【保育の見取りと言葉かけに通じる】全身入れ墨の人にこちらから話しかけることになった話

以前、温泉で全身入れ墨の人に話しかけたことがあります。好んで話しかけたのではありませんが。「保育の話で入れ墨を出すなんて」と敬遠する方もいらっしゃるでしょうが、むしろそのような方に読んで頂きたい記事です。「第1印象では分からないですよ」「ひと呼吸置いて判断しましょう」ということが伝われば幸いです。

目の前に全身入れ墨の人が現れたらどうしますか?

多くの入浴施設では、入れ墨をしている人は入ることができません。周りの人が怖がって、利用客が減るからですよね。オシャレで入れたタトゥーはどうかという話もあるようですが、それは置いておきます。私の目の前に現れたのは、明らかにオシャレ用のタトゥーではない入れ墨が全身に入った人でした。とはいえ、オシャレのつもりかもしれないですね。「第1印象では分からない」ということを伝えたい本人が、こんな決めつけをしてはいけません。とにかく、50代半ばくらいの、そこらにいるようなおじさんで、若者向けのタトゥーでないことは明らかでした。

私は浴場の出入り口が見える位置で湯船に浸かっていました。そのため、その人の全身に入れ墨があることも、年格好も、一目で分かりました。というよりも、目が合うような状態でした。あなたがこのような状況になったらどうしますか?おそらく、自然な感じで目をそらすのではと思います。実際、私はなるべく自然な感じになるように、なんとなく出入り口の方を見ていました。急に違うところを見るのも不自然ですから。

全身入れ墨の人に話しかける必要があるときどうしますか?

10分ほど後、妻や子ども達と待ち合わせた時間が近付いたため、私は湯船を出て脱衣所に向かいました。そこで思いがけないことが起こったのです。私の服と荷物が入っているロッカーの扉をふさぐようにカバンが置いてあり(ロッカーは1番下の段でした)、すぐ上の段のロッカーの扉は開いていて、その前には先ほどの入れ墨の人が立っていました。カバンはこの人のものでした。

私は扇風機にあたって待つことにしました。相手の入れ墨の有無に関わらず、ロッカーの周りが混雑しているときは待てば良いのです。というよりも、ロッカーの周りが混雑していないときにも私は扇風機にあたります。ですので、すぐにロッカーの扉を開くことができない状況でも、そんなに困るとは思っていませんでした。

しかし、この日はちょっと困りました。入れ墨の人は短髪であるにも関わらず、鏡の前に向かったのです。カバンは置きっぱなしです。追いかけていって、ロッカーの前のカバンをどけてもらうように頼むのは不自然ですよね。そうするくらいなら、最初から声をかけています。どうしようかと少し迷いましたが、その人はすぐに戻ってきました。この時、私の職業病が顔を出したんです。「これって子どもを見取るときと似てるよね」と。

全身入れ墨の人にどのような言葉をかけますか?

保育モードが顔を出したのなら、することは1つです。「自分が困ってる」という状況に目を向けるのではなくて、「この人はどんな人なんだろう」と、相手に目が向きました。後から浴場に入ってきて体を洗っていた人が、ほんの10分ほどで脱衣所にいるということは、湯船には浸かっていないでしょう。もしかしたら、入れ墨を多くの人に見せないように気を使っていたのかもしれないですよね。そして、扇風機にあたっている私の後ろを通り抜けるときは、少し体をかがめていたようでした。

これだけ分かれば、あれこれ考える必要はありません。普通に声をかけることにしました。

実際声をかけたらどうだったか

実際には、「あの、すみません。ここのロッカーを開けたいのですが、カバンをどけてもらえますか」と言うつもりが、「あの、すみません。ここのロッカーを」くらいまでしか言わせてもらえませんでした。すぐに察したその人は、「ああっ、すみません、すみません」と言いながら、カバンをどけ、自身もロッカーから少し離れたところに移動されたんです。どこにでもいる、気のいいおじさんにしか見えませんでした。

保育で言うとどうなるか

今回は、「子どもが片付けないときにはこう言うと分かりやすいよ」「走りませんよりも歩こうねと言おう」という話とは真逆の話をしています。状況に目を向けるのではなく、相手が(子どもが)どんなことを感じているのか、考えているのかに目を向けて見取り、かける言葉やタイミングを判断します。魔法の言葉などとはかけ離れた、なんでもない言葉です。パッと見た第1印象で判断するのではなく、ひと呼吸置いてよく見ることで、声のかけ方は変わってきますよ。

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保育塾代表
2人の娘の父親
公立幼稚園・幼保園・大学の附属幼稚園で勤務の後、保育塾を立ち上げる。
ラッパ吹き。小学生を中心に、20年以上いろんなバンドを指導しています。

保育士・幼稚園教諭のみなさんが、ほんの少しだけ余裕をもって仕事ができたら、プラスの循環が生まれます。

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ABOUTこの記事をかいた人

管理人のUCHI(うち)といいます。 公立幼稚園、幼保園、大学の附属で働いていた元幼稚園教諭。 現在、島根保育塾代表。仕事を効率化するだけなら簡単です。しかし、保育の質を落とさず(むしろ上げながら)効率化することは、現場を経験した人間でないと、なかなか上手くできません。「保育の質を上げる」「労働時間の短縮」これを両立させるための記事を書いていきます。あなたの園に合わせた方法を知りたい人は、お問い合わせくださいね。