子どもがスーパーであちこちの商品に触ろうとする――そんなとき、つい「触らないで!」と言ってしまうことはありませんか?
「脳は否定形を理解するのが難しいから、『走らないで』より『歩こうね』がよい」という話は、保育や子育ての現場でよく聞かれます。しかし、「じゃあ他の場面ではどどう言うの」と思うと、なかなか難しいものです。
保育者・保護者のリアルな声
X(旧Twitter)で「スーパーで『触らないで』の代わりに、どんな言葉をかけていますか?」と投稿したところ、たくさんの実践例と共感の声をいただきました。
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「見るだけね~」をよく使います
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「買うときだけね」「買うもの決まったらお願いしていい?」
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「触ってみる?いいよ、こっちはね」など、触ってよいものを提示する
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意識はしているけれど、言い換えは難しい!
否定ではなく、どうしたらいいかを伝える
「○○しないで」と言われても、「じゃあどうすればいいのか」が子どもには分からないことがあります。
たとえば「投げないで」と言われても、投げずにどうすれば良いのかが分からないのです。
子どもには、やってほしいことを伝えましょう。
否定の言葉 | 言い換えの例 |
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触らないで | 見るだけにしようね/買うときだけ持とうね/触りたい時は教えてね |
投げないで | 置こうね/戻してね/これなら投げていいよ(投げて良いものを渡す) |
走らないで | 歩こうね/ゆっくり行こうね/あっちで走ろう |
登らないで | 待っててね/ここなら登っても大丈夫だよ |
事前の工夫で「触りたい」が起こりにくくなる
環境を変えることで、注意の声かけ自体が必要無くなることもあります。
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カートに乗っていると、商品に手が届きにくい
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子どもは通路側、大人が棚側を歩くと、興味の対象に触れにくくなる
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子どもが買い物袋やメモを持つことで、意識がそちらに向かう
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「あれ?次は何買うんだっけ?」と目当てのものを一緒に探すと、意識がそちらに向かう
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「これ買うから、大事に持っててくれる?」と“担当”をお願いすされると、意識がそちらに向かう
とっさの言い換えは、慣れと引き出しの数がカギ
「わかっていても、言い換えが出てこない」
「つい、自分が子どもの頃に言われた言葉を繰り返してしまうのでは」
そんな声も頂きました。
でも、日常の中で少しずつ語彙を増やしていくことで、言葉の選び方に余裕が生まれてきます。
- 「ゆっくりね〜」(そっと触れば大丈夫そうな場合)
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「優しくね」(そっと触れば大丈夫そうな場合)
- 「見るだけでがまんできるかな?」(後で触ることができるものがある場合)
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「あとで買うもの教えるね」(後で触ることができるものがある場合)
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「〇ちゃんが触っても良さそうな物を探そうか」(後で触ることができるものがある場合)
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「これ欲しいの?買うかどうか相談しようね」(買わない物を返すことが納得できる場合)
まとめ:語彙が行動を支える
「否定形を使わずに伝える」ことは、技術があればできることです。経験が少なかったとしても、伝える言葉をいくつも知っていれば、使える言葉の引き出しも増え、それに伴い、子どもが学ぶ表現や行動も増えていきます。
ぜひ、日々の中で「どんな言い換えができるかな?」と意識してみてください。
日々の言葉選びに悩む方へ──連絡帳の書き方・文例集のnoteはこちら
この記事のように、何気ない一言から膨らませて語彙を増やす、連絡帳の書き方と文例をまとめたnoteの記事があります。
連絡帳は、
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指導計画
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おたより
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要録(保育要録)
といった保育実務すべてにつながるもの。
言葉の選び方一つで、保護者との信頼も深まっていきます。
連絡帳のnoteで伝えていること
このnoteは、「一人ひとりの子どもを見る目を深める」ための文例集です。
📌 「書き出し」→「具体的な子どもの姿」→「その姿から読み取れる育ち」
という3文構成で、子どもを見る視点が自然と増えていくように書いています。
📌 活動別でも年齢別でもなく、
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「なんとなく過ごしている時間」
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「給食を待っているとき」
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「保護者がちょっと心配しがちな行動」
など、日々の何気ない瞬間から子どもの育ちをことばにするヒントを満載しています。
📌 そして何より、保護者さんに
「うちの子のこと、こんなふうに見てくれてるんだ」
と思ってもらえるような、あたたかくて信頼される連絡帳をめざしています。
1人分の連絡帳が“1分”で書けるように
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迷いなく言葉が出てくる「視点と文例」がぎっしり
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書き写すだけじゃなく、自分のことばで書けるようになる構成
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書く時間は短く、でも内容はしっかり
1人分を1分で書くことを目指す連絡帳の書き方
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