HSP(HSC)の子どもへの具体的な配慮と接し方




HSP(HSC)って知ってますか?

もし、あなたが保育士や幼稚園・学校の先生であれば、ぜひHSP(HSC)のことを知っておいてください。インクルーシブ保育・教育にも関係あることです。

HSP(HSC)を知った上で、子どもへの接し方を振り返ってみましょう。

HSP(HSC)って何のこと?

HSPとは

アメリカの心理学者が提唱した概念で、
Highly Sensitive Person(ハイリーセンシティブパーソン)
を略したものです。

人一倍敏感な人

という意味です。

HSPは、
子ども時代からそのような傾向が見られることから、
HSC(Highly Sensitive Child)という概念も提唱されています。

5人に1人はHSP(HSC)であると言われています。

けっこうな人数ですよね。

でも、少数派なので、理解されづらく、生きづらさを感じてしまいます。

なぜHSP(HSC)とインクルーシブ保育・教育が関係あるのか

HSPは生まれ持った「気質」であり、病気などではありません。

でも、インクルーシブ保育・教育と関係あるんです。

というより、この記事を読んでいるあなたに、

「HSPの子どもに対する接し方は、インクルーシブ保育・教育で言われていることと同じようなもの」

という認識を持っていただきたいのです。

また、知っておいていただきたいのは、HSPは発達障害と誤解されやすいことです。HSPは感覚が敏感なために(周囲の物音をうるさく感じる。味覚、嗅覚が鋭い。肌触りに敏感でチクチクしたものが苦手など)、発達障がいの「知覚過敏」と一見似ているようです。
実際、私自身も周りの人との違和感のため、「自分は発達障がいなのではないか」と思っていました。
しかしHSPと発達障がいは異なるといわれます。
最も大きな違いは、発達障がいの子どもは人の気持ちを酌むのが苦手なことが多いのに対して、HSPは、むしろ人の気持ちに気づきすぎるほど気づく点といわれます。
※詳しく知りたい方は、『ひといちばい敏感な子』(エレイン・N・アーロン著、明橋大二翻訳)のp63~p68をご参照ください。

出典:1万年堂ライフ HSPとはどんな人?「何となく生きづらい」と悩んでいる人へ

HSPは、「発達障がいと誤解されやすい」くらいに、発達障がいの「知覚過敏(感覚過敏とも言います)」と似ているんです。

これが、
「HSPの子どもに対する接し方は、インクルーシブ保育・教育で言われていることと同じようなもの」という認識をもってほしい理由です。

「HSPは、むしろ人の気持ちに気づきすぎるほど気づく」という点で、発達障がいをもった子どもよりも、さらに大変な思いをしていることもあるんです。人によって症状は違うので、一概には言えませんが。

ピンとこない人、「また大げさなこと言って」などと思った人、いますよね。

そんな人にこそ、HSPを知ってほしいんです。

HSPって、刺激から感じるストレスの多さで、登校拒否や不登校になることもあるんですよ。

「発達障がいの子どもがクラスにいないから」といって、配慮をせずに、どの子ども達にも同じように接していたら、5人に1人いるHSPの子ども達にストレスを与えていることになります。

HSPの子どもが何を感じてどんな姿があるか

「HSPの子どもが、日常生活で、いろいろなことをどう感じているか」「その結果、どのような姿を見せる可能性があるか」ということを考えてみましょう。

ただ、
同じHSPだとしても、人によって感覚は違うので、一人一人の子どもに合わせた対応が必要です。

話し声や視線にストレスを感じる

誰だって、苦手な音、不快な音ってありますよね。たとえば、黒板を引っ掻く音とか。小さい子どもだと、太鼓や花火の音が苦手なことがありますよね。

HSPの場合、他の人には全く気にならないはずの、人の話し声が苦痛になることがあるんです。そして、人の視線を感じすぎてしまうこともあるんです。だから、集団の中にいることが苦手です。

もちろん、「友達と一緒にいたい」という気持ちもあるので、苦痛に感じない場合は一緒にいたいんです。

でも、「あえて1人になりたいこと」って、なかなか理解してもらえません。親も先生も、子どもがいつも1人でいることを、とても気にしますよね。

自分を理解してもらえないから、さらにストレスがたまります。打ち明けたのに「気のせい」「気にしすぎ」などと言われると、自信がなくなってきます。

あなたは、1人でいたい子どもに、理由も聞かずに、他の子どもたちと一緒に行動することを求めていませんか?

