【先生も見過ごしがち】運動会のリレーで得ることができる意外な経験5つはこれ

夏が終わりに近付くと、「そろそろ運動会」という話も出てきますよね。会場を借りるような場合は、1年も前から次の年の運動会について考えなければならない園もありますが。さて、今回は「リレーで得ることができる経験」の話です。 「育つチャンスがすぐそこにあるんだけど見過ごされがち」というものを紹介していきますね。

運動会のリレー得ることができる意外な経験とは

「思い切り走ることを楽しむ」とか、「頑張る」「ルールを守る」「悔しい思いをしても次に向かう」というようなことは当然ある経験として、リレーをしていると次のような経験もすることになります。

  • 自分とは違う考えを知る
  • 論理的な思考をする
  • 見通しをもって考える
  • 学び方を知る
  • 不測の事態に対応する

「リレーって、こうやってやるんだよ」という、大人に言われてやってみるリレーではなく、子ども達が作り上げていくリレーの話をしています。主に年長での経験ですね。年長になるまでは、とにかく「走るのって楽しい!」をやってもらいたいです。リレーである必要はないですね。

では、それぞれについて詳しく見ていきましょう。

PexelsによるPixabayからの画像

自分とは違う考えを知る

リレーをしようと思うと、少数派の意見に耳を傾ける場面が何度も出てきます。まず、リレーをするかどうかということがありますよね。「運動会で走るのは嫌」という子どもは必ずいます。走ることが大好きな子どもにとっては、簡単に理解ができないことです。

  • リレーをするか他のことをするかを話し合う
  • リレーをすることになったとしたら、どのように取り組むかを話し合う
  • チーム分けを話し合う
  • 走る順番を話し合う
  • その他のルールが必要になったときに話し合う

1度や2度では決まらないことも多々あります。リレーをするかどうかを話し合ったときには多数派だった子どもも、順番を話し合うときには孤立するかもしれません。これらを通して、自分とは違う考えがあることを知り、相手の気持ちに目を向けることにもなります。

もちろん、リレーでなくても同様の経験はできますが、リレーの場合、運動会という大きな催しに向かう中で、勝負にも関わってきますので、自分のこととして取り組む姿が多く見られます。これは、この後に紹介する4つの経験についても同様です。

論理的な思考をする

遊びの中から出てきたリレーはチームによって人数が違います。それぞれの子どもが、なんとなく好きなチームに入るからです。終わりはなく、1人が何度も走って、人数が少ないチームの子どもはヘトヘトに疲れます。

そのうち、「勝敗をつけるために、1人が1回走ったらゴール」が決まり、「このチームは人数が少ないからいつも勝つ」ということに気付く子どもが出てきます。大人から見ると当たり前に感じるかもしれませんが、これは論理的な思考の基礎なんですよね。「○○だからこうだ」という根拠と結論で話していますから。

また、子どもたちの多くは、何人目が走っているのか分からなくなります。特に、差が半周ついた場合、どちらのチームが勝っているのか分かりません。このような場合にルールが生まれてきます。「どのチームが勝っているか分からないから、走る順番に並んで分かりやすくする」とか、「誰かが休んだときは人数の少ないチームが勝つので、誰かがもう1度走る」などを、子どもが思い付くんです。これも論理的な思考ですね。

さらに、これらのことを誰かが思い付いても、みんなが理解するのはなかなか難しいです。理解する側にも論理的な思考が必要です。理解できない子どもに対して分かるように説明するのも、子どもの方が上手なくらいなんですよね。

見通しをもって考える

「昨日のリレーで負けたから、今日は朝から特訓をする」というように、やる気にあふれたことを言って登園してくる子どもがいます。だけど、そのチーム全員が同じ気持ちかというと、そうでもありません。そこで、やる気にあふれた子どもは、同じチームのメンバーに「特訓しよう」「いつならできる?」などと声をかけます。

大人が声をかけて、その場でチームのみんなを集めるのは簡単なことです。子どもが互いに声をかけて、自分達で予定を立てることに意味があります。同じチームの仲間同士で約束することですから、「10時になったら集まる」というような意識をしっかりもつようになります。自分で時計を確認し、時間に間に合うように場を片付けて集まるという姿も見られます。

学び方を知る

「速く走るにはどうするか」を知る方法はいろいろとあります。

  • 親や兄姉の友達などに教えてもらう
  • YouTubeを見る
  • テレビの番組をチェックする
  • 図書館に行って本を読む

走り方を調べてきた子どもがチームの子ども達に教える。学校の「調べ学習」と同じですよね。おたよりで「こういう姿があります」とお知らせすると、保護者の方が一生懸命になり、帰宅してから一緒に走るといったこともあります。

不測の事態に対応する

リレーをしていると、不測の事態は毎回のように起こります。もちろん、保育者が対応してもOKですが、できれば子どもの考えを聞いてみましょう。休んだ子がいた場合、急に走りたくない子が出た場合、順番を抜かされてしまった場合、誰かがトラックの内側を走った場合などなど。ただ、あまり間があくと嫌になってしまいます。

最後に

今回お伝えした姿は、「とにかくリレーをすれば見られる」というものではありません。「リレーでなければ見られない」ということもありません。保育に携わっている人なら分かると思いますが、そう簡単にはいきません。この記事に書いたやり方だと、リレーの形になるまでに相当な時間がかかります。運動会を中止、または縮小するような今なら、むしろ上手くいくかもしれませんね。無理しないよう、できる範囲で、取り入れられることがあれば試しにやってみてください。

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保育塾代表
2人の娘の父親
公立幼稚園・幼保園・大学の附属幼稚園で勤務の後、保育塾を立ち上げる。
ラッパ吹き。小学生を中心に、20年以上いろんなバンドを指導しています。

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ほんの少しだけ余裕をもって仕事ができたら、ほんの少しだけ子どもが落ち着いて、そうするとまた、ほんの少しだけ余裕ができて、効率良く仕事ができる方法を調べたりして・・・

そんなプラスの循環の始めの一歩、小さな余裕を生み出すお手伝いをしています。あなたが読んだこの記事が、そんな始めの一歩になったら嬉しいです。

ABOUTこの記事をかいた人

管理人のUCHI(うち)といいます。 公立幼稚園、幼保園、大学の附属で働いていた元幼稚園教諭。 現在、島根保育塾代表。仕事を効率化するだけなら簡単です。しかし、保育の質を落とさず(むしろ上げながら)効率化することは、現場を経験した人間でないと、なかなか上手くできません。「保育の質を上げる」「労働時間の短縮」これを両立させるための記事を書いていきます。あなたの園に合わせた方法を知りたい人は、お問い合わせくださいね。