【連絡帳が書けない…】ペンが完全に止まってからでも10の姿を書いてなんとかする話

連絡帳これ以上ムリ。

全く進まない…

と思ったことがある方いませんか?

いますよね。

この記事では、連絡帳を書いていてペンが完全に止まったとき、その状態からでもなんとかなるどころか、今までよりもグレードアップした内容になる方法をお伝えします。

本当に完全にペンが止まってしまった方向けの記事なので、この記事を読む前に、前編である以下の記事を読むことをオススメします。
【1人1分!】ペンが止まったところから3倍書ける連絡帳の書き方

最終的に目指すのは1人分の連絡帳を1分で書くことです。1人当たり3分で書いても、20人分だと1時間かかります。20人分を20分で終わらせたいと思いませんか?

連絡帳には10の姿を書く

「今日はみんなで跳び箱をしました。とっても張り切って何度も挑戦していたA君でした。」

【1人1分!】ペンが止まったところから3倍書ける連絡帳の書き方では、これだけしか思い浮かばない状態だと仮定し、子どもの姿を思い出すための6つの視点と、50通りほどの例文をお伝えしました。この書き方を身に付けて、「跳び箱」を「鉄棒」や「給食」、「帰りの準備」などに変えていけば、書くことは何倍にでも増やせます。

でも、全くペンが進まなくなるという状況もありますよね。そのようなときは10の姿の力を借りましょう。

全くペンが進まないときは展望を書く

「本当に1文字もペンが進まない」「カケラも思い出せない」という状況は、誰しもあることです。が、そのような状況でもなんとかなる方法があります。それは、これから先の展望を書くということです。「こんな風に育ってほしい」「こんなことをしていきたい」ということを書けば、今日の姿を詳しく思い出せなくても形になります。

保育の展望は、本当なら、普段から伝えれば良いことですが、あまり書きすぎると、書く方も読む方も負担になります。ですので、ペンが止まったときに普段とは違うことも伝えるくらいが調度良いのかもしれません。

解説書の文章を参考にして書く

「こんな風に育ってほしい」「こんなことをしていきたい」という、あなたの思いを伝えるだけでも形にはなります。さらに、「保育指針解説にも書いてあります」と言えると、説得力がケタ違いです。同じ書くなら、解説書に書いてある言葉を借りて、10の姿に絡めた文章を書きましょう。まずは、この記事の例文を写すところから始めて、余裕ができてきたら保育指針解説や教育要領解説を読んでみてください。

まず「10の姿」とはなんでしょう

保育塾のサイトでは、様々な記事で10の姿についてお伝えしています。30記事ほどあり、全てを紹介するとキリがありませんので、主なものだけを紹介します。要録と絡めたものなど、その他の記事を見たい方は、以下の記事のリンク先を読んでみてください。

これほどたくさんの記事で10の姿について書いているのは、主に次の事を伝えたいからです。

保育指針の解説に書いてある「10の姿」

特に卒園を迎える年度の後半に見られるようになる姿である。

(中略)

実際の指導では、「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」が到達すべき目標ではないことや、個別に取り出されて指導されるものではないことに十分留意する必要がある。

出典:保育所保育指針解説
※幼稚園教育要領解説、幼保連携型認定こども園教育・保育要領解説にも同じように書いてあります。

「卒園を迎える年度の後半」ですよ。

そして

「到達すべき目標ではない」ですよ。

到達すべき目標じゃなかったらなんなの?

では10の姿とは何かというと、あくまでも子どもの姿の1例です。「卒園を迎える年度の後半には、こういう姿が見られるようになってきますよ」という例なんです。でも、「到達すべき目標ではない」ということなんですよ。「目の前の子どもの姿や気持ちを大事に保育をした結果、10の姿みたいな姿に向かって行く」なんです。到達しなくても、その手前でもOKです。

10の姿に囚われて、目の前にいる子どもの実態を見失うようなことは避けたいものです。

「そんなこと言われても難しい…」と感じる方が多いのではと思います。まずは、実際に解説書に書いてある言葉を使って連絡帳を書くとどうなるか、読んでみてください。

※保育所保育指針解説、幼稚園教育要領解説、認定こども園教育・保育要領解説には、10姿について共通のことが書いてあります。

10の姿の「健康な心と体」はこう書く

10の姿には「健康な心と体」というものがあります。

ア 健康な心と体
保育所の生活の中で、充実感をもって自分のやりたいことに向かって心と体を十分に働かせ、見通しをもって行動し、自ら健康で安全な生活をつくり出すようになる。

出典:保育所保育指針解説
※幼稚園教育要領解説、幼保連携型認定こども園教育・保育要領解説にも同じように書いてあります。

保育所保育指針解説には、続けて具体的なことが書いてあります。その中に書いてある言葉を利用して、「今日はみんなで跳び箱をしました。とっても張り切って何度も挑戦していたA君でした。」につながる文章を紹介していきますね。まずは、「健康な心と体」に関するものです。

