「教育課程」「全体的な計画」と「年間指導(保育)計画」の違い

「教育課程と年間指導計画が同じに見える」
「年間指導計画を作成しようとすると、教育課程との区別がつかなくなる」
「そもそも、全体的な計画って何?」
などと思っているみなさん。

この記事では、「全体的な計画」「教育課程」と「年間指導(保育)計画」との違いを、シンプルに説明し、具体的に何を書けばいいかを分かるようにしてあります。

あなたの園の教育課程を見て、必要無い部分、付け加えないといけない部分を考えながら読んでくださいね。

「教育課程」「全体的な計画」「年間指導(保育)計画」の違いをシンプルに表すと

「教育課程」「全体的な計画」「年間指導(保育)計画」の関係を図で表すと

まずは、幼稚園の教育課程、全体的な計画、年間指導(保育)の関係を、図で見てみましょう。

全体的な計画は、「全体」なので、いろいろな計画が合わさったものです。
1番範囲が広いです。それぞれの計画には、教育課程との関連をもたせます。

教育課程は、幼稚園を運営していく上での、いろいろな計画の1部です。発達について子どもの姿で表すので、個人的には、教育目標よりも「めざす子ども像」が書いてあると分かりやすいと思っています。ねらいと内容も書きます。

年間指導(保育)計画は、子どもの姿、ねらいと内容、保育者の援助や環境の構成を書きます。「保育者の援助や環境の構成」の部分が、教育課程よりもずっと詳しいです。普段の保育、食育、栽培、交流など、年間指導(保育)計画は、必要に応じて数種類あってもいいです。それも教育課程と違うところです。

「全体的な計画」について幼稚園教育要領解説に書いてあること

幼稚園教育要領解説には、
「いろいろな計画を関連付けながら、教育課程を中心にして全体的な計画を作成しましょう」
というようなことが書いてあります。

預かり保育や避難訓練など、いろいろな計画の全てを、教育課程と関連付けて作成していくのが、全体的な計画ということです。
出典:幼稚園教育要領解説  第1章 総説  第3節 教育課程の役割と編成等 6全体的な計画の作成

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「年間指導計画」と「年間保育計画」の違い

「年間指導計画」と「年間保育計画」は同じものだと思ってください。
もともと、学校と同じように「年間指導計画」だったものを、「保育の世界で『指導』はおかしいでしょ。」と思った人が「指導」を「保育」と表現したのだと思います。

幼稚園、保育所に関わらず、「年間指導計画」と「年間保育計画」の両方の表現がありますが、「指導」と「保育」の表現の違いによって、年間の計画の中身が変わっているのを見たことはありません。

区別がつかない原因

あなたの園の「教育課程」と、「年間指導(保育)計画」の区別がつかない原因は、取り扱っている事柄が同じだからです。

もしくは、取り扱っている事柄が、ほとんど変わらないからです。まずは、そこを見直しましょう。

「教育課程」と「年間指導(保育)計画」は具体的に何が違うのか

「教育課程」と「年間指導(保育)計画」は具体的に何が違うのでしょう。

一言で言うと、「保育することをどこまで詳しく表すか」が違います。

「教育課程」は、様式などは、はっきり決まってないんです。

まずは、「教育目標(保育目標)」、または、「期待する幼児像」は、おそらく、どの園でも書いているでしょう。「めざす子ども像」「めざす子どもの姿」などという言葉で書いているところもあります。
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そして、子どもの発達を見通して、子どもの姿で表します。どれくらい詳しく表すかは、園によって全く違います。全年齢を1枚の紙面で表しているところもあれば、各学年を1枚の紙面で表し、期毎の姿を詳しく表しているところもあります。

さらに、それぞれの年齢、時期の発達に合った「ねらいと内容」を表します。
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「年間指導(保育)計画」には、年齢や期毎に、子どもの姿を書きます。さらに、ねらい、内容、保育者の援助などを書きます。

普段の保育用の「年間指導(保育)計画」、食育の「年間指導(保育)計画」、栽培の「年間指導(保育)計画」、交流の「年間指導(保育)計画」など、
それぞれに「年間指導(保育)計画」を作成すれば、「教育課程」と区別がつきやすいです。

結論
「教育課程」に保育者の援助を書いて、「年間指導(保育)計画」を簡単に作ってしまうと区別がつかなくなる。

まとめ

全体的な計画
幼稚園の運営に関わることまで、全部含めたものです。1つの紙面に表すとすれば、それぞれの内容は、そこまで詳しくは表せません。幼稚園の場合は、教育課程を中心に、他の計画を関連させながら、全体的な計画を作成していきます。

教育課程
教育目標を書き、子どもの発達を姿で表し、その姿を基に「ねらいと内容」を書きます。

年間指導(保育)計画
子どもの姿、ねらい、内容、保育者の援助など、保育そのものに関わることを詳しく書きます。必要に応じて、食育、栽培、交流など、それぞれについての年間指導(保育)計画を表すと分かりやすいです。

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ABOUTこの記事をかいた人

管理人のUCHI(うち)といいます。 公立幼稚園、幼保園、大学の附属で働いていた元幼稚園教諭。 現在、島根保育塾代表。仕事を効率化するだけなら簡単です。しかし、保育の質を落とさず(むしろ上げながら)効率化することは、現場を経験した人間でないと、なかなか上手くできません。「保育の質を上げる」「労働時間の短縮」これを両立させるための記事を書いていきます。あなたの園に合わせた方法を知りたい人は、お問い合わせくださいね。