【トコトン付き合う】子どもの好奇心を満たすことを考えると保育ですることが見えてくる話(水遊び編)

「満足いくまで好きなように」を許してしまうと、子どもがワガママになる…なんて考える人もいます。これ、「子どもを放っておいて好き放題」と区別がつかない、違う言い方をすると、子どもの好奇心が満たされているかどうかが見えていない人が考えることではないのかなと思います。では、具体的にはどういうことか水遊びの事例で考えてみます。

好奇心の元は何かを考える➀

「子どもの好き放題を容認する」と、「子どもの好奇心が満たされるようにする」は違います。前者は、目的もなくなんとなくの場合や、気が済んだ後の惰性でやっている場合もありますね。では、好奇心をもっていたら何をしても許されるかというと、それもまた違いますよね。安全に関すること等は、子どもの気持ちをゆっくり聞いている時間はありません。

安全に関することではなく、子どもの「これやりたい!」という思いがあっても、大人が困るようなことはあるので、そんなときはどう対応すればよいか迷いますよね。時間が無かったり勿体ないことだったりすると、やめるように言いたくなります。

先日、子どもがどこでも水遊びをしてしまうことについてまとめたものを、漫画にしてもらいました。
【子どものやりたい×大人のやめてほしい】そこらで水遊びをしちゃう子との関わりで、僕たちが気をつけたいこと
その漫画の1ページを例に出しますね(全部読みたい人はリンク先を見てください)。この事例を「好奇心を満たす」という視点で考えてみましょう。

あるとき、園舎にホースで水をかけていたB君。いつもなら、「そんなところに水かけないで」と、すぐに止めたくなるところを、「水かけるの上手やし、お花にお水あげてくれる?」とお願いすることに。それからは園舎にかけることなく、花だんにかけるようになりました。

…という事例です。

長くなると難しくなったり伝わり辛くなったりするという面もあるので、あえて省略した部分があります。そこをお伝えしますね。

この漫画の事例で保育者がしたことは代替案を提示することです。「園舎に水をかける替わりに、花だんに水をかけてはどうだろう?」という提案がうまくいったのですが、こうなる前のやり取りもあったんです。「水をかけると面白い」「水を出して何かにかけたい」「水が出るところを見たい」というようなことを聞き出した上での提案です。

ホースから水が出る、何かに当たって形が変わる、跳ね返ってあちこちに飛ぶなど、水への好奇心がB君の行動の元だったのでしょう。もし、「園舎をきれいにしたい」とか、「消防車のように建物に水をかけたい」ならば、代替案は別のものになりますね。

これ、さらに後日の話として、花だんに水をかけるのも2~3日で終わっています。また、真似する子どもはいませんでした。幼稚園の事例なので、B君だけですんだかもしれませんが、これが保育所だったら、年齢が下の子ども達が、みんな真似したがったかもしれません。

好奇心の元は何かを考える②

水遊びでは、「器に水を入れる」を楽しむというか、器に水を入れる過程でいろいろと試している姿が見られますよね。先日は、1歳児のそのような姿を見せて頂きました。

その子がしたかったのは、年上の子どもがしていたのと同じことです。空き容器(マヨネーズの容器のような素材)に水を入れて、容器を押すとピュッと水が飛び出る…をしたいのですが、容器の口(直径数センチ)から水を入れるのが一仕事です。1歳児だけど、繰り返し水をすくって移す中で、いろいろと試していることが、見ていて分かりました。

  • 水をすくう器の持ち方を変える
  • 水をすくう器をどれくらい傾けるかを変える
  • 水をすくう器を違うものにする
  • 水を入れる容器の傾け方を変える
  • 身体の正面で水を移すようにする

これらは、子どもが誰かから教えてもらったことではありません。試してみる中で、上手くできるように身体を動かしていった結果、自然とそうなったことです。

このとき、大人がしたことは、容器を用意することと、見守っていたことぐらいです。ただ、そうしたからといって、いつも同じような姿が見られるかというと、そんなことは無いですよね。「なんか面白そうなことやってたから、自分も同じようにしたい」ということを子どもが感じて、それを受け取った保育者が、容器を用意して見守ったんです。ですので、まとめて「子どもの好奇心が満たされるようにした」という表現もできますね。

「子どもの好奇心が満たされるにはどうすればよいのか」を考えた結果、「容器を準備して見守る」になり、「水をすくって移し替える」が上手くできるようになっていったんです。改めてオススメします。「子どもの好奇心を満たす」を考えてみませんか?

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保育塾代表
2人の娘の父親
公立幼稚園・幼保園・大学の附属幼稚園で勤務の後、保育塾を立ち上げる。
ラッパ吹き。小学生を中心に、20年以上いろんなバンドを指導しています。

保育士・幼稚園教諭のみなさんが、ほんの少しだけ余裕をもって仕事ができたら、プラスの循環が生まれます。

ほんの少しだけ余裕をもって仕事ができたら、ほんの少しだけ子どもが落ち着いて、そうするとまた、ほんの少しだけ余裕ができて、効率良く仕事ができる方法を調べたりして・・・

そんなプラスの循環の始めの一歩、小さな余裕を生み出すお手伝いをしています。あなたが読んだこの記事が、そんな始めの一歩になったら嬉しいです。

ABOUTこの記事をかいた人

管理人のUCHI(うち)といいます。 公立幼稚園、幼保園、大学の附属で働いていた元幼稚園教諭。 現在、島根保育塾代表。仕事を効率化するだけなら簡単です。しかし、保育の質を落とさず(むしろ上げながら)効率化することは、現場を経験した人間でないと、なかなか上手くできません。「保育の質を上げる」「労働時間の短縮」これを両立させるための記事を書いていきます。あなたの園に合わせた方法を知りたい人は、お問い合わせくださいね。