「3つの柱」「10の姿」を踏まえた教育課程・全体的な計画の見直し方




「3つの柱」と「10の姿」のおかげで、教育課程・全体的な計画の見直しが大変になった・・・

と思っている方、実はそんなに大変ではないんです。

「3つの柱」「10の姿」を踏まえて教育課程・全体的な計画を見直すときに、大切なポイントがあります。

そのポイントを押さえて見直しをすると、負担感が一気に減ります。

この記事では、「3つの柱」「10の姿」を踏まえて、教育課程・全体的な計画を見直すときの大切なポイントと見直し方を紹介しています。

今までと同じ感覚で、教育課程・全体的な計画の見直しができるよう、気持ちを楽にして読んでくださいね。

 

「3つの柱」「10の姿」を踏まえて教育課程・全体的な計画を見直すと今までとどう変わるか

 

まずは、「教育課程・全体的な計画」と書くと長いので、ここからは「教育課程」とだけ書きます。

保育所のみなさんは「全体的な計画」と書いてあるつもりで読んでください。

 

「3つの柱」「10の姿」を踏まえて教育課程を見直すと、今までの見直し方とどう変わると思いますか?

正解は「ほとんど変わらない」です。

正確に言うと「3つの柱と10の姿を踏まえたからといって、今までの見直し方を安易に変えてはいけない」です。

 

みなさんは今まで、教育課程を見直すときに、何を基準にしていましたか?

「ここの表現は、『最後までやり抜く』じゃなくて『最後まで諦めずにやろうとする』の方が良いんじゃないかな・・・」

「今年の子ども達は、4期の姿が出てくるのが、例年より2週間くらい後だったよね」

(合わせて教育課程・全体的な計画の「期」とは【ちゃんとした意味を知っていますか?】も確認してください。)

何を根拠にして、このような見直しができるのでしょうか?

 

実際の子どもの姿ですよね。

「3つの柱」と「10の姿」を気にし過ぎると、「3つの柱」「10の姿」の文言と教育課程の文言を比べるだけになってしまいます。

一番大切なポイントは

これまでと同じように、実際の子どもの姿を大事にすることです。

 

教育課程の文を書くときに「3つの柱」を気にする必要はない

まず、教育課程を書くときには「3つの柱」のことを気にする必要はありません。

5領域の枠組みで資質・能力は育まれるからです。

教育課程は5領域を考慮して書かれているので、資質・能力も自動的に考慮されていることになります。

これは、【保育だけ特別!】「資質・能力の3つの柱」でみんなが誤解してしまうことでも取り上げた話題です。

○ これらの資質・能力は、現行の幼稚園教育要領等の5領域の枠組みにおいても育んでいくことが可能であると考えられることから、幼稚園教育要領等の5領域は引き続き、維持することとする。なお、幼児教育の特質から、幼児教育において育みたい資質・能力は、個別に取り出して身に付けさせるものではなく、遊びを通しての総合的な指導を行う中で、「知識・技能の基礎」、「思考力・判断力・表現力等の基礎」、「学びに向かう力・人間性等」を一体的に育んでいくことが重要である。

出典:次期学習指導要領等に向けたこれまでの審議のまとめ

 

もう1つ、別の資料も見てみましょう。

文部科学省の、「学校施設の在り方に関する調査研究協力者会議(平成28年度~)(第3回)配付資料」の1つです。

一応、根拠としてリンクも貼りますが、見なくても全く問題ありません。

見たい人も、ややこしくて嫌になるので全部読もうとしないでください。

教育課程に関するところだけを見ましょう。

参考資料2 新幼稚園教育要領のポイント(PDF:768KB)

 

資料の8ページ目に、「幼児教育において育みたい資質・能力」が書いてあります。

でも、8ページ目の前半は、小学校以降の学校の話が混ざっています。

8ページ目の後半で、幼稚園教育要領と同じことが書いてあります。

 

