【栽培・自由遊び・片付けetc】オンライン保育の可能性と具体例

オンライン保育って、誰がどのような形でするのが良いのでしょうか?

結論から言うと、各園での普段の様子を発信すると考えれば、もう少し可能性が広がり、リアルタイムであったほうが良い部分と、録画してあるものを見た方が良い部分があるのではないのかなと思っています。

この記事では、オンライン保育の可能性を、具体例を挙げて考えていきます。今の時点(2020年5月)でよくあるような、手遊びや歌ばかりではなく、片付けや当番の活動にもつながっていくのではないかということ、自由保育でもオンラインが使える可能性があるのではないかということをお伝えします。

いつも記事を書くときには、多くの場合「部分があります」のように言い切りますが、今回ばかりは「部分があると思っています」のような文末が多くなります。オンライン保育はまだまだ手探り状態ですし、園によって状況が違うからです。

オンライン保育でできそうなこと

まず、「オンライン保育という名前自体、どうなのか」という話もありますが、ここでは置いておきます。家庭での保育をサポートすることが中心になりそうなので、「オンラインでの保育サポート」または「保育コンテンツの提供」と表現すれば良いのではと思っていますが、ここまでは「オンライン保育」という表現をさせてもらいました。

そして、手遊びや歌などは、どのような形で行うか想像しやすく、テレビやYouTubeでも提供されているので、ここでは、手遊びや歌、体操などを除いて、他にできることを考えていきます。

  • 朝の集い
  • 飼育・栽培
  • 自由遊び
  • 片付けや当番の活動

これらについて、具体的にどのような形で発信できる可能性があるかを詳しく書きますね。各園の状況に合わせて、どのような形で取り入れることができるかを考えてみてください。

行事については、キリがないので別の機会に記事を書き、記事内にリンクを貼っていく予定です。

朝の集い

朝、みんなが来たら集まって、または、決まった時間に集まって、名前が呼ばれたら返事をして、みんなであいさつをして・・・という朝の集いがありますよね。もちろん、集まらない園もありますが。名前も、「朝の会」とか「おはようタイム」だとか、いろんな言い方があるでしょうが、とにかく、朝集まることについて考えていきます。

朝の集いが無い場合

朝、みんなで集まることが無くても、登園したときはあいさつをしたり職員が健康状態を把握したりしますよね。「ファーストネームを呼ばれると、愛情ホルモンと呼ばれるオキシトシンが増加し、ストレスホルモンと呼ばれるコルチゾールが減少する」という話もありますので、名前も呼びたいところです。

ということで、できることならリアルタイムで、あいさつをしたいですね。オンラインだとしても、登園時間がある程度決まっていると、家庭にいても生活に区切りがつくのではないでしょうか。ただ、園での普段の受け入れと同じように、オンラインでの受け入れの担当者が必要なため、職員の負担は大きくなってしまいます。

朝の集いがある場合

朝の集いがある場合も、朝の集いが無い場合と同じく、できることなら、登園時のあいさつはリアルタイムで行いたいところです。ただ、朝の集いのために、タイミングを合わせて画面の前にみんなが集まることは、保護者にとっても、園にとっても大きな負担になることが考えられます。

録画した動画をアップして、各家庭で見るのであれば負担は少ないでしょうが、これも、全年齢、全クラス分を同時刻にアップしようと思うと、園側の負担は大きいです。 朝の集いの内容が「歌を歌う」「絵本を見る」などであれば、時間が決まってなくてもよいでしょうから、時間をずらすこともできますね。

「1日の生活に見通しをもつ」「前日の遊びの続きをどうしていくか、子ども達で話をする」などがあるなら、リアルタイムで話をすることを試してみてもよいかもしれません。ただ、子ども同士で話をする場合、「数人で」「保育者が間に入って」などの工夫をしないと、普段のような話はできないでしょう。

飼育・栽培

飼育や栽培も、既存のテレビ番組やYouTubeの配信では触れることのできないものの1つです。園にいる生き物や、園で栽培している植物を見ることは、子ども達にとって大きな癒やし、学びになります。普段、毎日のように長時間眺めている子どももいますよね。

園で飼っている生き物の様子を映すだけでも、それを見たい子どもがいます。生き物に話しかける様子、生き物が何かを食べている姿、掃除しているところなど、いろんな場面を映して配信してはいかがでしょうか。特別なプログラムや練習はいりません。普段の様子を見ることに価値があります。

栽培についても、特別なことをする必要はありません。いつもの様子を映すだけです。特に、前年度に植えたものがあれば、今どれくらい大きくなったか、子ども達は気になっているはずです。水やりをするところ、草取りをするところなど、普段通りの栽培の様子を配信してみましょう。

vidiaviolaによるPixabayからの画像

単に生き物や植物の様子が映されても、保護者には意図が理解できないかもしれませんので、その点については説明が必要となるでしょう。

休んでいる子どもの鉢植えに、他の子ども達が水をやる姿もありますし、それに対して保育者が声をかけることもあります。オンラインでも、このように、人間関係についての育ちを伝えることができます。

