保育関係者のみなさん、今年の運動会は中止ですか?
「運動会が中止になる」という場合、無くなるのは、保護者のみなさんに子ども達の姿を見てもらう機会ばかりではありません。体を動かす機会も無くなりますよね。「運動会はするけれど、綱引きは密になるからやらないように」という話も聞きました。
綱引きをやらないなんてもったいない!タイトルにある「オススメの運動」は綱引きです。この記事では、蜜にならないようにしつつ、普段の綱引きよりも運動効果の高いやり方を紹介します。
綱引きで鍛えられる力
綱引きで主に鍛えられる力は次の3つです。
- 握力
- 踏ん張る力(足腰の筋力)
- 体の使い方
大人になってから綱引きをしたことがある人は実感していることでしょう。運動会で綱引きの決勝までいくと、手が震えるくらいに握力を使い果たし、足はガクガクになっている…という経験をしたことはありませんか?
握力の低下について
文部科学省の「体力・運動能力調査」(新体力テスト)の結果から、子どもの体力と運動能力が少しずつ向上していることが分かった一方で、握力・ボール投げなどの記録はピーク時と比べて低下し続けているようです。
「子どもの体力向上のための取組ハンドブック」
また、近年、子どもの筆圧が弱くなったという話もあり、体を使う遊びが推奨されています。保育関係者からしてみれば、握力の低下も筆圧が弱くなっていることも、同じ問題ですよね。そこで、保育塾としては、体を使う遊びとして、今回「綱引き」を推していきます。
「密にならない」「運動効果の高い」綱引きとは
「密にならない」とか「運動効果の高い」とか、たいそうなことを書いていますが、要するに、「人数を減らして綱引きをやってみましょうという」ということです。
リンゲルマン効果
心理学者リンゲルマンが提唱したとされる「リンゲルマン効果」というものがあります。「集団で作業した場合、単独で作業するよりも生産性が低下する」という現象がおきるんですよね。ようするに、「みんなでやると、手抜きがおきる」ということです。
有名なのが綱引きの実験ですね。
1人で綱を引いたときの力を100%とすると、「2人で綱を引いた場合、1人当たりの力は93%」「3人で綱を引いた場合、1人当たりの力は85%」「8人で綱を引いた場合、1人当たりの力は49%」となったそうです。
では、運動会のように大人数で綱引きをする場合はどうなるでしょう?コミュニケーションや団結することなど、綱引きで育つ能力はいろいろとありますが、運動能力だけに限ってみると、できれば少人数で綱引きをした方が効率はよさそうです。
人数が少なくなるほど体の使い方が重要になる
実は、綱引きは人数が少なくなるほど体の使い方が重要になります。大人数で綱引きをする場合、1人や2人が綱を引っ張らなくてもチームが勝つことがあります。「綱につかまっているだけ」という子どもを見たことがある人もいることでしょう。誰かが足を滑らせて踏ん張ることができなくなっても、綱は両側から引っ張られ続けます。
ところが、人数が少なくなると状況は全く変わってきます。少しでも足を滑らせると負けに直結するため、踏ん張り直すんですよね。少人数での綱引きで遊んでいると、とっさのときに体が動くようになるんですよ。
もちろん、体を上手く使うと勝ちに直結するということもあります。他の遊びと同様、遊んでいるうちに体の使い方が分かってくるんですよね。
できれば家庭にオススメする
これも他の遊びや運動と同じことですが、人数が少なくなると、長所ばかりでなく短所も生まれます。同時に数カ所で行うと、安全面に問題が出てきますよね。思い切りやるために、家庭にオススメしてみましょう。走りまわることや、ボールを投げることなく、しっかりと力を使うことができ、ストレス解消にもなります。
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当然、地域によって、できることできないことは違います。その都度状況も変わることでしょう。ですので、運動会で綱引きをやりましょうなんてことは言えません。この記事を読んで、何かを考えるきっかけにしてもらえたら幸いです。
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保育塾代表
2人の娘の父親
公立幼稚園・幼保園・大学の附属幼稚園で勤務の後、保育塾を立ち上げる。
ラッパ吹き。小学生を中心に、20年以上いろんなバンドを指導しています。保育士・幼稚園教諭のみなさんが、ほんの少しだけ余裕をもって仕事ができたら、プラスの循環が生まれます。
ほんの少しだけ余裕をもって仕事ができたら、ほんの少しだけ子どもが落ち着いて、そうするとまた、ほんの少しだけ余裕ができて、効率良く仕事ができる方法を調べたりして・・・
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