園もあります。その状態で、さらに大人の数を2倍にするなどということをすると、そのうち何人かは子どもを見ていなくてもなんとかなってしまう状況になるであろうことは、容易に想像できます。

保育士の人数を増やすことは悪いことではありません。必要なことです。その際、単にふやすのではなく、コーナーを設けて場を仕切る、担当する場や子どもを決める、バディを組んで少人数で保育をしている意識を持てるようにするなど、それぞれの園に合った工夫が必要ですね。

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ABOUTこの記事をかいた人

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