特に、小さい子どもの場合、自分で説明することができません。
ですので、保育者、先生が、「この子どもは、何らかのストレスを感じているかもしれない」ということを考える必要があります。

たとえば、みんなで集まるときに輪の中に入ろうとしない子どもがいますよね。その場合、次のような配慮をすることができます。

1カ所に集まる前の段階で、その子どもがどのような様子なのかを確認する。
みんなと距離を置いているのなら、その日は他の子どもと近くにいたくないのかもしれません。反対に、みんなと距離を置いているのは、自分でリフレッシュしているからで、集まるときにはなんとか頑張れるのかもしれません。

視線が気になるのであれば、先生の方を向いて集まれるようにする。
子ども達が、互いの顔を見て話をするために、グループで輪になることがありますよね。人数が少なければ、クラス全員で輪になることもあります。でも、輪になって集まると、視線を苦痛に感じる子どももいます。

集まるときには、静かに活動に入れるようにする。
たとえば、集まったときに、ちょっとしたゲームをすることがありますよね。
視線が気になる子どもにとっては、みんなが先生に集中していることはありがたいです。
でも、ゲームが盛り上がって、賑やかになると、声が気になる子どもにとっては苦痛です。

子ども達がくっつかなくてもすむように、集まるスペースを考える。
特に小さい子どもの場合は、ギューッとくっついていると可愛いし、それで安心できる子どももいます。でも、くっつくことを苦痛に感じる子どももいます。「頭や顔を触られるのが嫌」「隣の子どもの髪が当たる感触が我慢できない」など、何を苦痛に感じるかは、それぞれ違います。

先生の話に対して敏感に反応する

HSPの子どもは、「人の気持ちに気づきすぎるほど気づく」ため、先生の話に対しても、とても敏感です。

だから、他の人にとっては、ほとんど気にならない言葉にも敏感に反応して、何日も引きずることがあるんです。

たとえば、A君のことを叱っているのに、隣にいるB君の方が泣きそうな顔をしていることがありませんか?B君は、A君以上に、A君の気持ちになってしまうことがあるんです。この場合、次のような配慮をすることができます。

できるだけ叱らない。
叱るべき場面と、叱らなくてもすむ場面がありますよね。本当に叱らなければならないことなのか、もう一度よく考えてみましょう。

A君だけを叱る。
みんなの前でA君を叱る必要があるのかを考えましょう。みんなの前で叱られるのは、誰だっていい気持ちはしないはずです。A君だけに伝えればすむことであれば、B君や他のみんながいないところでA君に伝えましょう。

前もって伝えたりアフターフォローをしたりする。
どうしても、みんなの前でA君を叱らなければならない場合は、事前にそのことをB君に伝えて、心の準備ができるようにしましょう。また、「みんなが分かってくれたから、もうこの話は終わりだよ。」などと、気持ちを切り替えられるように言葉をかけましょう。

他にも、
「絵本の主人公と同じ気持ちになり、トラウマになる可能性もあるため、怖い話の絵本はB君が休んでいるときに読む」
「音楽や体育で、視線が苦痛な場合は、1人ずつやグループで順番に発表することはやめて、みんなで一斉にやるようにする」
などの配慮をすることが考えられます。

「これらの配慮を、いつも全てしなければならない」ということではありませんよ。それぞれの子どもで、感じ方は違います。日によって、調子のよい日と悪い日もあります。HSPの子どもだったとしても、「よく行く店の、エアコンの室外機の音が我慢できない」ということであれば、保育所や学校での生活には苦痛を感じない場合もあるでしょう。

必要なのは、一人一人に合わせた対応です。

まとめ

HSPとは「人一倍敏感な人」です。

感覚過敏ですが、発達障がいではありません。

人の気持ちに対しても、ものすごく敏感なので、時として、発達障がいをもった子どもよりも大変な思いをしていることもあります。

5人に1人はHSP(HSC)であると言われています。それだけ、生きづらさを感じている人がいるということです。

保育所保育指針解説には、「一人一人」という言葉が200回以上出てきます。ですので、HSPのことを知らなくても、すでに上で紹介したような配慮をしている人もいるでしょう。

今まで気にしてこなかった人は、一人一人に合わせた配慮について、考えてみましょうね。

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
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ABOUTこの記事をかいた人

管理人のUCHI(うち)といいます。 公立幼稚園、幼保園、大学の附属で働いていた元幼稚園教諭。 現在、島根保育塾代表。仕事を効率化するだけなら簡単です。しかし、保育の質を落とさず(むしろ上げながら)効率化することは、現場を経験した人間でないと、なかなか上手くできません。「保育の質を上げる」「労働時間の短縮」これを両立させるための記事を書いていきます。あなたの園に合わせた方法を知りたい人は、お問い合わせくださいね。