「保育指針解説」「教育・保育要領解説」に沿った0歳の記録・要録を書く方法と例文

みなさん、要録を書いてますか?0歳で書く園は少ないかもしれませんが、なんらかの個人の記録を書くところはありますよね。0歳の例文が書いてある本が少なくて、「参考にするものが無い…」と嘆いているあなたに、「保育所保育指針解説」「認定こども園教育・保育要領解説」に書いてあることとつながった0歳向けの例文をお届けします。

「保育指針解説」「教育・保育要領解説」とつながるとは?

「保育所保育指針解説」や、「幼保連携型認定こども園教育・保育要領解説」を読んだことが無い方もいらっしゃると思います。まずは、それらがどんなものかを、ものすごく簡単にお伝えしますね。

一言で表わすと、「保育の教科書」のようなものです。その中に、乳児期の子どもを保育するときに考えておきたい「ねらい及び内容」が書かれています。「ねらい及び内容」は「3つの視点」に分けて書かれています。

3つの視点はこちらです。

(1)身体的発達に関する視点「健やかに伸び伸びと育つ」
(2)社会的発達に関する視点「身近な人と気持ちが通じ合う」
(3)精神的発達に関する視点「身近なものと関わり感性が育つ」

この3つに分けて書類を記入しなければならない園もありますが、市販の本に書いてある例文だと分かれてないですよね。というより、要録に関して0歳の例文が載っている本があまり無い状態です。この記事では、これから「保育指針解説」や「認定こども園教育・保育要領解説」に書いてある言葉を使って、要録や年度末の記録を書くときに参考になる例文を書き並べていきます。

(1)身体的発達に関する視点「健やかに伸び伸びと育つ」 の例文

普段の記録にもつながることなので、ちょっとだけコツを紹介しますね。「ねらい」は抽象的なので、「内容」に書いてある文を見るようにしましょう。具体的な姿が書いてあります。さらに、「保育指針解説」「教育・保育要領解説」の中に書いてある文を参考にし、やってきたことを思い出すと、指針や教育・保育要領に沿ったものとなります。

1つ目の内容に関連した例文

内容の1つ目に関して、「欲求が満たされて心地よく生活したか」ということを日々の記録や要録に書くようにしましょう。内容の前半には、「保育士等(保育教諭等)の愛情豊かな受容の下で」という言葉が書いてありますので、どのような配慮を行ってきたかをしっかり書くと、より1つ目の内容と関連付いた文を書くことができます。

・もっと食べたがったり苦手な食べ物を吐き出したりした時は、子どもの欲求に応じて食事の量を調節するなどした。
・保育者は、受容的な言葉をかけながら着替えやオムツ交換をしてきた。
・睡眠時には表情をよく見て、こまめに汗を拭いたり体勢を変えたりするようにした。
・空腹や眠気があるとよく泣いて欲求を訴えていた。

2つ目の内容に関連した例文

内容の2つ目は、「 十分に身体を動かしたか 」ということが書いてあります。運動に関連したことを日々の記録や要録に書くようにしましょう。注意したいのは、「一人一人の発達に応じているか」ということです。

・興味があるものに手を伸ばし、つかんだりなめたりして遊ぶようになった。
・興味のあるものに手が届かないときは、近付こうとする素振りを見せていた。
・保育者は、十分に体を動かすことができるように環境を整えてきた。
・興味のあるものに近づき、立とうとする姿があった。

3つ目の内容に関連した例文

内容の3つ目に関して、「様々な食品に慣れていく過程や楽しんで食べたか」ということを書くようにしましょう。これについても、個人差があるということが大事です。「できる」「できない」ではありません。

・子どものペースを尊重し、離乳食を味わって食べることを大事にしてきた。
・「おいしい」「柔らかい」など、おいしさを表わす言葉を添えながら食べられるようにした。
・手でつかんで感触を確かめるようにしながら、ゆっくり食べることが多かった。
・ミルクを飲んだ後、ゲップを出し切るまでに時間がかかるため、しっかり出たことを確認してから寝かせるようにしてきた。

4つ目の内容に関連した例文

内容の4つ目は午睡についてです。これも、一人一人に合わせることが大事です。もちろん、安全な環境も必要です。そのような環境を整えたことと、それによって見られた姿を書きましょう。

・子どもの生活リズムに合わせ、眠くなったときにすぐ寝ることができるように準備をしてきた。
・生活リズムに合わせて睡眠を取れるようにしてきたところ、11月頃には眠くなる時間がおおむね同じになってきた。
・眠る前は、静かで安心して眠ることができるスペースを確保したり眠るまでは抱っこで保育室を出たりするといった配慮をしてきた。

5つ目の内容に関連した例文

内容の5つ目は清潔についてです。おむつ交換や着替えの際にしてきた配慮や、そのときに見られた子どもの姿を書いていきましょう。

・子どもの表情に合わせ、「濡れて気持ち悪いね」「さっぱりしたね」などの言葉をかけながらおむつ交換をしてきた。
・清潔に関して、おむつを替えることの重要性を保護者に理解してもらい、こまめにおむつ交換をするようにした。
・「着替えようね」「おむつを替えるよ」などと、子どもに伝えてから着替えやおむつ交換をするように心がけてきた。

