育児、保育をしているあなたに問題です。
あなた「今日は保育園で何をして遊んだの?」
子ども「ジョージャちゅくった」
こう言われたら、理解できますか?
「ちゅくった」は、すぐに「作った」だろうと推測できます。
「え?ジョージャ?」と聞き返しますか?
子どもに何を言われたか理解できず聞き返すことを繰り返すと、「この人には何を言っても理解してもらえない」と、あなたの信用を失うことや、「自分の話し方が下手なのではないか」と、子どもが自信を失うことにもつながりかねません。あまりにも話が伝わらない経験を繰り返すと、そのうち話すこと自体を諦めてしまう可能性だってあります。
この記事では、難解な幼児語を理解するための方法と、「分からないときは、そのまま話を進めよう」という提案を、例を挙げて説明しています。
POINT
分からない幼児語が出てきても、そのまま話を進める。
子どもとの会話を豊かにするために、1度目を通しておいてください。
難解な幼児語を理解するための方法
改めて言うと、この記事は「擬声語(ニャンニャン、モーモー)」とか「両唇音(マンマ、パパ)」などと、幼児語の分類を目的とするものではありません。その他、お祖父ちゃんを「ジイジ」と言うこと、片付けることを「ナイナイ」と言うことなど、何となく分かるものは解説しません。余計にややこしくなるからです。
あくまでも、子どもとの会話を成り立たせることを目的として、難解な幼児語を例に挙げて考えていきます。それではいきますよ。
レベル1「テーチ」
子どもって、「カ行」が「タ行」になってることがあるんですよ。「カキクケコ」が「タチツテト」のように聞こえるということです。これを考えると「テーチ」は「ケーキ」ですね。
私は「テーチッチュッタ」と言われたこともありますが、「テーチ」の方が分かったので、「ケーキ作った」だろうなと理解することができました。
レベル2「あれテンチョだよ」
子どもって、「サ行」が「タ行」になることもあるんですよ。「サシスセソ」が「タチツテト」のように聞こえるということです。これを考えると「テンチョ」は「センショ」・・・。
まだ分からないですね。「テンチョ」の「チョ」は、先程のように「カ行」が「タ行」になってました。「テンチョ」は「センキョ」だったんです。「テンチョだよ」と子どもが言ったとき、遠くから選挙カーの声が聞こえていたのでした。
レベル3「ジョージャちゅくった」
冒頭で取り上げた「ジョージャちゅくった」です。「ちゅくった」が「作った」だということは、すぐに分かります。「ジョージャ」は、「ショ」「シャ」が濁ってしまったんです。そして、「ボウ」から「b」の音が脱落しています。「ジョージャ」は「消防車」です。
レベル4「ジュージャちゅくった」
先程の「ジョージャ」と似ています。今度は「ジュージャ」です。可能性としては「ジュジャ」に近かったら「注射」、「ジューージャ」に近かったら「救急車」です。確認しきれていないので、おそらくそうだろうという推測です。
他にも、「座布団」→「ジャブトン」、「象」→「ジョウ」など、「ザジズゼゾ」が「ジャジジュジェジョ」に変わることもあります。また、「ラーメン」→「ヤーメン」「リャーメン」「アーメン」と、「ラ行」は「ヤ行」への変換や「r」の脱落が起こります。
変換が1カ所だと簡単に分かるのですが、数カ所あったり音の脱落と組み合わさったりすると難しいですね。
レベル5「テレモージちょうだい」
「テレモージ」は、音の変換や脱落などではなく、何となくの感覚だけで言っていたものです。この「何となく感覚で言う言葉」は「幼児語」として扱われているのを見たことはありません。しかし、子どもは大人よりも言葉を正確に発しないことが多いので、この記事の中では「何となく感覚で言う言葉」も「幼児語」とさせてもらいました。
「テレモージ」は「爪楊枝」でした。
次からは、これらを言われたときに、どのように対応するかをお伝えしています。では続きをどうぞ。
難解な幼児語への対応の仕方
子どもが何を言っているのか分からなかったとき、「え?テーチ?」「もう一回言って」などと言うのはなるべく避けた方が良いでしょう。分からなかったとしても、そのまま話を続ければ良いんです。
聞き返すのは1度だけ
子どもは正解を言っている(と思っている)んです。大人なら、何度も聞き返すと「同じことを何度も言わせるな」と、怒る人だっていますよね。子どもも同じです。聞き返すときは、できれば、2度3度と聞き返さないようにしましょう。
