あなたの園では、高齢者のみなさんと交流してますか?
「園に来るのが予定時間より1時間も早いんだけど」
「プレゼント作るのが大変」
「昔の遊びを教えてもらおうと思ったのに、できない人がいる」
なんて思ったことありませんか?
交流の当日、みなさんにとって予想外のことが起きているのであれば、おそらく高齢者のみなさんも負担を感じています。
かといって、今以上に綿密な打ち合わせなどをすると、それも負担ですよね。
この記事では、子ども達と高齢者のみなさんが交流をするときに、お互いが楽しめて、負担にならないアイディアを紹介しています。
あなたの園に、どれを取り入れることができるのか、考えながら読んでくださいね。
子どもと高齢者が互いに楽しめる交流とは
子どもと高齢者のみなさんが、互いに負担なく楽しめる交流の基本は
「できることをする」
ということです。
高齢者のみなさんも、子ども達と一緒です。楽しむためには、できることをしましょう。高齢者のみなさんに限らず、保護者のみなさんに何かをしてもらうときも同じことですよね。
具体的には、次のようなことを考えてみましょう。
- 時間はザックリと決める
- 今できることをしてもらう
- 一緒に楽しめることをする
これらを考えたときに、今までとは違う交流の形が見えてくるかもしれませんよ。
時間はザックリと決める
高齢者のみなさんに、園に来てもらった場合、
何時に集合して、準備にどれだけ時間がかかって、お茶を飲んで雑談して、保育室には何時に移動して・・・
ということを考えていても、予定した時間通りにいくことはないですよね。時間通りに進めているとしたら、高齢者のみなさんのペースを気にかけていないのかもしれません。
細かい時間のことはあきらめて、余裕をもった予定にしてしまいましょう。
1.伝えるのは集合時間
事前の打ち合わせの時には、最終的には集合時間だけを伝えましょう。
細かい予定を伝えても、ごっちゃになるからです。集合時間より1時間も早く来る人たちばかりの場合には、最初から遅めの集合時間を設定しましょう。また、早く来てもらっても十分な対応ができないことを、前もって伝えておきましょう。
2.待ち時間には「すぐやめられる」活動をする
保育室では、すぐにやめることができる活動をして、高齢者のみなさんを待ちましょう。
予定の何分前に始まるかが分からないからです。トイレだけは早めに行って、高齢者のみなさんを待つ間は、ちょっとしたゲームやクイズ、手遊びなど、すぐにやめることができる活動をして待ちましょう。
3.先に始めてしまう
子ども達だけで、先に始めてしまうという方法もあります。この方法だと、細かい時間を気にする必要がなくなります。
「それでは今から始めましょう。」とか、「初めましてだから自己紹介をしましょう。」だと、お互いに緊張して、ぎこちないことがありますよね。子ども達だけで、交流でする活動を先に始めてしまって、場の雰囲気が温まった状態で、高齢者のみなさんに参加してもらいましょう。
たとえば、昔の遊びを教えてもらう場合、先に始めておくと、高齢者のみなさんが部屋に入ってくる前に、教えてもらいたいことが発生するはずです。お互いに話しかけやすい状態になっています。
公園などで子どもが遊ぶときには、自己紹介などせずに、知らない子どもと一緒に遊び始めますよね。自己紹介タイムは、遊んだ後にもできます。むしろ、一緒に遊んだ後で、相手に興味をもっている状態で自己紹介をした方がいいと思いませんか?
