あなたは子どもの遊びを見ているとき、基本的に見守りますか?それとも何か言葉をかけますか?言葉のかけ方も「指示する」「アドバイスする」など、いろいろとあります。今回は、公園での事例を紹介しながら、「感心する」という声かけをオススメしています。もしかすると「感心する」は声かけの中で1番と言っても過言ではないかもしれません。
「指示する」という声かけの場合
ある公園で、遊具に登ったけど次の一歩が出るまでに時間がかかる子どもがいました。その子どもに対して、親はすぐ隣に行き、「ほら、ここに足を置けばいいでしょう」「次はここ」「そうそう」「大丈夫」「できる」「次はここ」と、一歩毎に声かけをしていました。
「頑張ってできるようになると、子どもは自信をつけるんです」と言う人がいます。それはその通りだと思いますが、恐怖の中で頑張った結果、できなかった場合はどうなるのでしょう?遊んでいた子どもは4歳くらいで、遊具の対象年齢は6歳~12歳。遊具の上まで登るには、あと4分の3ほどありました。ずっと泣きそうな、不安そうな顔をしていたのは、終わりが見えなかったからでしょうか。登ったのが途中まででも、「頑張ってできたね」と声かけをしてもらえたのでしょうか。
指示されている場合、「どこなら届きそうか」と目測することも、「危なそうだからやめておこう」と判断することも、「自分の考えでできた」と満足することも無くなっていきます。「大人の言うことに従っていたら上手くいく」という経験はできるでしょうが、この子どもの場合は、残念ながら上手くいかなかった可能性が大きいように思われます。
「感心する」という声かけの場合
同じ日に同じ公園で、遊具の上を真剣な顔で移動している子どもがいました。その子どもに対して、おじいちゃんがすぐ隣で「そういうやり方もあるか」「ああ、そういうやり方もあるか」「ああ、次はそうか」と、一歩毎に声かけをしていました。それを見ていた私は「この人、ぜひ保育の現場に来てほしいな」と思いました。プロの保育者よりも、よっぽど上手く声をかけていたからです。
「頑張ってできるようになると、子どもは自信をつけるんです」という言葉は、このような時に使うんだろうなと思います。遊んでいた子どもは4歳くらいで、遊具の対象年齢は6歳~12歳。足が届きにくく、一歩毎が挑戦という状況でした。指示をされていた子どもと、ほとんど同じ状況です。違うのは隣で感心されていたこと。一歩毎に『できるようになった』と褒められているようなもので、さらに次への意欲が湧いているようでした。足が届きそうなところを探し、実際に足をいっぱいに伸ばし、無理そうだったら次の場所を探し、引き返し、それでもまだ移動し続ける子どもに、「ああ、そうか」「お、そうするか」と、おじいちゃんは感心し続けていました。
おじいちゃんに感心されていたこの子どもの場合、 「どこなら届きそうか」と目測し、「危なそうだからやめておこう」と判断し、「自分の考えでできた」と満足するという経験を、一歩毎にしていたことになります。一歩毎に「できるようになった」と自信が増していったことでしょう。
同じような年齢の子どもが、同じような高さで同じような動きをしていても、声かけ1つで表情は大きく違ってきます。「指示する」「アドバイスする」をちょっと待って、子どもがやったことが拙くても「感心する」をしてみませんか?
もしあなたが保育関係者なら、「保育塾ベーシック」についての詳しい内容を読んでみてください。「子どもを見取る」「記録する」「援助する」「指導案を書く」「要録を書く」ということについて、3日に1度、10分ほどのプチ研修がメールで届きます。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
「もっといろいろと知りたい」という方は、
ホームページや、このサイトの記事が一覧になったサイトマップをご覧ください。
管理人うち(@uchi70794834|Twitter)
Follow @uchi70794834
保育塾代表
2人の娘の父親
公立幼稚園・幼保園・大学の附属幼稚園で勤務の後、保育塾を立ち上げる。
ラッパ吹き。小学生を中心に、20年以上いろんなバンドを指導しています。保育士・幼稚園教諭のみなさんが、ほんの少しだけ余裕をもって仕事ができたら、プラスの循環が生まれます。
ほんの少しだけ余裕をもって仕事ができたら、ほんの少しだけ子どもが落ち着いて、そうするとまた、ほんの少しだけ余裕ができて、効率良く仕事ができる方法を調べたりして・・・
そんなプラスの循環の始めの一歩、小さな余裕を生み出すお手伝いをしています。あなたが読んだこの記事が、そんな始めの一歩になったら嬉しいです。