ただの反復練習は意味が無い
何を言っているか分からなかったからといって「『ショウボウシャ』だよ。言ってごらん。」なんて言っても、意味は無いです。多くの場合、聞き取ることはできていて、発音できないだけですから。大人としては満足いかない発音でも、子どもにとってどうしようもないんです。
私は以前、アメリカ人の友人に英語の発音の話をしたら、なぜか「 Sylvania」をひたすら言うことになって、うんざりしたことがあります。自分の発音のどこがマズいのか、「さっきのがOK」と言われても今までとどう違うのか、全く理解できないまま、何度も繰り返し言わされたので、「ごめん。全く違いが分からない。やめよう。」と、お願いして止めました。 子どもも、これと同じ状態なんです。
ところで、英語にも幼児語はあります。「brother」の「th」部分が発音できない子どもに向かって、大人が繰り返し「brother」と言い、その子どもが顔も上げず、「broder」と「d」で返しているのを聞いたことがあります。明らかに面倒くさそうで「またいつものが始まったよ。付き合ってやるか。」という感じが満載でした。
「テーチ」が分からないとき
「テーチ」が何なのか、分からなくても対応することはできます。
砂場で「テーチだよ」なら、「作るの大変じゃなかった?何回もやってたよね。」だし、ママゴトの最中に「テーチどうじょ」だったら、「はい、ありがとう。」と受け取れば良いです。
おそらく、続けて「おいしい?」とか「早く食べて」とか言われるはずですから。そうすると、「食べ物だったのか」ということが分かります。
「あれテンチョだよ」が分からないとき
「テンチョ」が何なのか、分からなくても対応することはできます。テンチョに限らず「あれ」と言われたときは「あれ」に反応しましょう。
「え?テンチョ?」とか「テンチョって何?」と聞き返しても、説明できるわけないですよね。そもそも、子どもは自分では「選挙」と言っているつもりなので、「テンチョじゃないよ。選挙だよ。」としか思えません。
「あれ」の方に反応しましょう。「え?あれって?」と聞き返せば、「ほら、チトエルデチョ(きこえるでしょ)」などと返事が返ってくるはずです。「聞こえてくるものなのか」と思えます。
「ジョージャちゅくった」「ジュージャちゅくった」が分からないとき
「ジョージャ」や「ジュージャ」が何なのか、分からなくても対応できます。ジュージャやジョージャに限らず、「作った」と言われたときは、見たままを言えば良いんです。
作った物を見せながら言われたら、対応は簡単ですね。もし、消防車や救急車に見えるのであれば、「消防車だ」と言うのが1番の褒め言葉ですよね。見ても何物か分からないなら、「テープいっぱい貼ったね。」とか、「ここのところ、頑張って塗ってたでしょ。」とか言えば良いんです。
「今日、保育園で何して遊んだの?」への返事で「ジョージャちゅくった」と言われた場合も、そのまま話を続けましょう。「みんなで作った?」とか「材料は?箱とか使った?」とか「ペタペタ貼ったの?」とか。詳しく聞くうちに、何かが分かってきます。
「テレモージちょうだい」が分からないとき
「テレモージ」が何なのか、分からなくても対応はできます。テレモージに限らず、「ちょうだい」と言われたときは「何に使うの?」と聞けば良いんです。
詳しく話を聞くうちに、どういう大きさで、どんな形をしているかが分かります。私が「何に使うの?」と聞いたときには、「だからー、テ!レ!モーージ!」という答えが返ってきましたけど。
まとめ
幼児語が分からなくても、そのまま会話を続ければ良いんです。会話をするうちに、それが何を表しているのかが分かってきます。
できることなら、子どもの話を遮ることなく、聞き返すことなく、気持ち良く話を続けられるようにしたいですね。
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保育塾代表
2人の娘の父親
公立幼稚園・幼保園・大学の附属幼稚園での勤務を経て、保育塾を立ち上げる。
ラッパ吹き。小学生を中心に、20年以上いろんなバンドを指導しています。普段は保育士・幼稚園教諭のみなさんが、余裕をもって保育ができるように情報発信をしています。専門的なことも交えつつ、それが感じられないほどの分かりやすい言葉で、保護者のみなさんにも情報をお届けしていきます。