・いつも道具の取り合いになる
・他の場面でも仲が悪くなってしまう
などと思っているあなた。
実は、「保育所保育指針解説」に良いことが書いてあるんです。
物の取り合いをする子ども達に対しては、
「ルールを決める」や「順番」「ジャンケン」の前に、
必要なことがあるんですよ。
「ルールを決める」「順番」「ジャンケン」の前に必要なこととは?
共同の遊具や用具を大切にし、皆で使う。
これ、保育所保育指針に書いてあります。
でもこれは、「ルールを守る」だけではないんです。
「道具を大切にしましょう」
「みんなで使いましょう」
だけではないんです。
「ルールを守る」の前には「気持ちを考える」があります。
そんなのどこに書いてあるの?
「⑫ 共同の遊具や用具を大切にし、皆で使う。」
これは、3歳以上児の5領域
「人間関係」に書いてある「内容」の1つです。
(「内容」は全部で13個あります)
実は、「保育所保育指針」だけ読んでも分からないんです。
「保育所保育指針解説」に書いてあります。
自分も使いたいが、友達も使いたいということで起こる衝突やいざこざ、葛藤などを体験することを通して、個人の物と皆の物とがあることに気付かせていくことが大切である。
引用:保育所保育指針解説
こんな風に書いてあります。
「衝突」「いざこざ」「葛藤」
これらを体験しないといけないんです。
子どもが気付いていかないといけないんです。
結局どうすればいいの?
保育所保育指針解説に書いてあることを
よく読んでみましょう。
- 十分に遊び、道具に対しての愛着を持つ
- 互いの「自分が使いたい」から、いろいろな「問題」が起こる
- 相手の気持ちも分かる
- 皆で使う
要約すると、この順番になります。
いきなり「4.皆で使う」を目指すと、ルールを決めることになりがちです。
長いスパンで考える
保育の現場で働いているあなたはご存知でしょうが
そんなにすぐには状況は変わりません。
一年中、いざこざがありますよね。
長いスパンで考えましょう。
- 十分に遊び、道具に対しての愛着を持つ
- 互いの「自分が使いたい」から、いろいろな「問題」が起こる
- 相手の気持ちも分かる
- 皆で使う
先ほど紹介した、
保育指針解説に書いてあることを
そのまま実践すると次のような感じです。
ちょっと記録風に書いてみます。
(記録の形に決まりはありません。また、これは模範解答ではありません。)
5月28日 一日砂場で遊んだ。熊手を気に入った様子。
その後も毎日同じものを使っている。
(道具に愛着を持っている姿)
6月3日 「貸して」と言われても、どうしても譲らない。
6月中旬~ 「自分が使いたい」が強く、いざこざが増える
(互いに主張ができるようになってきた)
7月2日 保育者が道具を追加して出すと、Aはそちらの方を選択
9月18日 相手がBだと、特に譲りたくない様子。
(相手の気持ちも分かるようになってきたが・・・。Bとのやり取りに注意してみる)
AとBが2人とも自分のお気に入りを使っているときは、取り合いが起こらない。
(一応、皆で使っている状態)
すぐに解決しようと思うと大変です。
「これくらいの時間、かかって当然」
くらいの気持ちで構えましょう。
「相手の気持ちも分かる」について保育者の援助を考える
「順番」
「ジャンケンね」
「先に来た人が使うよ」
このような言葉をよく聞きます。
これらの援助をまとめると「ルールを提示する」です。
「皆で使う」ことに対してのはたらきかけです。
保育士等が一方的に順番を指示したり機械的にじゃんけんなどで決めたりするような安易なやり方ではなく、 自分たちの生活を豊かにしていくために、自分の要求と友達の要求に折り合いを付けたり、自分の要求を修正したりする必要があることを理解していくようにすることが大切である。
引用:保育所保育指針解説
安易なやり方って・・・。
厳しいですね。
ときどきはOKにしましょう。
完璧にやろうと思うと疲れてしまいます。
気にしすぎて、何もできなくなってしまうかもしれません。
ただ、それで満足するのではなくて、
その続きも考えます。
保育指針解説の続きには・・・
自分の要求と友達の要求に折り合いを付けたり、自分の要求を修正したりする必要があることを理解していくようにすることが大切
と書いてあります。
具体的なことが知りたいんですけど
と思いますよね。
全部書くとキリがないので、保育指針解説には書いてありません(たぶん)。
この記事でも、とても全部は書き切れないので、声のかけ方の一部を紹介しますね。
- 「これ大好きだもんね。たくさん砂が掘れるし。」と、共感する。
- 「これ大好きだもんね。使いたいよね。」と、使いたい気持ちを肯定する。
- 「Aちゃんはこんな気持ちなんだね」と、言語化する。
- 「Bちゃんは、こんな気持ちなんだって」と、代弁する。
- 「どんな気持ちがする?」と、気持ちを伝えるよう促す。
- 「使わせてくれたら、私だったら嬉しいな」と、譲ったら相手の気持ちがどうなるかを示唆する。
- 「Aちゃんも嬉しくなると思うよ」と、譲ったら自分の気持ちがどうなるかを示唆する。
- 「Aちゃんが使わせてくれたから、Bちゃんすごく嬉しそうな顔してる。」と、譲った後の相手の気持ちに目を向ける言葉をかける。
キリがないのでこれくらいにしておきます。
私は記事として「言語化する」とか「示唆する」などと書いています。
難しく考えると分からなくなるので、普段は気にしないでくださいね。
【注意】
・この順番に言ったら子どもが譲りますよということではありません。
・大人が喋りすぎないようにしましょう。
・譲りたくない子どもの気持ちも受け入れましょう。
・上でも伝えたとおり、長いスパンで考えましょう。
まとめ
物を取り合ういざこざは、子ども達にとって必要なことです。保育指針にも書いてあります。
ルールを決めてみんながそれを守っても、「 共同の遊具や用具を大切にし、皆で使う」 を達成したことにはなりません。保育所保育指針解説をよく読めば分かります。
大切なのは、気持ちです。
ルールではありません。
この記事では、3歳以上児の5領域「人間関係」の「内容」から、12番目のものについて、詳しく説明しました。他にもたくさん「内容」があります。「人間関係」だけではなく、「健康」や「言葉」もあります。3歳未満児、乳児のこともあるし、養護のこともあります。考えることがたくさんです。
そんなたくさんのことを、満遍なく学びたい方、辛い思いをせずに知りたい方は、「保育塾ベーシック」についての詳しい内容を読んでみてください。
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保育塾代表
2人の娘の父親
公立幼稚園・幼保園・大学の附属幼稚園で勤務経験あり。
ラッパ吹き。小学生を中心に、20年以上いろんなバンドを指導しています。