(2)社会的発達に関する視点「身近な人と気持ちが通じ合う」 の例文

先ほどまで、「ねらい及び内容」の「内容」に書いてあることについて、できるだけ短い言葉で表わしてきましたが、「身近な人と気持ちが通じ合う」に関しては、内容の(1)~(4)が時系列のようになっているんですよね。子どもの発達に合わせた書き方になっているということです。どれも共通して、身近な人との応答的なやりとりを書いていけばOKです。ここでは、それぞれの内容に書いてある言葉を使いながら、例文をお伝えしていきますね。

1つ目の内容に関した例文

1つ目の内容は、「安定感をもって過ごす」ということが書いてあります。具体的には、「応答的なやり取り」について表わしてあります。

・声に反応して視線を動かし、保育者の顔をじっと見つめていた。
・保育者は子どもの姿に応え、ゆったりと笑顔で言葉をかけてきた。
・子どもの声や動きに応答していくうちに、欲求によって様々な泣き方をするようになってきた。
・ふれあい遊びを繰り返していくうち、子どもから手を伸ばし、スキンシップを求めるようになってきた。

2つ目の内容に関した例文

2つ目の内容は「やり取りを楽しむ」ということです。これも、応答的なやり取りについて書きましょう。

・保育者の目を見つめて微笑んだり、手足を動かしたりして話しかけるような素振りを見せていた。
・お腹がすいたときや、他の子どもが食べている様子を見たりしたときには、声を出したり手を動かしたりして食べたい欲求を伝えるようになった。
・保育者は、手の動きや喃語の語りかけに応じて微笑み返し、気持ちを言葉に表わすようにしてきた。
・次第に、声や表情での表現が豊かになり、積極的に動いたり声を出したりするようになってきた。

3つ目の内容に関した例文

3つ目の内容は、「身近な人への親しみの気持ちを表わす」と書いてあります。これも、実際に見られた「応答的なやり取り」を書いていきましょう。

・あやしてもらい喜んだり声を出して笑いかけたりするなど、声を伴って笑うことが多くなってきた。
・主担当ではない保育者にも笑いかけるなど、自ら関わるようになってきた。
・初めて会った知らない人に対しては泣くようになっている。
・他の子どもをはって追う、同じオモチャを手に取るなど、互いへの興味が出てきた。

4つ目の内容に関した例文

4つ目の内容に関しては、「意欲的に言葉を発する姿」を書いていきましょう。これも、保育者側から語りかけることや、「応答的なやり取り」が大事です。

・保育者は優しくゆったりと語りかけるようにしてきた。
・発声の様子から思いや欲求を読み取り、言葉に表わすようにした。
・「見てごらん」と、そこにあるものに注意が向くように語りかけた。
・興味があるものの方に顔を向けたり指し示したりするようなってきた。
・保育者が見ているものを一緒に見たり自分の持っているものを見せたりするようになった。

5つ目の内容に関した例文

5つ目の内容は「自分を肯定する気持ちが芽生える」と書いてあります。この部分に関しては、子どもの姿を見ても具体的には分かりませんよね。前半部分の「温かく、受容的な関わりを通じて」というところは、保育者側の姿なので分かります。5つ目の内容に関したことを書きたいのであれば、

・温かい雰囲気の中で、子どもの思いや欲求をありのままに受け止めてきた。
・思いや欲求を尊重し、できる限り丁寧に関わるようにした。

(3)精神的発達に関する視点「身近なものと関わり感性が育つ」 の例文

ここまで、この記事の例文だけではなく、文章の内容を読んできた人は、そろそろ分かってきたのではないでしょうか。保育所保育指針解説や、認定こども園教育・保育要領解説を開いて、参考となるところを探してみましょう。

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保育塾ベーシックの紹介

(3)精神的発達に関する視点「身近なものと関わり感性が育つ」の例文は別記事に載せています。2022/03/04までにnoteの記事を購入くださった方は、今後、別の形で対応いたします。お手数ですがforhoikusha@gmail.comまで、noteの記事を購入くださったことをご連絡ください。

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保育塾代表
2人の娘の父親
公立幼稚園・幼保園・大学の附属幼稚園で勤務の後、保育塾を立ち上げる。
ラッパ吹き。小学生を中心に、20年以上いろんなバンドを指導しています。

保育士・幼稚園教諭のみなさんが、ほんの少しだけ余裕をもって仕事ができたら、プラスの循環が生まれます。

ほんの少しだけ余裕をもって仕事ができたら、ほんの少しだけ子どもが落ち着いて、そうするとまた、ほんの少しだけ余裕ができて、効率良く仕事ができる方法を調べたりして・・・

そんなプラスの循環の始めの一歩、小さな余裕を生み出すお手伝いをしています。あなたが読んだこの記事が、そんな始めの一歩になったら嬉しいです。

ABOUTこの記事をかいた人

管理人のUCHI(うち)といいます。 公立幼稚園、幼保園、大学の附属で働いていた元幼稚園教諭。 現在、島根保育塾代表。仕事を効率化するだけなら簡単です。しかし、保育の質を落とさず(むしろ上げながら)効率化することは、現場を経験した人間でないと、なかなか上手くできません。「保育の質を上げる」「労働時間の短縮」これを両立させるための記事を書いていきます。あなたの園に合わせた方法を知りたい人は、お問い合わせくださいね。