【いつまで?どこまで?最後まで?】「見守る」をやめるタイミングを子どものケンカで考える

なぜ他の援助ではなく見守るのでしょうか?いつまで見守りますか?「見守る」の次の手は考えてありますか?これらの質問をされたとき、あなたは答えることができるでしょうか。ということを考える記事を以前書きました。その記事の中で、お伝えした、「見守る」からの次の働きかけのタイミングについて、子どものケンカを例に考えてみます。

以前書いた記事はこちら
保育者の援助「見守る」を考えると保育が変わる

見守るのはなんのため?

まず、なんのために見守るのかを確認しますね。

  • 安全のため
  • 子どもの発達を理解するため
  • 遊びの展開を予想するため
  • 働きかけの最適なタイミングを計るため
  • 子どものやる気や安心のため

それぞれについて、保育者の援助「見守る」を考えると保育が変わるの中でお伝えしました。今回は、4番目の「働きかけの最適なタイミングを計るため」について、子どものケンカの場面を例にして、具体的に考えます。

子どものケンカをどこまで見守るか

子どものケンカを見守るときに、安全のことを考えると、すぐにでも止めたくなるかもしれません。でも、そこはちょっと我慢しましょう。もちろん、「手や足が出て危険」というときには止めますが、少々のぶつかり合いは必要です(身体の接触という意味のぶつかるではなく)。保育所保育指針解説には次のように書いてあります。

道徳性・規範意識の芽生えは、領域「人間関係」などで示されているように、保育所の生活における他の子どもとの関わりにおいて、自分の感情や意志を表現しながら、時には自己主張のぶつかり合いによる葛藤などを通して互いに理解し合う体験を重ねる中で育まれていく。

引用:保育所保育指針解説

言葉での伝え合いにもつながるんですけど、「幼児期の終わりまで育ってほしい姿」の、道徳性・規範意識の芽生えともつながっているんですよ。子どもが育つのに自己主張のぶつかり合いからの、互いを理解し合う体験が必要なんです。しかも、「重ねる中で」という記載もありますね。

ケンカは基本的に見守り、安全でなさそうなら止める。

これが「いつまで見守るか」の一つの基準となりそうです。でも、安全のために止められても、子どもたちは納得していないでしょう。「伝わらない」「分かってもらえない」「どうしたらいいんだろう」という葛藤にはなりますが、理解し合うことにはなりません。強制的に止められるほどに安全ではないのであれば、かなり興奮して、「感情や意思を表現」だけではなくなっているかもしれません。

たとえば、小学生くらいになると、「そんなこと言ってないし!」「いや!言った!絶っっっ対言った!」「絶対言ってないですぅ~(笑)」というような、不毛な言い争いをするような姿もあります。このような言い合いは、どれだけ続けても問題の解決にはつながりませんし、建設的な「感情や意思を表現」ではありませんよね。単に、相手の言っていることを否定し合っているだけです。さらに、相手自身を否定することにもなっていくでしょう。

このような状態の時、手が出そうになるまで待ち続けますか?「最後まで見守る」の「最後まで」は、そんな意味ではないですよね。分かりやすいように、小学生の言い合いを例に出しましたが、幼児同士でも似たようなことはあります。子どもと大人でもあります。解決に向かわない言い合いが続くときがそうです。

「使わせて!」「絶対ダメ!」という玩具の取り合いも、「僕が早かった」「私の方が最初からいた」という「一番がいい」の取り合いも、「声の大きい方が勝つ」になることが多いです。どちらも譲らないなら、終わりはありません。周りに止められて終わったとしても、納得いかずに嫌な思いを何日も引きずっていることもあります。

「嫌な思いをしたよね」「どうすれば良かったかな」と、冷静になってから解決策を考えるのも一つの方法です。ただ、過ぎたことを思い出して解決策を考えるのって、子どもの発達的に難しいんですよね。「今日は何して遊んだ?」という質問にさえ答えることができない場合も多々ある幼児のことです。ケンカした時の、なんとなく嫌な感情を思い出すことはできても、上手い解決策は出てこないかもしれません。

ケンカのときは、嫌な思いをすることを経験させたい…なんて人はいませんよね。終わらない言い合いになりそうなら、その前に、互いが納得いくように導いても良いのではないでしょうか。

ケンカは基本的に見守り、互いの理解につながらなさそうであれば、言葉を添えたり代弁したりする

ここまで長々と書きましたが、これが絶対の正解ではありません。自分の中での「ここまで見守る」の基準をハッキリもって(もちろん、それが適切だったか常に振り返りながら)子どもを見守っていきましょう。

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保育塾代表
2人の娘の父親
公立幼稚園・幼保園・大学の附属幼稚園で勤務の後、保育塾を立ち上げる。
ラッパ吹き。小学生を中心に、20年以上いろんなバンドを指導しています。

保育士・幼稚園教諭のみなさんが、ほんの少しだけ余裕をもって仕事ができたら、プラスの循環が生まれます。

ほんの少しだけ余裕をもって仕事ができたら、ほんの少しだけ子どもが落ち着いて、そうするとまた、ほんの少しだけ余裕ができて、効率良く仕事ができる方法を調べたりして・・・

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ABOUTこの記事をかいた人

管理人のUCHI(うち)といいます。 公立幼稚園、幼保園、大学の附属で働いていた元幼稚園教諭。 現在、島根保育塾代表。仕事を効率化するだけなら簡単です。しかし、保育の質を落とさず(むしろ上げながら)効率化することは、現場を経験した人間でないと、なかなか上手くできません。「保育の質を上げる」「労働時間の短縮」これを両立させるための記事を書いていきます。あなたの園に合わせた方法を知りたい人は、お問い合わせくださいね。