小学校以降であれば、先生はずっと先生役をすればいいんでしょうけど、 保育をする場合、保育者はずっと先生役ではありません。 子どもが小さいうちは、お母さん役、お父さん役がほとんどでしょうし、 子どもの人数が少ないと、友達役をすることが多くなるでしょう。今回は、砂場の遊びを例に挙げ、保育者の役割について考えてみます。
保育者に必要なのは先生役だけではない
保育をする場合、保育者はずっと先生役ではありません。お母さん役、お父さん役もするし、友達役も、それ以外の役も、いろんな役をします。特に、3歳未満児、乳児担当の方は、先生以外の役回りが多くなりますよね。「先生」をやり過ぎると、そこは「保育室」「園庭」ではなく「教室」「校庭」になってしまいます。これって、就学に向けての子どもとの関わり方にも関わってくることです。徐々に先生役になる場面を増やしていけば、自然とアプローチカリキュラムも上手くいくことでしょう。
砂場で安全に遊ぶために
それでは、砂場で遊ぶ場面を考えてみましょう。「安全に遊ぶ」ということだけを考えても、次のような役割が思い浮かびます。
- (監督のように)全体を見渡して注意をする
- (海賊の見張り役のように)一緒に遊びながら危険なことを報告する
- (助手のように)一歩引いたところで危ない物を取り除く
- (ボディーガードのように)身を挺して子どもを守る
- (母親のように)側に寄り添ってそっと手を貸す
- (遊びのリーダーのように)率先して安全な遊び方のモデルになる
ボディーガードのように…というのは少し大げさな言い方かもしれませんが、周りが見えなくて砂をまき散らしたりスコップを振り回したりする子どもに対しては、他の子ども達が危なくないように、代わりに痛い思いをすることってありますよね。
砂場で楽しく遊ぶために
では、子どもが砂場で楽しく遊ぶために、どんな役割をしましょうか。いろんなケースがありますが、「遊びに参加しない場合」「お気に入りのものを使えない場合」「望んだ遊び方ができない場合」「友達と一緒に遊ばない場合」、どんな働きかけをしていますか?
おそらく、多くの人が、「一緒にやろうよ」と誘う、「やってみない?」と促す、「こっちにしてみたら?」と提案する、あとは、子どもの自主性を大事にして見守る・・・というようなことをしているのではと思います。
これらの働きかけを役割で考えたとき、多くは「先生」なんですよね。実は、先生が遊びの提案をしても、上手くいかないケースが多いです。先生に言われたから、その場では一緒に遊ぶかもしれませんが。
試しに、「友達」や「協力者」「助手」となって、「友達とみんなで遊ばない子」の遊びに参加してみましょう。言い方を変えると、その子(以下A君とします)を動かそうとするのではなくて、A君のために、こちらが動くんです。
「友達」や「協力者」や「助手」となって、A君の遊びを、他の子ども達が見たくてたまらないくらいの遊びにしていくと、他の子ども達が、その魅力的な遊びにくっついてきます。(「友達」「協力者」「助手」の違いは、A君と対等かどうか、どのくらい手伝うかの違いです。もちろん厳密な違いはありません。)
砂場での発見を大事にしようと思ったら
砂場の遊びで子どもが何かを発見することは本当に多いです。これも、「どのような立場で子どもとかかわるか」という役割で考えると、これまでとは違った発見もいろいろと出てきます。少しだけ例を挙げてみますね。
子どもと同じ目線で見ながら、「あ!」と言った後、手招きすると、子どもも見たくてたまらなくなるし(この援助は「好奇心を刺激する」と言えます)、◯◯君の周りを、よく見える場所を探して歩き回れば、子どもは「見える場所を探せばいいんだ」と思えます(この援助は「モデルになる」と言えます)。
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保育塾代表
2人の娘の父親
公立幼稚園・幼保園・大学の附属幼稚園で勤務の後、保育塾を立ち上げる。
ラッパ吹き。小学生を中心に、20年以上いろんなバンドを指導しています。保育士・幼稚園教諭のみなさんが、ほんの少しだけ余裕をもって仕事ができたら、プラスの循環が生まれます。
ほんの少しだけ余裕をもって仕事ができたら、ほんの少しだけ子どもが落ち着いて、そうするとまた、ほんの少しだけ余裕ができて、効率良く仕事ができる方法を調べたりして・・・
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