今できることをしてもらう
「子どもの頃、ピアノを習っていた」という人に、「じゃあ伴奏してくださいよ。」とか言っても、大抵は断られますよね。ピアノを習っていた人は相当多いはずなのに、大人になってからも弾ける人は、ほとんどいません。
高齢者のみなさんも同じことです。
昔やっていたからといって、今でもできるとは限りません。
それなら、今できることをしてもらいましょう。
4.遊びの種類までハッキリ決める
昔の遊びを教えてもらうときには、遊びの種類までハッキリ決めて、できる人に来てもらいましょう。
「昔の遊びを教えてほしい。」と言われて来てみたら、「折り紙」「お手玉」「あやとり」「けん玉」だけで、自分にできることは無かった。一応、昔はできたけど、何十年もやってないから・・・。凧作りなら名人なのに・・・。ということがあるかもしれませんよ。
5.畑仕事を教えてもらう
高齢者の方にできることを考えたとき、たとえば、畑仕事があります。スーパーに野菜を卸している高齢者の方もいますよね。子どもだけでなく、先生達も教えてもらいたい人がたくさんいるのではないでしょうか。
時間通りに来園されなかったとしても、マイペースで作業を始めてもらえばいいんです。「◯◯のおばあちゃんが来てくれたよー。みんなおいでー。」くらいの始め方だと、お互いに時間に対してのストレスがありません。
保護者さんに教えてもらうと、普段も園の畑のことを気にかけてくださり、継続してアドバイスがもらえます。
6.特技を披露してもらう
「今できることをしてもらう」ということを考えると、畑仕事の他にも、可能性は広がります。こちらが思ってもいないような特技をもって人がいるかもしれません。
郷土芸能や、郷土料理を教えてもらえるかもしれないし、マジックや演奏をしてもらえるかもしれません。趣味でサークル活動をしている人は、披露する場を求めている場合があります。
特技を披露してもらうと、交流のプログラムが一気に増えますよ。
一緒に楽しめることをする
高齢者のみなさんと、子ども達が、一緒に楽しめることを考えてみましょう。「歌を歌ってあげる」とか「何かを教えてもらう」とか「プレゼントする」だと、立場が対等ではありませんよね。
「昔からある遊びや歌で、子ども達も知っているものは何か」を考えると、できることがたくさん見付かりますよ。
7.一緒に歌を歌う
高齢者のみなさんと、子ども達で、一緒に歌を歌ってみましょう。
童謡・唱歌なら、覚えている人がたくさんいます。全部を覚えている必要はありません。高齢者の方が忘れていたとしても、子ども達が歌えばいいんです。次のような方法もあります。
- 1回目は子どもが歌って、2回目は覚えているところだけ一緒に歌ってもらう。
- 子どもも知らない歌を、その場で教えてみんなで歌う(職員のみなさんがリードすれば、声が聞こえなくなることはありません)。
- ピアノを弾いて、何の曲かクイズにする。
8.一緒にわらべ歌で遊ぶ
高齢者のみなさんは、「わらべ歌」も覚えています。
ただし、特に施設に訪問しての交流の時は、体が思うように動かない方もいるので、配慮が必要です。体を大きく動かすもの、テンポの速いものは、思うようにできません。
9.一緒に手遊びをする
デイサービスなどの施設では、リハビリやレクリエーションで手遊びをしています。
「高齢者の方が、どんな手遊びをしているのか」調べてみると、子どもがしている手遊びと共通のものがたくさん見付かりますよ。
たとえば、「大きな栗の木の下で」は昔からあります。子ども達の「ひいおばあちゃん世代」の頃から、振り付けも変わっていません。「ももたろう」の歌に合わせた手遊びは、歌を知っているので、教えてもらうとすぐに分かります。
10.特別な技術のいらない遊びをする
「新聞を使って手軽にできるゲーム」とか「触れ合うゲーム」みたいなことを考える必要はありません。昔からある、特別な技術のいらない遊びをすればいいんです。
いくつかのグループに分かれて、「福笑い」や「すごろく」をすれば、みんなが楽しめますよね。
任せっきりにしてしまうと進まないので、先生や施設の人がサポートにつきましょう。
まとめ
高齢者の方と交流をするときには「お互いにできること」をすると、負担がありません。
具体的には次のようなことを考えてみましょう。
◯時間はザックリと決める
- 伝えるのは集合時間
- 待ち時間には「すぐやめられる」活動をする
- 先に始めてしまう
◯今できることをしてもらう
- 遊びの種類までハッキリ決める
- 畑仕事をしてもらう
- 特技を披露してもらう
◯一緒に楽しめることをする
- 一緒に歌を歌う
- 一緒にわらべ歌で遊ぶ
- 一緒に手遊びをする
- 特別な技術のいらない遊びをする
いかがでしたか?
高齢者の方との交流をしている人は、試してみてくださいね。
「一緒におやつを食べる」は、慣れないうちは、やらない方が無難です。
話すことが無くて、無言のまま食べることになりますよ。「何度か交流をして、打ち解けている」または「先に一緒に遊んで、十分に仲良くなっている」という状態であれば、「一緒におやつを食べる」もアリですけどね。
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