【保育の見直し】ICT化などで無くなりそうな出席のシール帳にメチャクチャ大事な意味がある話

保育室に入ってくる子ども達を保育者が出迎える。あいさつを交わし、子ども達はカバンを置き、シール帳を取りだしてシールを貼る。…という朝の風景が変わってきているようですね。ICT化で出欠の確認方法が変わり、「できるだけ皆勤」も無くなってきた今、シール帳を無くすところもあるようです。そんなに簡単に無くせるものなのでしょうか?

シール帳にシールを貼るのはなぜ?

出席のシール帳にシールを貼る意味は、ザッと考えても次の8つが思い浮かびます。

  • 持ち物を管理する能力が育つ
  • 手指の巧緻性が高まる
  • 日にちや曜日の感覚が身に付く
  • 行事等に期待をもつ
  • 明確な数の概念を得る
  • 季節のものを知る
  • 会話のきっかけとなる
  • 子どもの様子を知る時間となる

それぞれ詳しく説明しますね。

持ち物を管理する能力が育つ

私の娘が通う小学校は、「毎日セット」という名前をつけて持ち物を把握しやすいようにしてあります。「毎日セット」の中身は、「筆箱」「下敷き」「連絡袋」「連絡帳」の4つです。もちろん、着替え、教科書、ノートなど、他にも持ち物はいろいろとあります。毎日必ずいるもので、忘れやすいものを「毎日セット」にしているんでしょうね。

小学校になると、持ち物が一気に多くなります。しかし、小学生になったからといって、急に持ち物の管理ができるようになるものでもありません。年少時には、持ち物を少なくして負担を減らすことは必要ですが、年長になってもそのままだと、小学校とのギャップが大きくなります。

未満児のときには保護者が出欠を記入する。年少のときは担任がシール帳を管理し、子どもがシールを貼る。年中ではシールを貼って、連絡帳と同じように提出し、降園時に受け取る。年長では、シール帳にシールを貼ったらカバンにしまい、カバンをロッカーにかける。就学前は「実は小学校ではね…」と、小学校と同じ身支度のやり方をしてみる。たとえばこのように、子どもの成長に合わせて、身支度のやり方を変えていくのも必要なことです。

手指の巧緻性が高まる

カタログを見ると、シールの大きさやシールを貼る枠の大きさが様々あることに気付きます。大きさを考えて注文できるようになっているんですよね。シールが小さければ、台紙から剥がすのもシール帳に貼るのも大変ですし、枠からはみ出さないようにキレイに貼るには器用さが必要です。出席のシールを貼ることは、手指の巧緻性を高めることにもなるんですよ。年齢に合わせてシールを注文しましょう。

日にちや曜日の感覚が身に付く

今日は何月何日で、何曜日で…ということは、子どもには分かりません。日にちや曜日の感覚が身に付くためにも、シール帳はとても大事な物です。壁にカレンダーが飾ってあったり日めくりの可愛いカレンダーが作ってあったりするかもしれませんが、ハッキリ言って、シール帳には遠く及びません。何が違うかというと、「1日経って園に来たらシールを貼る」というところが違います。シールを貼ったら園の生活のスタートですし、過ぎた日にはシールが貼ってあるので一目見て分かります。

曜日の感覚が身に付くためには、カレンダーやシール帳などよりも、「火曜日は仮面ライダーの日」と、テレビ番組で意識することの方が大きいのですが、テレビを見なくなりつつある近年は、一層シール帳の有無による影響が大きそうですね。

行事等に期待をもつ

シールが貼ってあれば、「あ、もうすぐ遠足があるんだ」ということが分かりますし、シールが貼ってないところを数えると、「もちつきまであと何日」「冬休みはもうすぐ」ということが分かります。子どもを集めて必死で「あと何日だからね」と期待をもたせようとしなくても、シール帳を見ながら話をすればいいんです。

明確な数の概念を得る

園生活のいろいろな場で数を数えますが、シール帳を見て数えるケースは本当にたくさんあります。先ほど「行事等に期待をもつ」でも書いたように、「あと何日」を数えますし、「何のシールを何枚貼った」という数え方もします。そして、年長にもなれば、月によって日数が違うことにも気付きますし、中には1年が何日あるか数えようとする子どももいます。「自分のシール帳」として身近にあるから興味も大きくなります。

季節のものを知る

「壁面装飾をするのが大変だ」「季節を感じる壁面にしないといけない」なんてことを言われている人もいるでしょうが、普段あまり気にしない壁面よりも、毎日触れるシール帳のほうが、よっぽど季節を感じることができます。その月に関係の深いものが何種類もシールの絵柄になっていて、それを毎日のように見て、それについて会話もしますから。

会話のきっかけとなる

園では、「何を貼る?」「今日何を貼った?」「雪だるまばっかり貼ってる」などと、登園時間の近い子ども同士が、互いのシール帳を覗き込んで会話をしています。「昨日イオンに行ったよ」と言いながら部屋に入ってくる子どもがいると、シールを貼っていた子ども達もその話に参加し、シールを貼りながら家での出来事を話し始めます。シール帳にシールを貼る場が会話を生むんですよね。

保護者さんには、「今日誰と遊んだ?」「どうだった?」よりも、何のシールを貼ったかということを聞くと会話になるということをおすすめしたいです。
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子どもの様子を知る時間となる

これは、保育者側として、シール貼りの時間がとても大事だという話です。 ここまで上げた7つのことについて、子どもの様子を知ることができますから。「持ち物を管理できているか」「手指の巧緻性は?」「日にちや曜日の感覚があるか」「行事等に期待をもっているか」「数の概念は?」「季節のものに興味はあるか、物の名前をどれくらい知っているか」「会話力は?友達関係は?」」 などを知ることができることに加え、「家での様子はどうだったか?」「元気かどうか」「今日の機嫌は?」など、比較的ゆっくり見ることができる時間なんですよね。

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保育塾代表
2人の娘の父親
公立幼稚園・幼保園・大学の附属幼稚園で勤務の後、保育塾を立ち上げる。
ラッパ吹き。小学生を中心に、20年以上いろんなバンドを指導しています。

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ABOUTこの記事をかいた人

管理人のUCHI(うち)といいます。 公立幼稚園、幼保園、大学の附属で働いていた元幼稚園教諭。 現在、島根保育塾代表。仕事を効率化するだけなら簡単です。しかし、保育の質を落とさず(むしろ上げながら)効率化することは、現場を経験した人間でないと、なかなか上手くできません。「保育の質を上げる」「労働時間の短縮」これを両立させるための記事を書いていきます。あなたの園に合わせた方法を知りたい人は、お問い合わせくださいね。