リトミック・リズム遊びをなんのためにするのか改めて考えたくなる話

これまで、いろんな園の実践を聞いていますが、リトミックやリズム遊びに関して、「心の底から楽しんでます。自然と身体が動くんですよ。」というような言葉を聞いたことは、ほとんどありません。単純に、取り入れるだけでは難しいのかもしれませんね。そこで、この記事では、「なんのためにするのか」を改めて考えたくなる例を紹介します。

リトミックとはなんだろう

リトミックは、プロの演奏家を目指すような人に向けて、音楽表現を豊かにするために、ダルクローズという人が作ったものです。現在は、幼児教育に多く取り入れられていることは、みなさん、ご存知ですよね。

全身を使って音楽を動きで表現するリトミックと、音楽を聴く耳を育てるソルフェージュ、即興演奏を組み合わせ、音楽の諸要素を体験する事を教育法の原点に置き、音楽理解を深め、動きによって得た筋肉感覚を生かし、その積み重ねにより自己を開放し、磨かれた感性をもとに、自己音楽表現を可能にする事がこの教育法の目的です。

引用:日本ジャック=ダルクローズ協会

この説明は、一般的なものも含むので、幼児教育で行われるリトミックと比べると、ずいぶん高度なことを言っている印象ですね。とにかく、「音楽に合わせて決められた動きをするもの」ではないんですよ。

公開保育の日にリトミックをしていた園の場合

ある園の保育を見に行ったとき、3歳児のクラスではリトミックをしていました。流れるようにピアノを弾く先生。音楽に合わせて動く子ども達。「ここは寝転ぶんだったでしょう」と、子どもを押さえつける別の先生…。これは、「発表会のために」していたんでしょうか。公開保育の対象は5歳児クラスだったので、リトミックについては話してもらえなかったように記憶しています。

日本ジャック=ダルクローズ協会が言っていることは難しいかもしれませんが、幼児教育だと、5領域の表現とつながるものがありますよね。私が目にしたのは3歳児なので、リトミックをするのは「その子らしい表現のために」でよいのではと感じます。

ピアノの音で子どもを動かそうとする小学校の場合

今度は小学校の事例です。音楽の授業で、合奏曲をそれぞれの子どもが自由に練習していました。しばらく経つと、先生がピアノを鳴らしました。続けて、「黙って座る!」と大きな声で指示。おそらく、ピアノの合図で座るという約束事があるのでしょう。結局、「黙って座る!」と指示するなら、ピアノを鳴らす意味はあまり無いですね。5年生だったので、そんなに簡単には座らないでしょうから、そろそろ違う方法にすれば良いのにと思います。

ここでは、分かりやすいように、あえて5年生の例を挙げています。さすがに5年生なら、ちょっとやり方を考えた方がよいのではと、あなたも読んでみて思いませんでしたか?保育所、幼稚園、こども園では、ピアノに合わせて動くことで子どもが楽しめるのであれば、座る曲や集まる曲があってもよいですよね。ただ、どの年齢でもずっと一緒のやり方ではなくて、子どもの実態に合わせて変えていきましょう。

静かにさせるためにリズム遊びをする小学校の場合

こちらも小学校の事例です。今度は1年生の場合。小1プロブレムが取り上げられて何年も経ち、小学校との接続が取り沙汰されることも多くなりました。「小学校の先生は、幼稚園の先生に、子ども達が慣れ親しんできた手遊びなどを教えてもらいましょう」などという動きもありますが、手遊びやリズム遊びを、「子どもを静かにさせるために」やっている人が多いのではと感じます。とにかく、先生が楽しくなさそうなんですよね。子どもも付き合ってやってはいますが。

これはもう分かりますよね。まずは楽しむためにやりましょう。静かにしてもらいたいとしても、楽しんでやった結果、子どもが集中して、そのタイミングで話を切り出す…という順番ですよね。静かにさせるためではなくて、ただひたすらに楽しめば良いと思いますが。楽しんでやった結果、いろんな表現を体験することになったり思い付いたりするんです。

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公立幼稚園・幼保園・大学の附属幼稚園で勤務の後、保育塾を立ち上げる。
ラッパ吹き。小学生を中心に、20年以上いろんなバンドを指導しています。

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ABOUTこの記事をかいた人

管理人のUCHI(うち)といいます。 公立幼稚園、幼保園、大学の附属で働いていた元幼稚園教諭。 現在、島根保育塾代表。仕事を効率化するだけなら簡単です。しかし、保育の質を落とさず(むしろ上げながら)効率化することは、現場を経験した人間でないと、なかなか上手くできません。「保育の質を上げる」「労働時間の短縮」これを両立させるための記事を書いていきます。あなたの園に合わせた方法を知りたい人は、お問い合わせくださいね。