「おうちの人に聞いてもらいましょう」と、宿題としても出される「音読」。ハッキリ言って、嫌いな人も多いのではと思います。今回は、ちょっと保育の視点から「音読」という宿題について考えてみます。決して、幼児に音読を勧めているのではないということだけは、分かった上で読んでみてください。小学生になってから楽しく読めますように。
「音読」は聞いてあげるものなのか
まずは、小学校3年生になる私の娘が保育所に通っていたときの話です。当時、1歳児~2歳児だったAちゃんは、毎朝お気に入りの絵本を娘に読んでもらっていました。娘が年中から年長の終わりまでずっとです。娘に字を教えたことは無いので、最初のうちは上手く読めるはずもありませんが、Aちゃんはなぜか娘が絵本を読んでくれるのを気に入っていたようです。「何冊も読むのが大変だ」ということを娘は言っていましたが、Aちゃんにお願いされることを喜んでもいました。
毎日何冊も、日によっては10冊以上も読んでいたそうですが、それだけ音読していると、読み方は上手にもなってきます。初めて読む絵本でもスラスラと、登場人物によって声を変えて読むようなこともありました。…ということをあまり長く書いていてもただの親バカなので、ここら辺で終わりにします。娘がやっていたのは、「絵本を声に出して読む」という音読です。ただ、宿題の音読とは違いますよね。
- 聞く方のAちゃんは「聞いてあげる」のではなく「読んでほしい」
- 読む方の娘は「自分のために聞いてもらう」のではなく「Aちゃんのために読んであげる」
宿題だと音読の表に◎や◯を付けますが、正直な話、ほとんど聞いてないですよね。聞いていたとしても、Aちゃんのように目をキラキラさせて笑顔で読んでもらうことはありません。
音読を保育の視点で考えてみる
保育所や幼稚園の生活で、「音読をしましょう」ということは、普通はありません。「お勉強」として取り入れている園もあるでしょうが、おそらく学校と同じような形ですね。娘とAちゃんのような状態ではありません。保育の視点で考えてみるというのは、「保育施設で音読をするときには」ではなくて、「保育者の関わり方として、娘に対するAちゃんのような関わり方はあるよ」という話です。
この関わり方は、ベテランの保育者だとよくやる人もいます。「あえて分からない振りをする」「意図的に子どもを頼ってみる」という関わり方です。Aちゃんのような、「あなたに読んでもらうのがとってもスキ」「抱っこして読んでもらうと安心する」という立場で子どもにお願いするんです。そうすると子どもは、「仕方ないなあ」などと言いながら読んでくれることでしょう。
音読を学習の定着率で考えてみる
この図は、「ラーニングピラミッド」と呼ばれています。アメリカ国立訓練研究所の研究による、学習方法と平均学習定着率の関係を表しています。「どんな方法で学習すると、どれくらい定着するか」ということです。アクティブラーニングを語るときは、すぐに「ラーニングピラミッド」が登場します。図の下の方にある、「グループ討議」や「人に教える」辺りが「アクティブラーニング」です。
「音読」って、このピラミッドで言うと、どこになるのでしょう?娘がAちゃんにやっていた音読は、1番下の「人に教える」に近いのではないでしょうか。決められた回数を単に読むだけではなく、相手に伝わるように読むことで、音読の効果は変わってくると思いませんか?
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保育塾代表
2人の娘の父親
公立幼稚園・幼保園・大学の附属幼稚園で勤務の後、保育塾を立ち上げる。
ラッパ吹き。小学生を中心に、20年以上いろんなバンドを指導しています。保育士・幼稚園教諭のみなさんが、ほんの少しだけ余裕をもって仕事ができたら、プラスの循環が生まれます。
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