あるとき、幼稚園の子ども達(年長児)に、「もしかして、なんにも頑張らなくても大人になったらできるって思ってない?」と聞いてみました。興味深いことに、半数以上の子どもが驚いていたんです。このときの話題は、ハシの持ち方についてです。「大人になっただけではできない」を聞いた後の子ども達は、食事中の態度がガラッと変わりました。
子どもにどこまで本当のことを伝えるか
「子どもに本当のことを伝える」ということを考える時、注意して頂きたいのは「本当のことだからといって、全部伝える必要は無い」ということです。大人でもそうですよね。言わない方が良いこともあります。この記事でお伝えするのは、「嘘はなるべく言わないようにする」とか「取り繕わなくても良いのではないかな」です。
こう言うと、「嘘をついていいわけないだろう」と思われるかもしれませんが、子どもに対しては言うことを聞かせるために嘘を言ってしまう人は珍しくありません。行動を促すために「鬼が来る」とか、我慢させるために「このままじゃ1年生になれないよ」とか、「どうしても行きたい」というワガママに対して「今日はやってない」等々。これらは嘘なんですけど、大人に対する嘘よりも簡単に口に出す人がいますよね。
大きくなるとできなくなる不思議
私の娘(小5)は、ハシの持ち方を特に練習しなくても、最初から上手に持つことができていました。鉛筆も同様です。ところが、今はけっして正しいとは言えない持ち方に変わっています。ハシや鉛筆の持ち方に限らず、「できていたはずのことができなくなる」ってありますよね。「公園で初めて会った子どもとも遊べる(もちろん子どもによりますが)」とか、「ケンカしたはずなのに次の日何も無かったように仲良くなってる」等は、大人はなかなかできません。
柔軟性やバランス感覚、感性、素直な表現などは、不思議でもなんでもなく、大人より子どもの方が優れていたり豊かだったりします。
大人も頑張ってることを言ってしまおう
幼稚園では、お弁当を食べているときにハシの持ち方が話題になることがあります。上手く挟めなくて、せっかく作ってもらったおかずを落としてしまうのはもったいないですよね。そんなとき、「ハシの持ち方が上手くなったら挟みやすくなるかもしれない」なんて風にオススメすると、子ども達はその気になってハシの持ち方を見直したりします。
その時に、「私のお父さんは変な持ち方してるよ」「大人なのに?」というような会話が聞かれることがあるんですよ。このようなときに、「もしかして、なんにも頑張らなくても大人になったらできるって思ってない?」と質問してみると、けっこうな人数の子どもが驚きます。高いところに手が届くとか、重い物を持つ等、身体が大きくなって自然とできるようになることは、当然ありますが、自然とハシの持ち方が身に付くことはありませんよね。
「大人も頑張ってる」「頑張った分しかできるようにならない」「お父さんは頑張ってもできなかったかもしれない」…こんな話をしていると、子ども達の態度が変わっていきました。これ、ハシの持ち方だけではなく、こぼさないように気を付けて食べることとか、座る姿勢も、注意しなくても変わります。1度に全てを言われても難しいので、1つずつですけどね。
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保育塾代表
2人の娘の父親
公立幼稚園・幼保園・大学の附属幼稚園で勤務の後、保育塾を立ち上げる。
ラッパ吹き。小学生を中心に、20年以上いろんなバンドを指導しています。保育士・幼稚園教諭のみなさんが、ほんの少しだけ余裕をもって仕事ができたら、プラスの循環が生まれます。
ほんの少しだけ余裕をもって仕事ができたら、ほんの少しだけ子どもが落ち着いて、そうするとまた、ほんの少しだけ余裕ができて、効率良く仕事ができる方法を調べたりして・・・
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