子どもが話を聞くようになる「素話」のススメ

みなさん、子どもに素話してますか?

絵本の読み聞かせではなくて、何も読まずに語って聞かせる「素話」です。

  • 人の話を聞こうとするようになる
  • 想像力がUPする
  • 人の心情を理解するようになる
  • コミュニケーション能力がUPする

などなど、素話っていいことずくめなんですよ。

「素話」で子どもが話を聞くようになる理由

なぜ「素話」で子どもが話を聞くようになるんでしょう?
1番の理由は、「話を聞いて楽しかった」という体験ができるからです。

絵本の場合は、話を聞かなくても、絵を見て楽しむことができます。子どもたちは、絵本を読んでもらうときに、まずは絵を見ています。子どもによりますが、ほとんど話は聞いていません。だから、「もう1回読んで。」ってなります。読んでもらう度に、違う楽しみがあるんです。

それに対して、素話は、話をよく聞いていないと理解ができません。話を聞いて、「理解できた」「楽しかった」という体験を重ねると、他の場面でも「話を聞こう」とするようになってきます。

この、「話を聞いて理解できた、楽しかった」という体験は、なかなか他の場面では無いんです。

「お話があります」というのは、大体、大事な話や注意を受けるときが多いですよね。なにか緊張した雰囲気の中、難しい話をされ、ときに訳も分からず叱られることがあります。こんな体験ばかりを重ねていても、「話を聞きたい」とはならないと思いませんか?

メラビアンの法則

メラビアンの法則というのは、アメリカの心理学者、アルバート・メラビアンという人が行った実験が基になっているものです。

「コミュニケーションにおいて、人が何を重視するか」という法則です。

  • 見た目・表情・身振りなどの「視覚情報」が55%
  • 声のトーン・話す速さ・声の大きさなどの「聴覚情報」が38%
  • 話の内容・使われている言葉などの「言語情報」が7%

コミュニケーションなのに、言語情報はたった7%なんですね。「人は見た目が9割」と言われることもあります。

実は、日本での解釈は、多くの場合、本来のメラビアンの法則とはちょっと違います。メラビアンの法則は、ある条件下での法則なんです(ややこしくなるので、ここで詳しい話は省略します)。全ての場合に当てはめることはできません。面接や営業のセミナーなどでの話は鵜呑みにしない方がいいですよ。むしろ、見た目だけでは通用しません。

ですが、言語能力が十分に発達していない子どもにとっては、非言語から得る情報はとても大きいですよね。「見た目が9割」という解釈も、ある程度当てはまるのではないでしょうか。

メラビアンの法則で絵本を考えると

絵本は、視覚情報がとても大きいですよね。普通のコミュニケーションにプラスして、絵本というツールがあるので、視覚情報は55%どころではありません。話を聞かなくても楽しめるんです。

決して絵本を否定しているのではありませんよ。絵本には絵本の良さがありますから。

素話はメラビアンの法則が当てはまらないこともある

一方で、素話にはメラビアンの法則が当てはまらない場合があります。

寝る前に、電気を消して行う場合です。

電気を消している状態なので、視覚情報が0%になります。聴覚情報(声のトーン、大きさなど)と、言語情報(内容、使われる言葉)のみで、話を理解しないといけません。

だから、人の話を聞こうとするようになるんです。話に登場する、おばあさんや犬、オニ、大男などが、どんな姿か想像しないといけないし、どんな状況かも、全部想像する必要があるので、想像力もUPします。登場人物の表情や気持ちも想像することから、人の気持ちも推し量るようになってくるんです。

そして、絵や映像のサポートが無いため、聞いていて分からないことは質問する必要があります。話をよく聞いて、分からないことは尋ねるという、コミュニケーション能力もUPするんです。

ということで、保育所や幼稚園の先生がする素話もいいものですが、役者のように表情を作る先生の顔を見て聞く素話よりも、暗い中で想像力を働かせて聞く、家庭での素話が、とても重要です。

「素話」の語り方

上手にする必要はありません。
子どもに分かりやすいよう、特別簡単な言葉に言い換える必要もありません。
台本を一言一句まで覚える必要なんてありません。
どれも、ある程度は必要だと思いますが。

重要なのは、

  • 「自分の言葉で語る」ということ
  • 子どもと共に、想像力を働かせ、語り合うこと

文豪、小泉八雲(本名ラフカディオ・ハーン:日本に伝わる「怪談」を英語で書いた人です)は、妻のセツが怪談話を口述するときに、本を見ながら語ることを嫌っていました。

「本を見る、いけません。ただあなたの話、あなたの言葉、あなたの考えでなければ、いけません」と諭したということが「思い出の記」という本に書かれています。話がすむと、どんな声、どんな様子だったかなど、2人で相談したそうです。

まとめ

素話をするって、ちょっと難しいかもしれません。

でも、

  • 人の話を聞こうとするようになる
  • 想像力がUPする
  • 人の心情を理解するようになる
  • コミュニケーション能力がUPする

など、いいこともたくさんありますよ。

大事なのは、

  • 「自分の言葉で語る」ということ
  • 子どもと共に、想像力を働かせ、語り合うこと

上手でなくてもいいんです。知っている話、話しやすいものから、試してみてはいかがでしょうか。お休み前に子どもと過ごす時間が、今よりもっと、かけがえのないものになるかもしれませんよ。

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ABOUTこの記事をかいた人

管理人のUCHI(うち)といいます。 公立幼稚園、幼保園、大学の附属で働いていた元幼稚園教諭。 現在、島根保育塾代表。仕事を効率化するだけなら簡単です。しかし、保育の質を落とさず(むしろ上げながら)効率化することは、現場を経験した人間でないと、なかなか上手くできません。「保育の質を上げる」「労働時間の短縮」これを両立させるための記事を書いていきます。あなたの園に合わせた方法を知りたい人は、お問い合わせくださいね。