大事なのは9ページ目、先程の資料と書いてあることは同じです。

  • この資質・能力は現行幼稚園教育要領の5領域の枠組みにおいて育むことができるため、5領域は引き続き維持。
  • これらは個別に取り出して身に付けさせるものではなく、遊びを通しての総合的な指導を行う中で、一体的に育んでいくことが重要。

※太字の部分は、資料の時点で太字になっています。

 

1つ目は、

資質・能力は、今までと同じ5領域で育みましょう(ということは教育課程も今までと同じですよ)。

ということです。

 

2つ目は、

「知識・技能の基礎」として図鑑をたくさん見せる
「思考力・判断力・表現力等の基礎」を育てるために「お話タイム」での話し合いを充実させる
「学びに向かう力・人間性等」には「運動遊び」で諦めずにやり抜くのが一番
というように個別に取り出して身に付けさせるのではなく

遊びを通しての総合的な指導を行う中で、一体的に育んでいくことが重要。
砂場の遊びで「知識・技能の基礎」「思考力・判断力・表現力等の基礎」「学びに向かう力・人間性等」は全部育ちます。
お店屋さんごっこでも「知識・技能の基礎」「思考力・判断力・表現力等の基礎」「学びに向かう力・人間性等」は全部育ちます。
積み木でも、どろんこ遊びでも、戦いごっこでも、その他のどんな遊びでも、「知識・技能の基礎」「思考力・判断力・表現力等の基礎」「学びに向かう力・人間性等」は全部育ちます。

誤解のないように付け加えます。

先程、「個別に取り出して身に付けさせる」という話で例に出した、お話タイムでも、運動遊びでも、「知識・技能の基礎」「思考力・判断力・表現力等の基礎」「学びに向かう力・人間性等」は全部育ちます。

資質・能力という言葉を特別視せずに、これまでと同じように保育しましょう(ということは教育課程も今までと同じですよ)。

ということです。

 

でも、実際に、資質・能力を踏まえて教育課程を見直さないといけませんよね。

どうすれば良いのでしょうか?

 

「資質・能力の3つの柱」を踏まえた具体的な教育課程の見直し方

具体的には次のように教育課程を見直しましょう。

 

自園の教育課程を大事にする

まずは、自園の教育課程を取り出しましょう。

一番大事なのは、自園の教育課程です。

「資質・能力を取り入れて、完璧に書き直しました」という、隣の園の教育課程よりも、何も手を加えていない自園の教育課程の方が大事です。

なぜなら、これまで何年間も、自園の子ども達の姿を基にして改善され続けているからです。

ということで、自園の教育課程だけあれば十分です。

他の余計なものは必要ありません。

 

資質・能力に関連したところがどこにあるかを探す

資質・能力は、5領域の枠組みにおいて育むことができるはずでした。

ということは、5領域を考慮して書かれている教育課程であれば、自動的に、資質・能力に関したことを書かれているということにもなります。

「この姿は『思考力・判断力・表現力等の基礎』に関係しているみたい」

「こっちの文は『知識・技能の基礎』と『思考力・判断力・表現力等の基礎』の両方だな」

などと、今の教育課程に書いてある文を見て、3つの資質・能力の、どれと関係があるのかを探しましょう。

今の教育課程が、すでに資質・能力に関連していることが分かるはずです。

 

つまり、

「資質・能力の3つの柱」を踏まえて教育課程を見直す

ということは

「資質・能力の3つの柱」を踏まえた新しい教育課程を書く

ということではなく

今ある教育課程が「資質・能力の3つの柱」とどう関連しているかを理解する

ということなんです。

 

足りないときは「資質・能力」に関連した言葉を付け足す

「どの資質・能力とも関連してないように見えるな」ということであれば、少し言葉を付け足しましょう。

基本的には、今の教育課程に書いてある文を、資質・能力と関連させるために書き変え過ぎない方が良いです。

実際の子どもの姿を見失わないようにしながら書き変えてください。

 