「健康な心と体」につながる例文

今日はみんなで跳び箱をしました。とっても張り切って何度も挑戦していたA君でした。この姿は、「繰り返し挑戦したり諸感覚を働かせ体を思い切り使って活動したりする」という姿です。保育所の生活で目指したい姿につながっていくんですよ。これからも、このような姿がたくさん見られるようにしていきたいと思っています。

今日はみんなで跳び箱をしました。とっても張り切って何度も挑戦していたA君でした。このような経験を積み重ねることで、充実感をもって自分のやりたいことに向かうようになっていくんですよね。A君が大好きな跳び箱を、これからもたくさんしていきます。

今日はみんなで跳び箱をしました。とっても張り切って何度も挑戦していたA君でした。心と体を十分に働かせていることが分かります。この姿は、遊びや生活に見通しをもって自立的に行動することにつながります。今はその下地が育っている時です。思う存分、跳び箱を楽しめるようにしていきたいです。

今日はみんなで跳び箱をしました。とっても張り切って何度も挑戦していたA君でした。子どもの主体的な活動を促す環境をつくるのが保育者の役目です。今日のA君の姿を見ると、その役目が果たせたかなと思います。これからも、A君が主体的に動くことができるよう、環境を整えていきたいです。

今日はみんなで跳び箱をしました。とっても張り切って何度も挑戦していたA君でした。子どもが自ら体を動かし多様な動きを楽しむことって、本当に大事なことです。小学校の学習における運動遊びや、休み時間などに他の子どもと一緒に楽しく過ごすことにつながるんですよ。ご家庭でも、十分に楽しんでくださいね。

今日はみんなで跳び箱をしました。とっても張り切って何度も挑戦していたA君でした。これって、自分の体を大切にしている姿なんですよね。自分のペースで、思う存分体を動かして楽しんでいますから。このような活動を積み重ねることで、年長の終わり頃に目指したい「自ら健康で安全な生活を作り出す」という姿が見られるようになります。

張り切ってなくても「健康な心と体」は書ける

今日はみんなで跳び箱をしました。跳び箱でも、慎重派でマイペースなA君です。「自分で気をつけたり休憩したりする」という姿は、「自ら健康で安全な生活を作り出す」という、保育所の生活で目指したい姿の1つにつながっていきます。A君のこのような姿、大事にしていきたいですね。

今日はみんなで跳び箱をしました。自分なりの跳び方を楽しんでいるA君です。「楽しむこと」は本当に大事なんです。様々な活動を十分に楽しんだ経験は、小学校生活の様々な場面で、伸び伸びと行動する力を育んでいきます。これは、保育所保育指針解説という本にも書いてあることです。明日からも、しっかり楽しんで遊んでいけるようにしていきます。

今日はみんなで跳び箱をしました。自分なりの跳び方を楽しんでいるA君です。この姿は、年長の終わり頃に「自ら健康で安全な生活をつくり出す」という姿につながっていくそうです。今は存分に跳び箱を楽しめるようにすることが大事だと、園長と確認をしました。しっかり楽しめるような環境にしていきます。

このように書くと、「普段見られるありふれた姿が、幼児期の終わり頃にはこんな姿になっていくんだ。」ということを保護者さんに伝えることができます。実は、これは思ったより簡単に書けるんですよ(慣れればですが)。保育所保育指針解説や、幼稚園教育要領解説に書いてある言葉を使っているだけです。

もちろん、目の前にいる子どもの姿は「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」そのものではないですよね。今の姿は、「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」につながる姿です。「つながっていきます」とか「このような経験を積み重ねることで」という言葉を入れると、「今の姿がこんな姿につながっていくんだ」ということが分かります。

10の姿の「自立心」はこう書く

10の姿には「自立心」というものがあります。

イ 自立心
身近な環境に主体的に関わり様々な活動を楽しむ中で、しなければならないことを自覚し、自分の力で行うために考えたり、工夫したりしながら、諦めずにやり遂げることで達成感を味わい、自信をもって行動するようになる。

出典:保育所保育指針解説
※幼稚園教育要領解説、幼保連携型認定こども園教育・保育要領解説にも同じように書いてあります。

保育所保育指針解説には、続けて具体的なことが書いてあります。その中に書いてある言葉を利用して、「今日はみんなで跳び箱をしました。とっても張り切って何度も挑戦していたA君でした。」につながる文章を紹介していきますね。今度は、「自立心」に関するものです。

「自立心」につながる例文

今日はみんなで跳び箱をしました。とっても張り切って何度も挑戦していたA君でした。このような、あきらめずに物事を最後まで行う体験を重ねることで、他の難しい場面に出合ったときにも、自分の力でやろうとする気持ちをもつようになるんですよ。これからも、A君が挑戦する姿を大事にしていこうと思います。

今日はみんなで跳び箱をしました。とっても張り切って何度も挑戦していたA君でした。このような姿は、卒園を迎える年度の後半には、「自分でしなければならないことを自覚する」という姿につながっていくんですよ。A君の張り切る気持ち、大事にしていきたいです。

