【保育所・幼稚園】3密を解消する環境設定のアイディア

「保育現場は3密です!」という悲痛な叫びが多く聞かれます。

確かに、決して広いとは言えない場所に大勢の子どもが集められ、子ども達みんながくっついてくる保育現場は「3密(「密閉」「密集」「密接」)」と言いたくなるのも分かります。

では、保育現場の3密を、できるだけ解消してしまいましょう。

この記事では、保育現場での3密を解消する環境設定のアイディアを、具体的な場面毎に紹介しています。この記事をヒントに、アレンジして自園に取り入れてみてください。

保育現場の3密とは?

保育現場での3密を解消するために、まずは3密について改めて確認してみます。

一般的に言われる3密

一般的に言われる3密については、検索したらすぐに出てきました。Weblio辞書からの引用です。

首相官邸と厚生労働省が作成公開したチラシでは「3密」を次の3項目の略として扱っている。

1.換気の悪い《密閉》空間
2.多数が集まる《密集》場所
3.間近で会話や発声をする《密接》場面

この3条件が揃う場所に身を置き、そして同じ場所に感染者が居合わせた場合、集団感染が発生するリスクが高いとしている。(むろん3密が揃わない限りは安心安全という意味ではなく、3密すべての要素が揃わなくてもリスクは生じる)

引用:Weblio辞書

保育現場での3密

一般的に言われる3密を基に、保育現場での3密を考えてみると、

1.換気の悪い《密閉》空間
→園によりますが、密閉空間って実はほとんど無いのでは?

2.多数が集まる《密集》場所
→多数ってどれくらいなんでしょう。保育室?全員が集まる遊戯室?

3.間近で会話や発声をする《密接》場面
→集まって歌う、話を聞く、給食(弁当)、ロッカーでのカバンの準備、一斉降園時に靴を履き替える、じゃれ合って遊ぶときなど

これくらいでしょうか。

実は、換気をし、大勢で集まらなければ「3密」の定義には当てはまりません。 首相官邸と厚生労働省は、保育現場を3密とは捉えてないのかもしれませんね。

しかし、保育現場によっては、建物の構造上の問題や近隣住民からの苦情がひどいなどの理由から、自由に換気も出来ない状態です。この緊急事態に、命の危険がある中で、自由に換気が出来ない状態は、何としてでも早急に改善されなければなりません。

では、改めて保育現場での3密を解消する方法を考えてみましょう。

保育現場の3密を解消する具体的な方法

3密のうちの1つ「換気の悪い《密閉》空間」については、こまめに換気をする、または、常にドアや窓を開けておくことで解消できます。ただ、先程述べたように、施設によっては自由に換気も出来ない状態です。各施設ごとの状況を1つずつ解決していくことは1記事内ではとてもできませんので、ここでは効率的な換気の方法についてだけ紹介します。

残りの2つ 「多数が集まる《密集》場所」「間近で会話や発声をする《密接》場面」を解消するためには、次の2つのことを考えてみましょう。

  • 集まること自体が必要かどうか
  • 集まり方を変えることはできないか

具体的な場面(カバンの準備、集まって絵本を読むなど)の一つ一つについて、「集まること自体が必要か」「集まり方を変えることはできないか」を考えていけば3密は解消していきます。

では、効率的な換気の方法と、子ども達が集まる一つ一つの場面について、具体的に紹介していきますね。

効率的な換気の方法

自由に換気ができるかどうかに関わらず、覚えておいて頂きたいのが換気の効率です。実は、単に部屋中の窓やドアを全開にしても、風や室内外の温度差がないと空気は入れ替わらないのです。

このことに関しては、プロの話の方が信頼できるでしょうから、リンク先をぜひ読んでください。

では問題です。

部屋中に充満した煙を換気するために、どこの窓を開けると効率が良いでしょう?
A:換気扇の近くの窓
B:換気扇から離れた窓
C:両方の窓

正解はBです。空気はできるだけ近道を通る性質があるため、換気扇近くの窓を開けると、窓から換気扇までの空気ばかりが入れ替わります。両方を開けた場合も、換気扇近くの窓から多くの空気が入るため、部屋の中央辺りの空気は動きにくいのです。

この問題を、図解入りで詳しく解説してあるのが、株式会社オオスミさんのブログです。
換気のススメ ~効率の良い換気編~

また、窓の方向と風の流れを12通り図解してあるのが大東建託のブログです。この記事では、温度差がないと空気が動かないことも書いてあります。
窓開けは換気の王道ですが・・・。

換気扇から離れた方の窓を開けても、空気が動かない箇所もあります。その場合は扇風機などで空気を動かし、効率良く換気ができるようにしましょう。

集まって朝のあいさつ

集まってあいさつすることは、本当に必要でしょうか?

