【事故数ケタ違い】跳び箱の指導で気をつけるべき10のこと

跳び箱は危険です。

跳び箱自体は危険じゃないんですけど、危険なやり方をさせている人がたくさんいます。重大な事故が起こる可能性が大きいことも、けっこう平気でやってるんです。

この記事では、保育の現場で跳び箱を指導するときに気をつけるべきこと、やってはいけないことを紹介しています。

この記事を読んで、思い当たる人は、1回指導を見直してみましょう。何が危険かを知った上で、安全に配慮しながら、跳び箱を楽しんでください。

跳び箱の指導で気をつけるべき10のこととは

安全のために、跳び箱の指導の際、気をつけるべきことは次の10項目です。

  1. 開脚跳びを勧めない
  2. 勢いよく走るように指導しない
  3. 手をなるべく遠くにつくように指導しない
  4. メンテナンスをする
  5. 正しい積み方で積む
  6. 滑り止めのシートを敷く
  7. 名札は外して跳ぶようにする
  8. 靴を履いて跳ぶようにする
  9. 適切に補助をする
  10. ルールを決める

1.開脚跳びを勧めない

跳び箱といったら開脚跳びだと思っている人もいるでしょう。

子ども一人一人がどれくらいの発達をしていて、やろうとしていることが子どもにとって適切かどうか分かっていますか?分かっていないまま、跳び箱をしていませんか?

それ危険です。

小中学校では、体育の授業中、水泳の跳び込みは禁止されています。発達に合っていないからです。でも、課外活動では跳び込みが指導されています。適切な指導がなされないまま、水泳の大会で跳び込みをしてるんです。で、重大な事故が起こっています。
参考記事:小学校のプール飛び込み指導を問う

プールの端に沿って、みんなで歩くと流れるプールになりますよね。あれも自治体によっては禁止されています。危険だからです。

跳び箱も同じことです。

知識や指導する力が十分ではない状態で、跳び箱を指導すること自体、危険を伴います。

器械運動系の領域として,低学年を「器械・器具を使っての運動遊び」, 中・高学年を「器械運動」で構成している。

出典: 小学校学習指導要領解説 体育編

小学生でも、低学年は「運動遊び」なんですよ。幼稚園、保育所、こども園では、無理に跳び箱を跳ぶ必要はないんです。

跳び箱を使った運動遊びにおける目指す動き(第1学年、第2学年)
開脚跳びは、3年生で初めて出てきます。

とはいえ、子ども達に跳び箱を跳びたい気持ちはありますし、実際、跳び箱をしていますよね。

「跳び箱を跳ぶことができるだけの発達をしているか」は「自分の体を腕で支えることができるかどうか」で判断しましょう。

跳び場を跳ぶときの詳しい指導、補助の仕方は、次の記事に書いてあります。
跳び箱(開脚跳び)が10分で跳べるようになる指導の方法

2.勢いよく走るように指導しない

跳び箱を跳べないときに、勢いをつけて走るように指導してませんか?

それ危険です。

跳び損ねると跳び箱にぶつかります。
手をしっかりつけなかったときは、滑って頭から落ちます。

跳び箱は、体を支えることと、体重移動ができれば跳ぶことができます。手が届かないくらいの高い跳び箱を跳ばない限り、勢いよく走る必要はありません。勢いよく走る跳び方は、小学生になってから教えてもらいましょう。

でも、十分に発達しているはずなのに、事故が起こることもあります。

「跳び箱」は組体操より危険 事故件数「最多」でも安全対策進まず
このリンクの記事内の死亡事故は、内臓損傷によるものです。勢いよく走っていなかったら、そこまでの衝撃はなかったはずです。

3.手をなるべく遠くにつくように指導しない

跳び箱のなるべく遠くのほうに手をつくように指導してませんか?

それ危険です。

手をしっかりつけなかったときは、滑って頭から落ちます。

先程言ったとおり、 跳び箱は、体を支えることと、体重移動ができれば跳ぶことができます。 奥の方に手をつく必要はありません。手を遠くにつく跳び方は、小学校になってから教えてもらいましょう。

でも、十分に発達しているはずなのに、事故が起こることもあります。

体育の跳び箱で下半身不随に 校長は謝罪もなく「公表しないで」
リンクの記事の場合は、中学2年生が5段の跳び箱で、頭から落ちて下半身不随になっています。マットの厚さが約20センチあるにも関わらずです。

「勢いよく走る」「手を遠くにつく」という指導をして、子どもが頭から落ちた場合、「安全に跳べるように指導をしていなかった」どころか「危険な跳び方を指導していた」ということになりますよ。

園で適切に補助ができるときはいいんです。でも、子どもは家で補助が無い状態でも跳びたくなりますよね。お父さんの丸い背中の上で、なるべく遠くに手をつくと、ちょっとでも滑った時に頭から落ちることになります。

