保育士のみなさん、幼稚園教諭のみなさん、こんにちは。
みなさんは、大人がしなければならない、保育中の片付けを、どのようにしていますか?
保育の準備の方は、前日や当日朝に、時間をかけてできます。
でも、片付けは、保育中にしないといけない場面もありますよね。
保育中の片付けは、子どもを待たせない工夫が必要です。
未満児なら食べこぼしが多いので、食事の後は大変です。
絵の具を使った後は、作品以上に他の場所がカラフルになっていることもありますよね。
年齢が上がると、大人が片付けなければならない量は減ります。
でも、今度は1人担任で、子どもを見ながら片付けをすることがありませんか?
そうすると、どうしても、子どもを待たせることや、子どもから目が離れることになります。
今回は、どうしても保育中にしなければならない片付けを、なるべく簡単にすませる工夫をお伝えします。
保育中の片付けは簡単にすませなければならない
危険だったり遊びに支障があったりするのであれば、すぐに片付けないといけません。
ですが、片付けの多くは、ただの作業です。
子どもがいるときは、保育をするべきです。
大人の都合を優先してしまうと、時には事故にもつながります。
2017年、私立保育園で、プール中に園児が死亡しました。
監視していたはずの2人の保育士は、プールに設置した滑り台を片付けていたそうです。
3人態勢でするはずの保育を2人でしていたこと。
園児がプールに入った状態で滑り台を片付けていたこと。
大人の都合を優先していたと感じられます。
この事故も、2016年におきた排水溝での事故も、
そして、他のいろいろな事故も、おやつ前後の時間帯に起きていることが多いようです。
片付けで、子どもに目が行き届いていないのではないでしょうか。
片付けをするときは、事故にまでならなくても、意識が子どもから離れています。
でも、保育中には片付けをする必要があります。
食べこぼしや絵の具汚れを、そのままにしておくわけにはいきませんよね。
そこで、なるべく子どもから目を離さないですむ、片付けの方法を考えないといけません。
・片付けるものをまとめておいて、時間ができてから片付ける
・主任やフリーの先生など、他の人に片付けてもらう
・片付けに関わる人数を減らす
基本的には、この3つのどれかを考えれば、子どもから目が離れることは少なくてすみます。
危険なのは「片付けを手早くすませてしまう」という考えです。
片付けに集中すると、「みんなで片付ければ早い」ということにつながります。
さらに、大人の効率を優先して、食べ終わった子どもからプールで遊んだ結果、
前述のプールでの事故が起こっています。
大人の片付けボックスを作る
子どもが片付けをするときに、細かく分類すると、慣れないうちは片付けられません。
そこで、なんでも入れてしまえる、大きな箱を用意します。
・・・という片付けの方法がありますよね。
その方法を、大人の片付けの場面でも取り入れてみましょう。
保育中には、片付けるものをまとめるだけにして、保育が終わってから仕分けします。
片付ける用のカゴと棚のスペースを用意する
製作活動の片付けは、余った素材や切れ端を、全部まとめて1つの入れ物に入れてしまいましょう。
このために、カゴを用意してください。
準備の段階で、道具や素材を運ぶために使ったもので十分です。
大きな入れ物に一気に入れると、片付けに1分もかかりません。
さらに、保育室の棚に、カゴを入れておけるスペースを確保しておきましょう。
素材ごとに分けたり道具を倉庫まで戻したりすると、子どもから目が離れます。
保育中の片付けは、カゴにまとめて棚に入れるだけで十分です。
片付けボックス内の片付けに時間をかけない
「後から片付けるのに時間がかかって嫌」という気持ちは分かります。
特に、素材をまとめてしまうと、整理が大変です。
みなさんは、使い終わって余った素材を、どうしていますか?
切れ端を大事に取っておいて後で使うという人もいるでしょう。
でも、切れ端ばかりたまっていって、それの整理に時間がかかっていませんか?
捨ててしまう
素材の切れ端は、よほどでなければ思い切って捨ててしまいましょう。
もったいないと思うかもしれません。
しかし、あなたの時間を切れ端のために使うほうが、もっともったいないです。
大事に取っておいて、たまり過ぎたものを、結局捨てていませんか?
切れ端は最初から捨ててしまって、他の場面で節約しましょう。
子どもが普段の遊びで使う素材にする
子どもが自由に使える素材を置いておくスペースがありますよね。
そこに、製作活動で余った素材を、まとめて置いてしまいます。
素材をきれいに分けなくても、宝探しのように楽しめます。
製作活動が楽しかったのなら、普段の遊びでも同じように作るはず。
材料が足りなくて、製作活動の時と同じように作れなくても、その分工夫が生まれます。
シートを使う
食事やおやつのとき
食事のときに、床にシートを敷くことがありますよね。
シートを敷いていると、食べこぼしがあっても、床が汚れないですみます。
保育用品のカタログには、「サッと一拭きするだけできれいになる」などと書いてあります。
でも、食べこぼしの量が多いと、そんなに簡単にはいきませんよね。
ある保育所で、食事の後、職員が1人でシートを拭いていました。
そのうち、もう1人が手伝い始めて、2人での作業が始まりました。
拭き始めから終わりまで、15分ほどだったと思います。
その間、配膳台車は給食室まで運ばれました。
子どもをしっかり見ていた職員は、何人いたでしょうか?