「10の姿」と「教育課程に書いてある5歳児の終わりの姿」を比べる

先程の、参考資料2 新幼稚園教育要領のポイント(PDF:768KB)を、もう一度見てみましょう。

教育課程のことは16ページ目にも出てきます。

ここでは、一言で表すと「カリキュラム・マネジメントが大事だよ」と言っています。

「上手いこと編成しましょうね」「教育課程を見直しましょうね」ということです。

(詳しくは、【本当はみんな知っている】幼稚園・保育所のカリキュラム・マネジメントとはをご覧ください。)

 

でも、この資料では「教育課程の中身をどう変えていくか」という具体的なことには触れてありません。

少しだけ具体的なのが、

①全体的な計画にも留意しながら、「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」を踏まえ教育課程を編成すること

という一文です。

 

じゃあ、「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」を踏まえてみましょう。

「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」は、到達するべき目標ではありません。

到達しても、もちろん良いですが。

保育所保育指針に、はっきり書いてあります。

「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」が到達すべき目標ではないことや、個別に取り出されて指導されるものではないことに十分留意する必要がある。

出典:保育所保育指針

ちょっと高度だということです。

 

ちょっと高度な「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」を、教育課程に書いてある、5歳児の終わりの姿と比べてみましょう。

5歳児の姿の方が、「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」よりも高度になっていませんか?

5歳児の姿と「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」が、かけ離れ過ぎていませんか?

「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」は、教育課程に書いてある姿を見直すきっかけとしましょう。

 

具体的な取り入れ方はこれだけで終わりです。

今更ですが、この記事では、「3つの柱」と「10の姿」を教育課程に無理に詰め込むことはないんじゃないの?

ということをお伝えしています。

ですので、この記事で紹介したくらいの取り入れ方で十分です。

 

無理して取り入れることはない、一番の理由は、この記事で何回も言っています。

文字だけ見ていると、実際の子どもの姿を見失う可能性があるからです。

「3つの柱」も「10の姿」も、小学校との接続を考える時に、他校種の先生と同じ視点で話をするために参考にするものだと思ってください。

むしろ、「小学校の先生が保育を理解するためのものだ」と思ってもよいくらいです。

「10の姿」で語っても小学校の教員に通じない3つの理由と対処法では、小学校の先生と話をするときに、「10の姿」をどのように使うかということを書いてあります。

こちらも読んでみてくださいね。

 

どうしても具体的な姿を知りたい人は

【保育だけ特別!】「資質・能力の3つの柱」でみんなが誤解してしまうこと

【10の姿】「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」のとらえ方と具体的な姿

「10の姿」(健康な心と体)につながる具体的な姿を考えるヒント

「10の姿」(自立心)につながる具体的な姿を考えるヒント

「10の姿」(協同性)につながる具体的な姿を考えるヒント

「10の姿」(道徳性・規範意識の芽生え)につながる具体的な姿を考えるヒント

「10の姿」(社会生活との関わり)につながる具体的な姿を考えるヒント

「10の姿」(思考力の芽生え)につながる具体的な姿を考えるヒント

「10の姿」(自然との関わり・生命尊重)につながる具体的な姿を考えるヒント

「10の姿」(数量や図形、標識や文字などへの関心・感覚)につながる具体的な姿を考えるヒント

「10の姿」(言葉による伝え合い)につながる具体的な姿を考えるヒント

「10の姿」(豊かな感性と表現)につながる具体的な姿を考えるヒント

に詳しく書いていますので、そちらを参考にしてください。

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

「もっといろいろと知りたい」という方は、

ホームページや、このサイトの記事が一覧になったサイトマップをご覧ください。




ABOUTこの記事をかいた人

管理人のUCHI(うち)といいます。 公立幼稚園、幼保園、大学の附属で働いていた元幼稚園教諭。 現在、島根保育塾代表。仕事を効率化するだけなら簡単です。しかし、保育の質を落とさず(むしろ上げながら)効率化することは、現場を経験した人間でないと、なかなか上手くできません。「保育の質を上げる」「労働時間の短縮」これを両立させるための記事を書いていきます。あなたの園に合わせた方法を知りたい人は、お問い合わせくださいね。