4.メンテナンスをする

跳び箱は使っていると劣化します。メンテナンスをしていますか?安全点検の項目に、跳び箱がありますか?無いのであれば・・・

それ危険です。

底のゴムの部分と、重ねたときにズレないようにする出っ張りの部分は、特に気付きにくいところです。

ゴムが劣化していると、跳び箱が滑ります。ズレないようにする出っ張り部分が損傷していると、段が外れます。

損傷しているのを見付けたときは、購入したところに連絡をしましょう。直らない場合は、新しい跳び箱に替えましょう。

5.正しい積み方で積む

跳び箱には積み重ね方があるのを知っていますか?正しく積んでいるでしょうか?できていないのであれば・・・

それ危険です。

車や自転車などと同じで、跳び箱も、出荷される前に安全を確認されます。「はい、安全です。これなら使っても大丈夫。」と言われたときと、同じ積み方じゃないと、安全である保証はないですよね。

積み方が違うと、跳んだときに段が外れる可能性があります。

片側だけに番号が書いてあるときは、その番号を片面にそろえて積みましょう。もし、両側に番号が書いてあるとしたら、跳び箱の内側を見ると、片側だけに数字や文字が記入してあるはずです。その文字を片側にそろえて積みましょう。

もし、どこを見ても目印がないとしたら、その跳び箱は安全とは言えません。もしかすると、安全の検査すらしてないかもしれませんよ。

複数の跳び箱がある場合、他の跳び箱と段が混ざっていることがありますよね。もちろん、それも危険です。跳び箱の内側の数字や文字が、跳び箱によって違うはずです。同じ数字や文字のものをそろえて、1つの跳び箱にしましょう。

6.滑り止めのシートを敷く

跳び箱をするときに、滑り止めのシートを敷いていますか?敷いていないのであれば・・・

それ危険です。

滑り止めのシートを敷いていないと、跳び箱がズレます。マットもズレます。

もし落ちたときに、マットが無い部分に落ちてしまったら・・・ということは、言わなくても想像できますよね。

7.名札は外して跳ぶようにする

これはめったに無いと思いますが、名札をつけたまま跳んでいる映像を見たことがあります。しかも、「自由な遊びの中で、跳び箱をする子どもが外し忘れた」のではなく、クラスの活動で、みんなで跳び箱をしていた映像です。名札をつけたまま跳んでいませんか?

それ危険です。

何かの拍子で安全ピンが外れたときに、刺さるかもしれません。

8.靴を履いて跳ぶようにする

これもめったに無いと思いますが、裸足で跳んでいるのを見たこともあります。裸足で跳んでいませんか?

それ危険です。

言う必要は無いくらいです。

足をぶつけたり踏まれたりしたときに、どうなるかは想像できますよね。

9.適切に補助をする

補助の場所が違う

跳び箱の補助をするときに、あなたはどこにいますか?もしものときに、すぐ助けられるように、マットの横ですか?

それ危険です。

マットの横にいても、反応できるわけがありません。子どもが跳び箱から落ちたときに、サッと手を出して助けた人を見たことがある人はいますか?たぶんいないと思います。

補助は跳び箱のすぐ横でします。落ちたときに助けるためではなく、落ちないようにするための補助です。

補助の姿勢が違う

跳び箱の補助をするとき、あなたはどんな姿勢をしていますか?しゃがんで待機していますか?普通に立っていますか?

それ危険です。

補助をするときは、手を伸ばせば子どもの胸の辺りに届くようにしましょう。

落ちそうになってから手を出すのではなく、跳ぶときに軽く支えるくらいのつもりで補助をします。思い切って跳べないのであれば、反対の手でお尻を押します。

でも、この補助の仕方だと、安全ですぐに跳べるようになりますが、子どもの試行錯誤は一切ありません。保育としては、手を出し過ぎですね。

10.ルールを決める

跳び箱を順番に跳ぶときのルールが決まっていますか?自由な遊びの中で、子ども達が好きなように、順番に跳んでいますか?

それ危険です。

「跳んだ後はすぐにマットの外に移動する」「前の子どもが跳んだ後、移動したのを確認してから、次の子どもが跳ぶ」などのルールが無いと、上から子どもが降ってくることになります。

子どもが自主的に遊ぶことと放任は違います。子どもと一緒にルールを決めながら、安全に遊びましょう。

まとめ

いかがでしたか?

安全のために、次の10項目に気をつけて、跳び箱を楽しくできるようにしましょうね。

  1. 開脚跳びを勧めない
  2. 勢いよく走るように指導しない
  3. 手をなるべく遠くにつくように指導しない
  4. メンテナンスをする
  5. 正しい積み方で積む
  6. 滑り止めのシートを敷く
  7. 名札は外して跳ぶようにする
  8. 靴を履いて跳ぶようにする
  9. 適切に補助をする
  10. ルールを決める

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
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ABOUTこの記事をかいた人

管理人のUCHI(うち)といいます。 公立幼稚園、幼保園、大学の附属で働いていた元幼稚園教諭。 現在、島根保育塾代表。仕事を効率化するだけなら簡単です。しかし、保育の質を落とさず(むしろ上げながら)効率化することは、現場を経験した人間でないと、なかなか上手くできません。「保育の質を上げる」「労働時間の短縮」これを両立させるための記事を書いていきます。あなたの園に合わせた方法を知りたい人は、お問い合わせくださいね。