【1語からスタートしても書ける】指導要録・保育要録をスラスラ書く方法

・要録を書き始めたけど、次の言葉が出てこない

・スペースが全然埋まらない

・詳しく書こうとすると、とんでもなく長くなる

こんな風に思っている人はいませんか?

この記事では、幼稚園の指導要録、保育所の保育要録の書き方を、具体例を挙げて詳しく説明しています。

たった1語からスタートしても、書くことができますよ。

指導要録・保育要録は「シンプルな視点」で書く

要録を書くときに、特に時間がかかって苦労するのは、「指導に関する記録(幼稚園)」「保育に関する記録(保育所)」ですよね。

「5領域のこともあるし、10の姿とか資質・能力とか・・・」

ということを考えていると書けません。

もっと簡単に考えましょう。

「指導に関する記録・保育に関する記録」には、次のことを書きます。

  1. この1年ですごく育ったことと、指導したこと
  2. 来年度の先生に、配慮してほしいこと
  3. 小学校以降につながる、育ちつつある姿と、どう指導してきたか(これを書くのは5歳児のみ)

これだけです。

なぜ、このように言うことができるかは、

【超シンプルな視点で書ける】指導要録・保育要録の意味と書き方を読んでください。

では、具体的にどのように書いていくかを説明します。

この1年で育ったことは何かを書く

スタートは一言でOKです。

あなたが担任している子ども(仮にAちゃんとします)を、誰か1人思い浮かべましょう。

Aちゃんは、この1年で何が育ったでしょう?

  • 「鉄棒」
  • 「カバンの準備」
  • 「給食」

これだけでも思い浮かべば大丈夫です。

ここから膨らませていきましょう。

始めの姿を思い出す

単語だけでも思い浮かんだら、次は、始めの姿を思い出しましょう。

箇条書きで十分です。

最初から文にしようとすると、上手い表現が見付からなくて手が止まってしまいます。

「鉄棒」
始めは無関心。近くにも行かなかった。

「カバンの準備」
何もしなかった。いつまでも遊んでいた。

「給食」
好き嫌いがすごく多かった。立ち歩くこともあった。

今の姿を並べる

次は、今の姿を並べて書きましょう。

「鉄棒」
始めは無関心。近くにも行かなかった。
今は鉄棒で遊ぶようになった。できないとあきらめる日もあるし、頑張ってるときもある。

「カバンの準備」
始めは何もしなかった。いつまでも遊んでいた。
今は準備をするようになった。していないときもあるけど、注意したらする。

「給食」
始めは好き嫌いが多かった。立ち歩くこともあった。
今も好き嫌いは多い。でも前よりは食べるようになった。座って食べるようになった。

指導したことを書く

Aちゃんは、ほっておかれても今の姿になったのでしょうか?

そんなことないですよね。

あなたが根気強く、丁寧に接してきたからAちゃんの姿が変わったはずです。

どのように援助してきたかを、始めの姿と今の姿の間に書きましょう。

箇条書きで十分です。

「鉄棒」
始めは無関心だった。近くにも行かなかった。
・他の遊具でたくさん遊んだ
・特にジャングルジムで遊んだ
・仲の良い友達と一緒に鉄棒に誘った
・応援をたくさんした
・いっぱい褒めた
今は鉄棒で遊ぶようになった。できないとあきらめる日もあるし、頑張ってるときもある。

「カバンの準備」
始めは何もしなかった。いつまでも遊んでいた。
・準備するものを絵で表示した
・カバンの準備の時間も、時計の絵で分かるようにした
・Aちゃんにだけ前もって知らせた
・「次は何をするでしょう?」とクイズにした
・「みんなは何をしてるかな?」と声をかけた
今は準備をするようになった。していないときもあるけど、注意したらする。

「給食」
始めは好き嫌いが多かった。立ち歩くこともあった。
・「おしりとイスを仲良しにして」と声をかけた
・「これだけ頑張ってみようか」と声をかけた
・好きな食べ物の話をした
・少しでも食べていたときは褒めた
・ハシの持ち方を褒めた
今も好き嫌いは多い。でも前よりは食べるようになった。座って食べるようになった。

書いたことをつなげて文にする

ここまで書いてきたことをつなげて、文にしてみましょう。

文にするときは、状況が分かりやすくなる言葉を少し付け加えます。

援助については、箇条書きしたものの中から、「これはAちゃんにすごく合っていた援助だった」というものを選んで文にしましょう。

来年度の先生は、「どんなやり方をしたらこの子どもが育ったのか」を知りたいんです。

〇始めは無関心で、鉄棒の近くにも行かなかった。しかし、他の遊具でたくさん遊んだり担任や仲の良い友達に誘われたりするうちに、鉄棒でも遊ぶようになった。3学期には、できなくても頑張る姿が見られるようになった。

〇年度当初は、カバンの準備をせずに、いつまでも遊んでいる姿があった。担任は、前もって知らせたり周りの子ども達を見てみるように声をかけたりしてきた。次第に状況が分かるようになり、今は概ね自分で準備を始めるようになっている。

〇好き嫌いが多く、給食中に立ち歩くこともあった。少しでも食べようとしてハシをつけたときや、きちんとハシを持っているときに、褒められると、少しずつ頑張って食べるようになってきた。また、立ち歩くこともなくなった。

来年度の先生に配慮してほしいことを書く

要録には、来年度の先生に配慮してほしいことも書きましょう。

目立つように書きたかったら、

〇クラス全体に伝えたことは理解していない場合があるため、個別の対応が必要である。

〇目が合っていなくても、言われていることは理解している。話を聞く際は目を合わせるということを指摘すると、そのことばかりに気を取られるためか、逆に話を聞けない場合がある。

