【有給休暇】保育士・幼稚園教諭のみなさんが正常に休みを取るために知っておくべきこと

「保育士は休めない」という話、よく聞きますよね。でも、休めないのは「有給休暇を取る雰囲気ではない」とか、「病気休暇についてよく分かっていない」などが原因の場合も多くあります。むしろ、「きちんと休んでほしい」と思っている管理職もたくさんいるんです。

この記事では、保育士や幼稚園教諭のみなさんにも分かりやすいよう、有給休暇について説明しています。「保育士は休めないから・・・」ということは、一概には言えませんよ。ただ、「雇用条件によって違う」ということはあります。今の働き方で、どのくらいの休みを取ることができるか、確認しながら読んでみてください。

有給休暇は与えなければいけない

有給休暇って、雇った人が、労働者に与えなければいけないものなんです。

法律で決まっていることです。違反すると罰則があります。かといって、いつでも好きなときに、みんなが休んでしまうと、それも困りますよね。だから「この日は無理だから、他の日に休んでくれない?」と言うことはできます(これを「時季変更権」と言います)。

年次有給休暇に関するよくある誤解を徹底解説-罰則に要注意!

有給休暇は「忙しい」では断れない

有給休暇を申請されたとき、申請された側は「この日はちょっと無理だから、他の日にしてくれない?」と言うことはできます。でも、「忙しいから無理」という理由で断ることは、基本的にはできないんです。

「ちょっとこの日は無理」と言えるのは、

  • 年末で特に忙しいとき(会社の場合は年末が忙しいですよね)
  • 同時に何人も休暇を取ろうとしたとき

保育所の場合は、1年中いつでも忙しいって言ってますよね。誰も休まなくても、すでに人員が足りないですよね。そういう場合は休めるんです。

・使用者として通常の配慮をすれば、代替勤務者を確保して勤務割を変更することが客観的に可能な場合は、事業の正常な運営を妨げる場合に当たらない

・恒常的な要員不足により常時代替要員の確保が困難である場合は、時季変更権は行使できない

人繰りをするのは経営者や管理職の責務であり、恒常的な要員不足は経営者の問題であると裁判所は判断しているということです。

出典:年次有給休暇に関するよくある誤解を徹底解説-罰則に要注意!

ちょっと難しいですね。

  • 「シフトをちょっと工夫したり園長が補助に入ったりすれば人員が足りる」というような場合は、正常な運営の範囲です。有給休暇は取れます。
  • 「3人欠員でスタートしたから代わってくれる人がいない」など、常に人が足りない場合は、「忙しい時期だから無理。」とは言えません。有給休暇は取れます。

ということです。

※「園長先生が常にどこかのクラスに補助に入る」という状態を推奨しているのではありません。補助に入るのはどうしても必要なときだけです。合わせて、「保育士は大変」と思っているなら知っておくべきたった1つのこと
も読んでみてください。

有給休暇の計画的付与

とはいえ、みんなが自由に有給休暇を取ると、経営者側は大変ですよね。そこで、「計画的付与」というものがあります。業務に支障が出ないように、あらかじめ「できればこの日に有給休暇を取ってね。」と言えるんです。でも、有給休暇の全てを「できればこの日に取ってね。」と言えるわけではありません。最低5日は、労働者が自由に利用できるようにしておかないといけません。
年次有給休暇の計画的付与について【労働基準法第39条関係】
会社の勝手にさせないための「有給休暇の計画的付与」の知識

「担任だから休めない」をやめましょう

基本的に平日しか勤務しない、幼稚園の担任は、有給休暇を取りづらいです。というか、「担任だし休むわけにはいかない」と思っていますよね。保育所の場合を考えてみましょう。保育所は土曜勤務もあるため、代わりに平日が休みになります。「今日は担任の先生がいない」ということも当然あります。

「絶対に担任の先生じゃないとダメ」みたいな子どもも確かにいます。でも、進級や進学で担任は替わりますよね。担任の存在があまりにも大きいと、次の年に何もできなくなります。担任ではない、他のいろんな人と関わることも大事です。担任が休んでいる状態も必要なんです。「担任は子どものために休まない」を続けていると、自立しようとしている子どもの、成長の機会を奪っていることにもなりかねません。

有給休暇を取れない人もいる

残念なことに、有給休暇を取れない人もいます。

パートや臨時、嘱託など、正社員でなくても、すべての労働者に有給休暇はあります。でも、有給休暇を取れない場合があるんです。

働き始めてすぐは、有給休暇を取ることはできません。雇われてから6ヶ月後に、有給休暇を与えられるためです。パートや臨時、嘱託など、雇用形態が違っていても、正社員と同じように与えられます。ただし、週の労働時間が30時間未満の場合、働く日数によって、与えられる有給休暇の日数が変わってきます。

ということは、「契約期間を短くして、何度も更新する」という場合、有給休暇は与えられません。これはどうしようもないです。契約期間がどうなっているかは、きちんと確認した上で働きましょう。

「有給休暇が無い状態で働いているけど、どうにかしてほしい」という人は、交渉しましょう。「何も言われない」ということは、イコール「変える必要は無い」と受け取られます。

2020年に法律が変わります

2020年4月に地方公務員法及び地方自治法の一部改正が行われます。適正な任用・勤務条件を確保するため、新たに「会計年度任用職員」が制度化。自治体で働く臨時・非常勤等職員の多くが任用移行されることになります。

出典:2020年4月の法改正で臨時・非常勤等職員の働き方が変わる

臨時・非常勤職員の賃金水準や、手当、休暇、採用の制度などが、変わるということです。

でも、現場が何もしなくても改善されるということはありません。

「申請しないと受け取れない」ということが、いくらでもありますよね。それと同じです。待っているだけでは「何も問題ない」と言っているのと同じ事です。「臨時・非常勤職員でやってるけど、本来は常勤の職員がするべきこと」「給料をこれくらいもらわないといけない」などの声を届けないと、何も変わりません。

「有給休暇を取れるようにしてください」ということも、何も言わなければ何も変わりません。

私立の保育所・幼稚園も同じことですよ。このタイミングで声をあげましょう。

声をあげても反応がなかったら

声をあげても反応がなかったら、休みをもらえる雇われ方をするしかありません。ちゃんと給料や休みをもらえるところで働きましょう。公表している条件では「契約期間は1年で毎年更新」と言っているのに、書面上では「3ヶ月毎の自動更新」などとなっていないか、きちんと確認しましょうね。

働く条件について、きちんと教えてもらうため、正しい情報を手に入れるために、複数の機関に登録して比べてみることは方法の1つです。オススメする転職サイトを載せておきますので、1つずつ比べてみてください。

ABOUTこの記事をかいた人

管理人のUCHI(うち)といいます。 公立幼稚園、幼保園、大学の附属で働いていた元幼稚園教諭。 現在、島根保育塾代表。仕事を効率化するだけなら簡単です。しかし、保育の質を落とさず(むしろ上げながら)効率化することは、現場を経験した人間でないと、なかなか上手くできません。「保育の質を上げる」「労働時間の短縮」これを両立させるための記事を書いていきます。あなたの園に合わせた方法を知りたい人は、お問い合わせくださいね。