もし、リアルタイムでやり取りをする場合は、家庭で飼育している生き物や栽培している植物の話をすることもできます。子どもがどのように関わっているかを話したり、実際に関わってる子どもに保育者が声をかけたりすることもできますね。

自由遊び

遊びのきっかけ

手遊びや歌などの、決まったプログラムではなく、自由遊びの様子も配信できる可能性はあります。可能性の1つとして、「遊びを選択することのきっかけを作る」ということができますね。

園内の遊びの様子を配信することで、家庭にいる子どもが「同じような遊びをやってみよう」と思うきっかけになりますし、友達の姿を見て、似たようなことや新しい遊び方を思い付くかもしれません。

気持ちのつながり

子ども達は「一緒に遊ぼう」と言いながら、それぞれ違う場所で遊んでいることがありますよね。たとえば「仮面ライダー◯◯ごっこをしよう」と言いながら、1人は変身ベルトを作り、3人は走りまわり、1人はご飯を作っている場合があります。

「一緒に遊んでいる」という気持ちが大事だということを考えると、必ずしも同じ場所で同じことをする必要はありません。この点で、互いの顔が見え、ある程度のやり取りができれば、オンラインでも自由遊びができる可能性はあります。ただ、 年長では協同する遊び方が増えていきますので、気持ちがつながるだけで良いということではありませんね。

それでも、作った物や考えたポーズを見せ合ったり話をしたりと、1人で遊んでいるときよりは多くの刺激を受けることができます。

遊びへの援助

オンラインでも、家庭で遊んでいる子どもに声をかけることはできます。子どもが楽しそうなとき、頑張っているとき、あきらめそうなとき、何かを作っているときなどなど。保育者がどのような言葉をかけるかということが、保育参観のときよりも、家庭にいるときの方がより分かるのではないでしょうか。

片付けや当番の活動

片付けや当番の活動も、これまで紹介したことと同じように考えることができます。まず、遊びのきっかけと同じで、他の子どもたちがしていたら、「一緒にやりたい」「自分もやってみたい」という気持ちになることがありますよね。

保育者の声のかけ方が、保護者にとって参考になるのは、遊びでの声かけの場合と同様です。

オンラインでの発信で気をつけたいこと

ここまで記事を読んできて、気付いた方もいらっしゃるでしょうが、紹介したものの多くは年中や年長で見られるような事例です。そして、「画面の前に子どもを残して保護者はその場を離れる」ということは、ほとんどできないでしょう。

コンテンツを提供する園側はサポートとして、保護者は自分が保育をするものとして臨まないと、保育として成り立たないのではないかと考えます。それは、年齢が低くなるほど当てはまることです。

反対に、これまでもオンラインで配信されてきた歌や手遊びなどは、子どもを惹きつけるものです。画面の前に子どもを残し、保護者がその場を離れることもできます。しかし、それだけでは、テレビやYouTubeをずっと見ていることと同じです。

配信するのが歌や手遊びだとしても、互いにやり取りがあり、主となるのは子どもと一緒にいる保護者であるという意識を双方がもってこそ、保育と呼べるようになるのではないでしょうか。

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。「もっといろいろと知りたい」という方は、ホームページや、このサイトの記事が一覧になったサイトマップをご覧ください。

管理人うち@uchi70794834|Twitter)

保育塾代表
2人の娘の父親
公立幼稚園・幼保園・大学の附属幼稚園で勤務経験あり。
ラッパ吹き。小学生を中心に、20年以上いろんなバンドを指導しています。

保育士・幼稚園教諭のみなさんが、ほんの少しだけ余裕をもって仕事ができたら、プラスの循環が生まれます。

ほんの少しだけ余裕をもって仕事ができたら、ほんの少しだけ子どもが落ち着いて、そうするとまた、ほんの少しだけ余裕ができて、効率良く仕事ができる方法を調べたりして・・・

そんなプラスの循環の始めの一歩、小さな余裕を生み出すお手伝いをしています。

ABOUTこの記事をかいた人

管理人のUCHI(うち)といいます。 公立幼稚園、幼保園、大学の附属で働いていた元幼稚園教諭。 現在、島根保育塾代表。仕事を効率化するだけなら簡単です。しかし、保育の質を落とさず(むしろ上げながら)効率化することは、現場を経験した人間でないと、なかなか上手くできません。「保育の質を上げる」「労働時間の短縮」これを両立させるための記事を書いていきます。あなたの園に合わせた方法を知りたい人は、お問い合わせくださいね。