教育課程・全体的な計画の「期」とは【ちゃんとした意味を知っていますか?】

みなさん、「期」とはどのような意味か知っていますか?

教育課程や全体的な計画に「第Ⅰ期」「第Ⅱ期」みたいに書いてある「期」です。

「幼児期」「イヤイヤ期」「反抗期」のように、「期」とは、何かの期間を表します。

では、教育課程や全体的な計画に書いてある「期」は、何を表しているのでしょうか?

この記事では、教育課程や全体的な計画に登場する「期」の意味を説明しています。

期案を書いている人や、教育課程の見直しなどで「期」について疑問がある人は、「期」の意味が分かると、少しはスッキリするかもしれませんよ。

それぞれの園によって、教育課程・全体的な計画の「期」の意味は違う

あなたが働いている幼稚園、保育所の、教育課程・全体的な計画には、どのように「期」が書いてありますか?

それぞれの幼稚園、保育所によって、書き方はいろいろですが、「期」の意味としては、大きく2つに分けられます。

  • 1年間の課程をいくつかに分ける
  • 子どもの発達をいくつかに分ける

このどちらかです。

1年間の課程をいくつかに分ける「期」

1つ目は、学校の「1学期」「2学期」「3学期」と同じように、1年間の課程をいくつかに分ける「期」です。

うちの全体的な計画は「第4期」があるから違うな・・・ということではありませんよ。

学校にも、「前期」「後期」の2学期制のところもあれば、4学期制のところもあります。

2学期制の学校は、1年の課程を2つに分けており、3学期制の学校は、1年の課程を3つに分けています。

試験の回数や、長期の休みなど、それぞれに特徴がありますね。

とにかく、「1年間の課程」をいくつかに分けているのが「期」です。

子どもの発達をいくつかに分ける「期」

2つ目は、「幼児期」「イヤイヤ期」と同じように、子どもの発達をいくつかに分ける「期」です。

幼児の発達について、ものすごく詳しく見てみたら、いくつかに分けることができました。

それを「期」と呼ぶことにしましょう。

みたいなことを言った人がいたんです。

このことは、次に詳しく説明しますね。

とにかく、「子どもの発達」を分けているのが「期」です。

子どもの発達を分ける「期」とは?

「1年間の課程」をいくつかに分ける「期」の意味は、すぐに分かりますね。

「1学期」「2学期」「3学期」と同じように、1年をいくつかに分けて、「第1期」「第2期」「第3期」「第4期」と呼んでいます。

なので、この記事では説明しません。

では、「子どもの発達」を分ける「期」とは、どのような意味なのでしょうか?

一番最初に、「期」のことを言ったのは、玄田初榮(げんだはつえ)という方です。

当時、島根大学の附属幼稚園にいらした頃に「期」を提案されたようです。

「期」についての原文は難しいので、まずは図で表します。

この図と同じように、実際の教育課程も、「期」の区切りは斜線で示されています。

「はい、特徴Aは昨日で終わり。今月から特徴Bになります。」というような発達の仕方はしないですよね。

「あれ?まだ5月になってすぐだけど、もう次の期みたいじゃない?」という姿が見られたと思ったら、何日かすると「やっぱりまだ幼いよね。」ということもあります。で、次の期になってからも、前の期と同じような姿が見られることもあります。

だから「期のさかいめ」は斜線なんです。

それでは原文の引用です。

子どもたちの成長、発達のすじみちをよく見ると、年齢段階や学期の区切りによらない、各時期の特徴を示している。こうした子どもの成長・発達のすじみちの節目節目に目を向けて、その前後とは異なった特徴をもった一定期間を「期」として捉えている。
「期のさかいめ」における子どもの行動は、部分的には重なり合っていて明確でない場合がある。それは、後の段階の萌芽が、前の段階に芽生えているからである。また、「期」が進んでも前の段階の特徴がすっかりなくなるのではなく、いくらか変容しながらも、かなりの期間、残存し続けているからでもある。
「期」の区切りは斜線で示している。これは、前の期の中に、後なる期の萌芽が芽生えたりしていて、さかいめを截然と引くことは実情に即さないからである。また、こうした表し方は、期の区分を一応のめやすとしてとらえ、固定的にみないようにする上からも大切である。
[1981年「教育課程」初版発行
文責 玄田初榮(元本園教諭、元昭和女子大学初等教育学科教授)]

出典:島根大学教育学部附属幼稚園「教育課程」2012

2012年の教育課程で、1981年の文章が引用してあって、さらにそれを引用させてもらいました。

難しい漢字もそのまま載せています。

「截然(さいぜん、せつぜん)」の意味は「区別がはっきりしていること」です。

ただ、どこの園も「期のさかいめ」が斜線で表してあるのではありません。

保育所保育指針解説には、次のように書いてあります。

指導計画は、年・数か月単位の期・月など長期的な見通しを示すものと、それを基に更に子どもの生活に即した週・日などの短期的な予測を 示すものとを、保育所の実情に合わせて作成し、それらを組み合わせて用いる。子どもの発達の状態などに応じて、個別の指導計画、あるいはクラスやグループの指導計画など、必要なものを書式も含めて工夫して作成することが求められる。 長期的な指導計画は、子どもの発達や生活の節目に配慮し、例えば1年間をいくつかの期に区分した上で、それぞれの時期にふさわしい保育の内容について作成する。

出典:保育所保育指針解説

「数ヶ月単位の期」と書いてありますね。

月を単位にしているので、期の境目は縦線です。

でも、「長期的な指導計画は、子どもの発達や生活の節目に配慮し」と書いてあります。

ということは、全体的な計画に書いてある期は、「子どもの発達によって分けてある期」だけど、月単位なので、境目は縦線です。

いかがでしたか?

難しかったかもしれませんが、教育課程の見直しをするときなどに、改めて確認してくださいね。

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最後まで読んでいただき、ありがとうございます。「もっといろいろと知りたい」という方は、ホームページや、このサイトの記事が一覧になったサイトマップをご覧ください。

ABOUTこの記事をかいた人

管理人のUCHI(うち)といいます。 公立幼稚園、幼保園、大学の附属で働いていた元幼稚園教諭。 現在、島根保育塾代表。仕事を効率化するだけなら簡単です。しかし、保育の質を落とさず(むしろ上げながら)効率化することは、現場を経験した人間でないと、なかなか上手くできません。「保育の質を上げる」「労働時間の短縮」これを両立させるための記事を書いていきます。あなたの園に合わせた方法を知りたい人は、お問い合わせくださいね。