みんなで集まって、先生の方を向いてあいさつをするなら、先生にあいさつをしているということですよね。それなら、会ったときに一人一人あいさつをすればすむことです。

みんなで丸くなって集まって、クラスのみんなの顔を見ながらあいさつをしているとしても、それぞれの子どもが会ったときにあいさつをすればすみます。

集まって素晴らしいあいさつをしている子ども達は、外で出会ったときもあいさつをしますか?園内だけの、形だけのあいさつになっていませんか?この機会に、あいさつの仕方を見直してみましょう。

集まって1日の予定を伝える

「今日は◯◯して、★★があるよ。楽しみだね。」などと、集まって1日の予定を伝える場をもつこともあると思います。

1日の予定を伝える場は、本当に必要でしょうか。ちょっと厳しいことを言うと、普段からそれが意味のある投げかけになっているでしょうか。

予定が分かっていないと不安になる子どもはいます。その子どもには個別に伝えれば良いでしょう。

全員に予定を伝えることが必要だとしたら、ホワイトボードなどで分かるように表示をすればすみます。中には、ホワイトボードを見ても理解できず、口頭で伝えた方が伝わりやすい子どもも当然います。その場合も口頭で個別に伝えましょう。

「年齢が低くて、ホワイトボードを見ても理解出来る子どもがいない」ということであれば、1日の予定を伝えても覚えている子どももいないと思われますので、リスクがあるのに集まって伝えなくてもよいでしょう。これも、個別で「今日は◯◯する日だね。楽しみだね。」と、話題の1つとして話せばすむことです。

集まって絵本を読む

集まって絵本を読むのも、その気になれば控えることができます。まず、それぞれの家庭で、外出せず家にいる時間が長くなっていると予想されます。YouTubeやDVDを見るよりも、家庭で絵本を読むこともお願いしましょう。その分、園では3密のリスクを避けるために、全員に対して絵本を読む機会を減らすということを家庭に伝えましょう。

どうしても全員に対して絵本を読まなければならないときは、子ども達が絵本の近くに集まらない方法を考えましょう。できるのであればプロジェクターに映し、マイクを使用すれば、子ども達が必要以上に集まることなく、子ども達の近くで話さなくてもすみます。

集まって歌を歌う

集まって歌を歌うことは本当に必要でしょうか?

「みんなで楽しい時間を共有する」ということは必要かもしれません。ですが、歌うこと以外で楽しい時間を共有することもできます。子どもが小さいうちは、歌うことそのものが楽しいのであって、みんなで歌う必要はありません。

「集まって歌を歌う」ということは、実は大人の都合が大きいです。ピアノを弾いていては、他の子ども達を見ることができませんから、歌うときには子ども達みんなに集まってもらわないと保育できません。

では、大人の都合で集まることを止めましょう。

試しに、歌うときにピアノを弾くことを止めてみましょう。手遊びのときにはピアノを弾きませんよね。子ども達の声が揃わなくても、気になりませんよね。そして、「さあ、みんなで歌いましょう」も止めてみましょう。わらべ歌と同じように、遊びの中で、歌いたくなった子どもが歌いたくなったときに歌えば良いです。集まる必要はありません。

ちょっと休憩

とここまで書いてきて気づきましたが、いや、本当は最初から気付いていましたが、具体例を挙げるということは、園生活の全てを見直すということです。

つまり、この一記事で、保育のほぼ全てについてを語り、具体的な例を挙げ、並び方を図解していくと、何カ月かかるか分かりません。今は少しでも早く、3密を解消する考え方をお伝えしたいと思い、まずはこの記事を公開してしまいます。

  • 給食
  • 遊び
  • 並び方
  • 一斉に靴を履く
  • 一斉に帰り支度をする

などについて、早急に順次追加して公開します。

またこの記事を開いてくださいね。2020/04/16

換気の効率について、記事の最初の方に追記しました。2020/04/17

ツイッター等でご意見を頂きました。「やれることは全てやっている」「換気をしたくても、させてもらえないのでどうしようもできない」などの意見です。正直な話、園によって状況は違うでしょうから、この1記事ではどうしようもできないですね。

というわけで、「早急に順次追加して公開します」と書きましたが、追加はやめようと思います。各園の状況に合わせて、具体的なことを相談して頂くことはできます。以下のフォームよりお問い合わせください。2020/05/08

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ABOUTこの記事をかいた人

管理人のUCHI(うち)といいます。 公立幼稚園、幼保園、大学の附属で働いていた元幼稚園教諭。 現在、島根保育塾代表。仕事を効率化するだけなら簡単です。しかし、保育の質を落とさず(むしろ上げながら)効率化することは、現場を経験した人間でないと、なかなか上手くできません。「保育の質を上げる」「労働時間の短縮」これを両立させるための記事を書いていきます。あなたの園に合わせた方法を知りたい人は、お問い合わせくださいね。