今日はみんなで跳び箱をしました。とっても張り切って何度も挑戦していたA君でした。子どもは「自分の力でやろうとする」「あきらめずにやり遂げる」といった体験を通して達成感を味わうと、自信をもって行動するようになっていきます。存分に楽しんで、自分がやりたいと思ったことを達成する経験がたくさんできるよう、保育をしていきます。

今日はみんなで跳び箱をしました。とっても張り切って何度も挑戦していたA君でした。周りから応援されたり認められたりして、できるまで続けることって本当に大事なことです。達成感を味わって自信につながるからです。これから先も、今日のような経験をたくさん積み重ねることができるようにしていきたいと思います。

今日はみんなで跳び箱をしました。とっても張り切って何度も挑戦していたA君でした。今日のA君が見せた「何度も挑戦する」というような、子どものよいところを、最近は、クラス全体で認め合っています。さらなる自信につながって、小学校へ向かうことになると思います。

今日はみんなで跳び箱をしました。とっても張り切って何度も挑戦していたA君でした。小学校生活においての、積極的に取り組む姿や、意欲的に取り組む姿、粘り強く取り組む姿につながっていく姿です。これからも、今日のような姿がたくさん見られるようにしていきます。

「自分でしようとする」って、自立心へとつながるんですよ。小さい子どもが服を着ようとして上手くいかず怒り出すことも、「自分でしようとする」です。何でもないような日常の1場面でも、イヤイヤがすごくて困ってしまう姿でも、年長後半での自立心へとつながる姿です。

「今日はみんなで跳び箱をしました。とっても張り切って何度も挑戦していたA君でした。」これを基に例文を書いているので、「やり遂げる」とか「挑戦する」という言葉をたくさん使っています。スタートは「したい」「しようとする」です。子どもの気持ちを大事にしていきましょう。

張り切ってなくても「自立心」は書ける

では、「したい」「しようとする」を使って書くとどうなるか、読んでみてください。

今日はみんなで跳び箱をしました。とっても張り切って何度も挑戦していたA君でした。このような、あきらめずに物事を最後まで行う体験を重ねることで、他の難しい場面に出合ったときにも、自分の力でやろうとする気持ちをもつようになるんですよ。これからも、A君が挑戦する姿を大事にしていこうと思います。

今日はみんなで跳び箱をしました。跳べなくて泣いてしまったA君ですが…あきらめてしまったら泣くこともないんですよね。あきらめずに物事を最後までやろうとするから涙も出てきます。まずはこのような気持ちを大事にして、乗り越える経験を重ねることで、他の難しい場面に出合ったときにも、自分の力でやろうとする気持ちをもつようになるんですよ。これからも、A君の「やろうとする気持ち」を大事にしていきます。

今日はみんなで跳び箱をしました。とっても張り切って何度も挑戦していたA君でした。小学校生活においての、積極的に取り組む姿や、意欲的に取り組む姿、粘り強く取り組む姿につながっていく姿です。これからも、今日のような姿がたくさん見られるようにしていきます。

今日はみんなで跳び箱をしました。まだ触れて遊ぶくらいですが、A君は積んである跳び箱にも興味津々。この「してみたい」という気持ちは、小学校生活においての、積極的に取り組む姿や、意欲的に取り組む姿、粘り強く取り組む姿につながっていきます。これからも、A君のこのような気持ちを大事に保育をしていきます。

最後に

実は、今までしてきた話は、幼稚園の「教育課程」、保育所の「全体的な計画」にもつながる話です。この記事を基に、というか、保育指針解説、教育要領解説を基に、園全体で話し合いをできると良いですね。この記事は、今の時点で6000文字くらいなので、10の姿の全部を書くと30,000文字くらいになってしまいます。ということで、協同性の他、あと8つの姿は、また次の機会にお伝えします。

できることなら、園で例文を作成して、「目指す子どもの姿」につながる姿を考えるとか、新任の先生が連絡帳で困ったとき提示するとかしてもらいたいですね。続きを書いたらここにリンクを貼りますので、またチェックしてみてくださいね。

より実践的なことや、保育指導案の例文などを知りたい人は、「保育塾ベーシック」についての詳しい内容を読んでみてください。保育塾で取り組んでいることの1部を、無料のメルマガでお届けしています。

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保育塾代表
2人の娘の父親
公立幼稚園・幼保園・大学の附属幼稚園で勤務の後、保育塾を立ち上げる。
ラッパ吹き。小学生を中心に、20年以上いろんなバンドを指導しています。

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そんなプラスの循環の始めの一歩、小さな余裕を生み出すお手伝いをしています。あなたが読んだこの記事が、そんな始めの一歩になったら嬉しいです。

ABOUTこの記事をかいた人

管理人のUCHI(うち)といいます。 公立幼稚園、幼保園、大学の附属で働いていた元幼稚園教諭。 現在、島根保育塾代表。仕事を効率化するだけなら簡単です。しかし、保育の質を落とさず(むしろ上げながら)効率化することは、現場を経験した人間でないと、なかなか上手くできません。「保育の質を上げる」「労働時間の短縮」これを両立させるための記事を書いていきます。あなたの園に合わせた方法を知りたい人は、お問い合わせくださいね。