さらに、「お昼寝前にトイレに行く」も、同時進行でやってないですか?
シートは、食べこぼしがあっても、たたむだけにしてはどうでしょう。
子どもたちの前で食べこぼしを拾う手間と、床を拭く手間が、全部なくなります。
でも、衛生的な問題を考えると、すぐにきれいにしないといけないですよね。
たたんだシートは、保育室の外に運んでしまいましょう。
子どもがいないところで、きれいにすれば、あっという間に終わるはずです。
保育中ではない職員が、協力できると良いですね。
絵の具などを使う活動をするとき
絵の具など、汚れやすい物を使う活動のときにも、シートを敷いてみましょう。
これは、掃除するまで少しくらい時間が経っても大丈夫ですよね。
シートをたたんで置いておくスペースは、保育室内に確保しておきましょう。
決して共有の倉庫に戻してはいけません。
きれいにするのを忘れてしまうからです。
道具をまとめておける台車を利用する
美容室には、美容師さんが使う道具をまとめて置ける台があります。
本当にたくさんの道具が置いてありますが、美容室内はとてもきれいですよね。
掃除をして、次のお客さんを呼ぶまでもあっという間です。
道具を置く台は、店をきれいにするため、お客さんを待たせないためのツールです。
保育でも、同じような台車があります。
砂場用品を片付けるワゴンや給食の配膳台車です。
これと同じような台車があれば、道具をたくさん使う活動のときに、とても便利です。
普段は教材倉庫などに置いておいて、活動に使う道具はその台の上に準備します。
保育室に運んだ後も、道具を置く台として使えます。
片付けのときには、全部を台車にまとめてしまいます。
片付ける場所が分かりやすいため、子どもが片付けをしやすいです。
できれば、台車を置いても邪魔にならないような場所を保育室につくっておきましょう。
保育中に台車を片付ける時間がいらなくなります。
製作活動、シャボン玉、楽器など、いろいろな場面で使えます。
道具を置くだけなので、ある程度安全にすれば、既製品でなくても大丈夫。
園にぴったりのものを作ってしまいましょう。
すぐに片付けなくてもよい状態にしておく
共有の道具で、数に余裕が無いときは、保育中に片付ける必要があります。
絵の具のバケツや筆を洗って、次のクラスに渡すという経験がありませんか?
活動を計画する時点で、なるべく他クラスと重ならないようにしましょう。
行事などの兼ね合いで、同じような活動を同時にしないといけない場合もあります。
道具の数がそろっているのが理想ですが、それも難しいですよね。
主任やフリーの先生が、活動の終わりに手伝いに入り、片付けまで協力できると良いですね。
重い物や大きいものを少ない人数で片付ける方法
片付けに関わる人数が少ないほど、子どもを見る人数は増えます。
でも、重い物や大きいものだと、大人数で片付けをしなければいけません。
そこで、できるだけ少ない人数で片付ける方法を考えてみましょう。
力の強い人に任せる
重い荷物を運べるのは、男性に限りません。
「男だからといって、力仕事を全部させられる」という声もあります。
見た目よりも、ずっと力の強い女性もいますよね。
重いものを運ぶときには、手を貸されると、余計にバランスが悪くなることもあります。
気を遣って手伝うよりも、声をかけあって、ときには片付けを1人に任せてみましょう。
台車を使う
大きな台車は、台車自体が重くて、扱えない人もいると思います。
台車に物を乗せることも、1人では難しいですね。
結果、運動会のときなど、大量の荷物を運ぶときだけ、台車が登場することになります。
取っ手が無い台車を使ったことはありますか?
「平台車」という名前の台車です。
平台車は、小さくて軽くても、大きな物を載せることができます。
載せる物を傾けて、下に台車を入れると、持ち上げて載せずにすみます。
敷物や毛布を使う
敷物や毛布は、台車の代わりに使えます。
重い物の片側だけを持ち、床についた方を支点にすると、少しずつ動かすことができます。
少しずつ動かして、敷物や毛布の上に載せましょう。
敷物や毛布を引っ張ると移動できます。
一休みする場所をつくる
重い物を持ち上げるときは、一休みして、持ち替えた方が楽です。
例えば、床の荷物を引っ張り上げるときに、肩から上には、上がりにくいですよね。
この場合は、肩くらいの高さのところに、一回置いて、手を持ち替えます。
運動用のマットを収納するとき、布団干しのように、かけるタイプのものは大変ですよね。
大型積み木を1つ、休む場所として置いてみましょう。
一休みできるし、一度に引き上げる距離が短くてすみます。
積み木が倒れると、余計やりにくくなるので、気をつけてください。
番外編
年長ともなれば、子どもにできることが多くなります。
子どもが準備や片付けをすれば、子どもの待ち時間はなくなります。
しかし、これには注意が必要です。
「習慣づけ」「しつけ」と「作業をさせること」を混同してはいけません。
「幼稚園は草取りばっかりしてて面白くなかった。」
ということを言う小学生に会ったことがあります。
面白くない作業の記憶が、真っ先に出てくるなんて、本当に気の毒です。
この草取りは、子どもがする必要のある草取りだったのでしょうか?
子どもがするべきだったとしても、自分からしたくなるのと、させられるのでは、大きく違います。
子どもが必要感をもてるような、保育をしたいですね。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
「もっといろいろと知りたい」という方は、