〇視覚的な支援があると理解しやすい。

など、配慮してほしいことだけを単独で書きましょう。

先ほどまでの文に、配慮してほしいことを入れて書いてもOKです。

〇始めは無関心で、鉄棒の近くにも行かなかった。しかし、他の遊具でたくさん遊んだり担任や仲の良い友達に誘われたりするうちに、鉄棒でも遊ぶようになった。3学期には、できなくても頑張る姿が見られるようになった。体の動かし方には、ぎこちなさが残っている。鉄棒をしっかりと握っていないこともあるため、安全に注意するよう、配慮をお願いしたい。

〇年度当初は、カバンの準備をせずに、いつまでも遊んでいる姿があった。担任は、前もって知らせたり周りの子ども達を見てみるように声をかけたりしてきた。次第に状況が分かるようになり、今は概ね自分で準備を始めるようになっている。このように、本児に声をかける際は、みんなの前で注意をするのではなく、できるだけ個別に声をかけてほしい。

小学校以降につながる、育ちつつある姿と、どう指導してきたかを書く

小学校以降につながることを書くのは、5歳児のみです。

「10の姿」とか、「資質・能力」とかを思うと、何を書くか分からなくなりますよね。

考えなければならないことが多すぎます。

「小学校以降につながる、育ちつつある姿と、どう指導してきたか」を書きましょう。

これでも難しいですね。

さらに簡単に考えましょう。

今の姿を詳しく書く

これだけです。

子どもは育ち続けていますから、今の姿は、小学校以降につながっています。

今の姿を書けば、「資質・能力」や「10の姿」のどれかと関連しています。

「10の姿の、自立心のことについて書こうかな・・・」

とか思うと書けなくなります。

書いてしまってから、

「これは10の姿で言うと、どれと関連しているかな・・・」

と考えましょう。

「~ができなかった」をなくして今の姿を詳しくする

「10の姿」や「資質・能力」に関連したことを書くと、スペースがなくなります。

「1学期には~ができなかったが」の部分を、なくしてしまいましょう。

その分、今の姿を詳しく書きましょう。

意味が通じやすいように、言葉は少し変える必要があります。

もう一度、Aちゃんについて書いていたことを例にします。

〇始めは無関心で、鉄棒の近くにも行かなかった。しかし、他の遊具でたくさん遊んだり担任や仲の良い友達に誘われたりするうちに、鉄棒でも遊ぶようになった。3学期には、できなくても頑張る姿が見られるようになった。

この文から、「〇〇ができなかった」の部分をなくして、今の状況を詳しくしてみます。

〇他の遊具でたくさん遊んだり担任や仲の良い友達に誘われたりするなどの経験を重ねるうちに、苦手な鉄棒にも挑戦するようになった。3学期には、できなくても頑張る姿や、「次はこうするよ。」などと、自分で目標をもって、繰り返し頑張る姿が見られるようになった。

このように書いておいてから、

「できなくても頑張る、繰り返し頑張るっていうのは自立心かな・・・」

という順番で考えましょう。

まとめ

「指導に関する記録・保育に関する記録」には、次のことを書きましょう。

  1. この1年ですごく育ったことと、指導したこと
  2. 来年度の先生に、配慮してほしいこと
  3. 小学校以降につながる、育ちつつある姿と、どう指導してきたか(これを書くのは5歳児のみ)

これだけです。

単語だけでも思いついたら、次は、箇条書きをしていきます。

  • 始めの姿を思い出す
  • 今の姿を並べて書く
  • 指導したことを書く

ここまでしてから、書いたことをつなげて文にしましょう。

最初から文を書こうとするから難しくなります。

さらに、

来年度の先生に配慮してほしいことがあったら書き加えましょう。

「10の姿」「資質・能力」のことは、最初は考えなくても大丈夫です。

小学校以降につながる、育ちつつある姿と、どう指導してきたかを書きましょう。

これでも難しく感じる人は、とにかく今の姿を詳しく書きましょう。

書いてから、「10の姿のどれと関連してるかな」と考えればOKです。

「文の書き始めからつまずく」「いろんな表現にするのが苦手」という人は、

【文のスタート・つながりで悩まない】指導要録・保育要録をスラスラ書く方法

を読んでみてください。

「とにかく難しい」感じてしまう人は

【超シンプルな視点で書ける】指導要録・保育要録の意味と書き方

指導要録・保育要録の書き方で迷ったときに試したい3つのこと

をチェックしましょう。

肯定的に書くのが難しいときは

肯定的な言葉で「指導要録・保育要録」を書ける3つの法則

書くのに時間がたくさんかかってしまう人は

指導要録・保育要録に時間を取られる5つの理由と対処法

を読んでください。

「これで要録も書けそうだ」「援助の書き方をもっと知りたい」という人は

指導要録・保育要録の内容と保育力をレベルアップさせる「援助」の書き方

も読んでみましょう。

要録の清書がつらい人は

指導要録・保育要録をパソコンで「無料」かつ「安全」に作成する方法

を読んで、要録を電子化することを考えましょう。

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

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ABOUTこの記事をかいた人

管理人のUCHI(うち)といいます。 公立幼稚園、幼保園、大学の附属で働いていた元幼稚園教諭。 現在、島根保育塾代表。仕事を効率化するだけなら簡単です。しかし、保育の質を落とさず(むしろ上げながら)効率化することは、現場を経験した人間でないと、なかなか上手くできません。「保育の質を上げる」「労働時間の短縮」これを両立させるための記事を書いていきます。あなたの園に合わせた方法を知りたい人は、お問い合わせくださいね。