あなたはなぜ長時間かけて保育室の壁面を作っていますか?
主任にチェックされるから?
みんなが作っているから?
本当に必要があって毎月変えていますか?
この記事では、壁面の意味・役割と、いろいろな例を紹介しています。
あなたの壁面に対するレパートリーを増やし、「壁面を作りたい!」と思えるように書きました。
レパートリーが増えすぎて悩んでしまったらゴメンナサイ。
なぜ壁面を作るのか、しっかり考えながら読んでくださいね。
次回の壁面で、何をどのように作るのか、はっきりさせましょう。
誰のために保育室の壁面を作るのか
保育室の壁面は、誰のために作るのでしょうか?
保育室を自分の好みにするために作っている人もいるかもしれませんね。
いつもダメ出しされて、上司のために作っているという状態の人もいるかもしれません。
保護者に見せるためもありますね。
でも、一番は子どものために作りますよね。
1.「9月はまだ暑いし、でも夏じゃないし、どうしようかな」
2.検索する
3.「そうだ、キノコとか可愛いかも」
みたいな決め方だと、ただ可愛いだけの壁面になります。
子どものために壁面を作ろうと、本気で考えたら、壁面への考え方が180°変わります。
じゃあ、子どものために作る壁面について、考えてみましょう。
なんのために保育室の壁面を作るのか
子どものために壁面を作るとして、次は、何のために壁面を作るのか考えてみましょう。
壁面を何のために作るかというと・・・
- 友達に興味をもつ
- 作品を飾る
- 安心感をもつ
- 分かりやすくする
- 行事などを楽しみにする
- 季節を感じる
- 美的な感覚を養う
- いろいろな素材に触れる
- 部屋の雰囲気を作る
- 飾ってあるものに興味を持つ
- 壁面そのもので遊ぶ
ざっと並べただけでも、このくらいあります。
1つずつ説明しますね。
友達に興味をもつ
お誕生日の壁面を思いうかべてみてください。壁面を飾ることで、子どもが友達への興味をもつことにつながります。普段の壁面にも、友達への興味を促すものを作っても良いですよね。
【一緒が嬉しい】友達への親しみや興味が増す壁面アイディアでは、お誕生日の壁面をアレンジする方法や、普段の壁面を工夫して、友達への親しみや興味を感じられる方法を紹介しています。そんな風に考えたことの無い人にとっては、少し難しく思えるかもしれません。でも、大人が最初から最後まで壁面を作ることに比べると、ずっと短時間で作ることができるものもたくさんありますよ。
作品を飾る
これはみなさんも、よくやっていることでしょう。子どもの作品を飾って壁面にします。自分の作品が飾ってあるのを見ると、子どもは喜びます。誰の作品か分かるように、名前が書いてある場合は、どちらかというと保護者のために飾っていますよね。小さい子どもは字が読めませんから。
自分の人形を画用紙などで作ったときに、画鋲を刺して飾るのはやめてくださいね。呪いのワラ人形と同じことをやっていますよ。
安心感をもつ
壁面を飾ることが、子どもの安心感にもつながります。先生が着ているエプロンのキャラクターで安心感をもつ子どもがいるでしょう。それと同じことです。大好きな壁面で元気を出せるのであれば、その子どもにとって、壁面はとても大事なものです。「もう無くても大丈夫だよ」という状態になるまで、お気に入りの部分だけでも壁面を残しておいたほうが良いことがあります。
分かりやすくする
「ここは積み木で遊ぶ場所」「ここは絵本を見るところ」など、場所ごとに壁面を作ると、一目で分かりやすくなります。まだ園での生活に慣れていないときや、視覚的な支援が必要なときは、壁面に助けられることもあるでしょう。水道の近くに、手を洗う壁面や歯を磨く壁面を貼っていますか?「手を洗いましょう。」「歯を磨きましょう。」を言わなくても、壁面を見れば、そこが何をするところか分かります。反対に、虫歯やバイ菌の壁面にしても、注意を促すことができます。
行事などを楽しみにする
壁面を見て、行事やイベントなどを楽しみにすることもできます。運動会や芋掘り、七夕など、いろいろありますね。壁面を月ごとに変えていると、ここで困ったことがおきます。行事が終わった後に、月末まで壁面をそのままにしておきますか?行事が終わったら、すぐに次の壁面に変えた方が良いですよね。
部屋の雰囲気を作る
壁面を飾ることで、部屋の雰囲気が変わります。保育室の壁が全部グレーだった・・・なんてことありませんか?全面を飾り付けると大変です。壁の前に、壁面飾りを貼り付けるための壁を作ってしまいましょう。グレーでない場合も、壁面を飾るスペースが広くて大変なら、スペースを区切ってしまいましょう。綺麗に見えるし、作る量が少なくてすみます。次の画像みたいな感じです。
季節を感じる
壁面には、季節感のあるものを飾りますね。それはとても良いことです。でも、季節感を出すことだけにこだわりすぎると、壁面のレパートリーがものすごく少なくなります。この記事に書いているだけでも、壁面には11個の役割があります。他の役割にも目を向けましょう。
季節は壁面で感じても良いですが、他にもいろいろと感じる場面はあります。壁面ではなくて、とにかく本物に触れてはどうでしょうか。本物に触れてから壁面を作ると、壁面作成にかかる時間が大幅に減ります。
詳しくは、
【10分でできる】季節感のある壁面の作り方を見てくださいね。
美的な感覚を養う
美的な感覚と言うと大げさに聞こえるかもしれませんが、壁面で、「可愛い」「きれい」「面白い」などを感じることができます。配色や形、大きさ、全体のバランスなど、「子どもに何を伝えたいか」を考えて作りましょう。適当にくっつけて、端が浮いているような壁面を見ていると、子どもが作る作品も、適当になると思いませんか?
