【言葉?表現?】「歌は心を育てる」ということについて分かりやすく真面目に考えてみる

私はよく、「心を育てるのが保育」ということを伝えています。言い切れるものでもないですが、「心を育てる」って後回しにされてしまうことがあるので、あえてそのように伝えています。今回は、「歌は心を育てる」ということについて、専門的な言葉を使わずに(というより専門家ではないので使えませんが)、ちょっと真面目に考えていきます。

歌を歌うことにはどんな意義があるか

保育所でも幼稚園でも歌を歌います。保育指導案(月案)に、「今月の歌」などと書き込んであることも多いです。歌だけ特別扱いなんですよね。なぜそんな特別扱いされているかということは、今回は置いておきますが、とにかく、保育において歌は重要視されています。では、歌にどんな教育的意義があるか考えたことがありますか?

・ 歌を歌うことを通して、心が安定し豊かになる。
・ いろいろな歌を歌う楽しさを味わいながら、多様な文化に親しむ。
・ 季節や行事に応じた歌を歌うことで、季節感や行事への関心や興味が養われる。
・ 歌詞を覚えることで、文字に親しみ語彙が豊富になるとともに、歌詞からのイメージをふくらませ、想像性を育む。
・ 友達と一緒に歌ったりリズム遊びをしたりすることで、友達と一体感を味わう。
・ 音楽に合わせてのびのびと体を動かすことで、リズム感が育つ。
・ 感じたことや考えたことを音や動きに表現することで、表現力が豊かになる。
・ 手遊びや身体を動かす振りを、歌やリズムに合わせて自分たちで考えることで、動きを創作する喜びを味わう。

引用元:お茶の水女子大学子ども発達教育研究センター『幼児教育ハンドブック』

分かりやすいように、お茶の水女子大学の力を借りました。歌やリズム遊びには、こんなにたくさんの教育的意義があるんですよね。心に関することもいくつか書いてありますが、その中でも「想像する」ということについて、さらに考えていきますね。

歌詞から想像することで心が育つ

ここから先は私の個人的な見解が大いに混ざります。また、歌だけ歌っておけば良いというものではなく、「歌は様々な要素の中の1つ」ということを頭に置いた上で続きを読んでみてください。

まず、「お正月」と「あわてんぼうのサンタクロース」の歌詞を思い出してください。「お正月」は、正月が来ることを楽しみにした歌で、「あわてんぼうのサンタクロース」は、クリスマスの前にサンタクロースがやってきたということを歌にしてありますよね。どちらも冬の歌で、夏や春に歌うことはめったに無いですね。

では、冬に歌う場合はどうでしょう。私は、「お正月」を1月に歌うのは違和感があるんですよ。もうすでに1月になっているのに、「もういくつ寝ると」とか「早く来い来い」と歌うのは変な感じがします。ところが、「あわてんぼうのサンタクロース」をクリスマスに歌うのは平気なんですよね。クリスマス前のことを歌った歌なのに、クリスマスに歌うのは平気です。私と同じように感じる方もいらっしゃるのではと思います。

「お正月」を1月に歌うと違和感があって、「あわてんぼうのサンタクロース」をクリスマスに歌うと平気なのはなぜなのでしょう。

おそらく、「お正月」は「お正月を楽しみする気持ち」が歌われていて、「あわてんぼうのサンタクロース」は「クリスマス前のできごと」が歌われているからなのではないでしょうか。「気持ち」と「できごと」の違いなのだと思います。「お正月」のほうは、「気持ち」が歌われているので自分の気持ちを重ねるんですよね。1月になってしまったら「早く来い来い」なんて思えないです。「あわてんぼうのサンタクロース」は物語というか作り話なので、少々季節がズレていようが歌い手の気持ちは変わりません。

これは、「あわてんぼうのサンタクロースよりもお正月を歌いましょう」ということではありませんからね。「特に思い入れの無いような歌でも、歌詞によって気持ちに影響がある」という話です。

思い入れの無いような歌でも影響があるのだとしたら、子どもが何度も歌う歌は、子どもの心に大きな影響がありますよね。分かりやすいのは卒園ソングです。歌うことで、今までの生活を振り返り、小学校へ思いを馳せ、気持ちの整理をつけていくことになります。長すぎて覚えにくかったりリズムが難しかったり使ってある言葉が理解しづらかったりすると、歌うのだけで精一杯で、心が育つところまでいくのは難しいです。余裕をもって、想像しながら、自分のことと結びつけながら歌える歌を選びたいですね。
【育了式・修了式・卒園式・謝恩会】保育所・幼稚園のお別れソング30

そう考えると、「歌わない子ども」って、歌わないから育ってないということにはなりません。歌を聴くことに一生懸命だったり聴くことを楽しんでいたりするのかもしれません。心が育っているところだとしたら、口が開いてないとか大きな声が出てないという声をかけられるのはもったいないですよね。

もしあなたが保育関係者なら、「保育塾ベーシック」についての詳しい内容を読んでみてください。3日に1度、10分ほどでできるメルマガが無料で届きます。子どもの見取り、記録、援助、保育指導案や要録の書き方が分かるようになってきます。

保育塾ベーシックの紹介

指導案や要録を実際に書き進めていく様子を見たり他の人の考えを聞いたりしたい方のために、
オンラインの研修も用意しています。

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

「もっといろいろと知りたい」という方は、

ホームページや、このサイトの記事が一覧になったサイトマップをご覧ください。

管理人うち@uchi70794834|Twitter)

保育塾代表
2人の娘の父親
公立幼稚園・幼保園・大学の附属幼稚園で勤務の後、保育塾を立ち上げる。
ラッパ吹き。小学生を中心に、20年以上いろんなバンドを指導しています。

保育士・幼稚園教諭のみなさんが、ほんの少しだけ余裕をもって仕事ができたら、プラスの循環が生まれます。

ほんの少しだけ余裕をもって仕事ができたら、ほんの少しだけ子どもが落ち着いて、そうするとまた、ほんの少しだけ余裕ができて、効率良く仕事ができる方法を調べたりして・・・

そんなプラスの循環の始めの一歩、小さな余裕を生み出すお手伝いをしています。あなたが読んだこの記事が、そんな始めの一歩になったら嬉しいです。

ABOUTこの記事をかいた人

管理人のUCHI(うち)といいます。 公立幼稚園、幼保園、大学の附属で働いていた元幼稚園教諭。 現在、島根保育塾代表。仕事を効率化するだけなら簡単です。しかし、保育の質を落とさず(むしろ上げながら)効率化することは、現場を経験した人間でないと、なかなか上手くできません。「保育の質を上げる」「労働時間の短縮」これを両立させるための記事を書いていきます。あなたの園に合わせた方法を知りたい人は、お問い合わせくださいね。