いろいろな素材に触れる
画用紙、包装紙、不織布、折り紙、段ボール、新聞紙、プラスチック、毛糸、皮、本物の植物、紙テープ、布、金属、ペットボトル、などなど。いくらでも使える素材はあります。子どもに興味をもってもらいたい素材を壁面に使いましょう。「子どもの人数分には足りなくて、製作活動で使えないな」という素材を眠らせておくのはもったいないです。壁面で登場させましょう。
飾ってあるものに興味を持つ
よく見るのは絵本の壁面です。絵本に出てくるキャラクターを壁面に飾ると、雰囲気は可愛くなるし、「その絵本を見てみたいな」ということになりますよね。また、壁面を飾ると、それが遊びへの興味にもつながります。段ボールをボルトとナットで止めて、それをロボットにして壁面にすると、機械好きの子どもが興味をもつと思いませんか?すぐに、ボルトやナットを使って遊びたくなります。
壁面そのもので遊ぶ
壁面に遊べるものを飾ると、壁面への興味が大きく変わります。雨が続く時期は、特にありがたいですよ。何人か壁際で遊んでいると、部屋が狭く感じられません。遊んでも壊れないようにするのは、ちょっと大変かもしれません。でも、壁面で遊べるようにすることの効果はすごく大きいですよ。
思い浮かばない人は、
飾るだけじゃもったいない!遊べる壁面アイディア30をチェックして、ぜひ試してください。
保育室の壁面に何を飾るのか
ここで、やっと「何を飾るのか」を考えます。
まず、子どものために壁面を作るのは当然として、次に、なんのために壁面を作るのか考えます。
行事を楽しみにしてほしいのか、季節を感じてほしいのか、新しい物に興味をもてるようにするのか。
先程の、壁面がもつ11種類の役割を参考にしてください。
それから、「季節を感じられるようにするために、何を作ろうか」という順番で考えましょう。
「7月の壁面に、何か調度良いものはないかな~」というのは、
子どもの姿を見ずに、ねらいを考えることもなく、部分実習で何の遊びをするか悩んでいる学生と同じ探し方です。
ということで、「壁面で何を作るか」ということだけ話すのは、あまり意味がありません。
- 子ども達が落ち着けるように、淡い色の材料を大きく使えるものを作る
- ある子どもが安心できるように、その子どもの好きなキャラクターを飾る
- 運動会を楽しみにできるように、「むしたちのうんどうかい」の1場面を作る
などと、「なんのために作るか」をセットにして、何を作るかを考えましょう。
一度に全部をやろうとしないことが大事
この記事で紹介したことを、一度に全部取り入れようとしないでください。
少しずつ、できる分だけ試していきましょう。
壁面だけに時間を使うのではなく、他のことにも目を向けてください。
壁面というのは、環境の一部でしかありません。
園庭と、園舎を全部合わせた、広い敷地のほんの一部です。
壁面に注ぐのと同じだけのエネルギーを、遊具の安全点検に使っていますか?
子どもに今一番ピッタリ合う絵本を選んで、これ以上ないタイミングで読み聞かせていますか?
壁面以外の環境全てに、壁面と同じ手間をかけることは不可能ですよね。
壁面ばかり特別扱いしないで、他の環境と同じように、少しずつ頑張りましょう。
最後に、
子どものために必要なら、月1回どころか月に何回でも作り変えましょう。
月1回のペースで壁面を変える意味は何かを考えましょう。
子どものために、同じ壁面を飾り続けたほうが良いのなら、何ヶ月でも同じ壁面で通しましょう。
この記事で紹介した、壁面の役割に関する記事はコチラです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
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保育塾代表
2人の娘の父親
公立幼稚園・幼保園・大学の附属幼稚園で勤務の後、保育塾を立ち上げる。
ラッパ吹き。小学生を中心に、20年以上いろんなバンドを指導しています。保育士・幼稚園教諭のみなさんが、ほんの少しだけ余裕をもって仕事ができたら、プラスの循環が生まれます。
ほんの少しだけ余裕をもって仕事ができたら、ほんの少しだけ子どもが落ち着いて、そうするとまた、ほんの少しだけ余裕ができて、効率良く仕事ができる方法を調べたりして・・・
そんなプラスの循環の始めの一歩、小さな余裕を生み出すお手伝いをしています。あなたが読んだこの記事が、そんな始めの一歩になったら嬉しいです。