「ドッジボールは危険」「いじめを助長する」という話があります。実際に、被害者側の人が発信しているものはたくさんあり、アメリカでは複数の州でドッジボールは禁止されているんですよね。今回の記事では、ドッジボールを複数の視点からもう一度考え、新しい形を提案します。ある保育系の大学教授に「それいいね」と言ってもらえたやり方です。「転がしドッジ」ではないですよ。
ドッジボールの利点
まずは利点から。小学校では、体育の時間も休み時間もとにかくドッジボールをよく見ます。取り上げられるからには利点が大きいんですよね。
みんなで一緒にできる
クラス単位の大人数で一緒に遊ぶことができるというのが、ドッジボールの利点の1つです。小学生の場合、高学年にもなると男女の体力差が大きくなってきますが、「コートの広さを変える」「利き手と反対の手で投げる」など、やり方を変えることで一緒に楽しむことができます。
さまざまな力や能力が向上する
ドッジボールでは運動能力が総合的に向上する他、様々な能力が向上します。主なものを挙げますね。
- ボールを投げる、キャッチする
- ボールを避ける
- 広い視野で周りを見る
- 判断する(避けるor受ける、相手に投げるor外野にパス)
- 作戦を理解する
- 協力する
保育目線で考えると
さて、保育目線でドッジボールを考えたとき、ドッジボールの利点はどれだけあるのでしょうか。
みんなで一緒にできることについて
小学校では、「男女が分かれてやらなければならない」が多くなってきます。男女による体力差も考えなければなりません。幼児の場合、性差による体力差は小学生ほど大きくありません。この点が、学校現場とは違います。ドッジボールが「みんなで一緒にできる貴重な活動」である学校現場に対し、保育現場でのドッジボールは、「みんなで一緒にできる活動の1つ」です。
さまざまな力や能力が向上することについて
ドッジボールで向上する力、能力についても、保育目線で考えてみますね。
向上する力、能力は、主に次のようなものがあるとお伝えしました。
- ボールを投げる、キャッチする
- ボールを避ける
- 広い視野で周りを見る
- 判断する(避けるor受ける、相手に投げるor外野にパス)
- 作戦を理解する
- 協力する
転がしドッジの場合、ボールを投げません。飛んできたボールをキャッチすることもありません。避けるのもゆっくりです。幼児には調度良いですね。「広い視野で周りを見る」とか「作戦を理解」とかではなく、純粋に、「ボールを転がす」「ボールを避ける」を楽しむということで良いのではと思います。
ということを考えると、運動面から見ても「全員でするドッジボール」である必要はないんですよ。「じゃあ、転がしドッジではなくて普通のドッジボールをすれば?」と思われるかもしれませんが、ドッジボールを投げることは大人が思うよりも難しいです。小学校1,2年でも体育の時間に転がしドッジをしています。
提案したいドッジボールの形
では、新しいドッジボールの形を提案しますね。
新しいドッジボールのやり方
- 遊戯室くらいの広さの屋内で行う
- コートの広さや人数はドッジボールと同じ
- 相手チームの後ろにある壁をねらってボールを投げる
- 壁にボールが当たるとポイントが入る
- 人にボールが当たってもアウトにはならない
簡単ですよね。ドッジボールと大きく違うところは、「人に当てないように投げる」というところです。
新しいドッジボールの利点
このやり方だと、利点がいろいろとあります。
- 投げても転がしていいしワンバウンドでもいい
- ボールに当たってもアウトではなく、相手の得点を防いだことになるので賞賛される
- 当たってもアウトではないので積極的にボールをキャッチしにいく
- 攻撃性を人に向けずにプレイできる
転がしドッジでは経験できない「投げる」を十分にできますし、当たってもアウトにはならないので積極的に「キャッチする」もできます。なにより、人に当てる意味が無いので攻撃性が高くならずにすみます。
新しいドッジボールに足りないところ
- 避ける動き
ドッジボールの「ドッジ」は、「すばやくかわす」というような意味らしいので、避ける動きがなかったらドッジボールではないですね。積極的にボールを取るようになるので、キャッチボールという名前にでもしましょうか…。避ける動きは、後に普通のドッジボールで経験すればいいですよね。この新しいドッジボールは、転がしドッジと普通のドッジボールとの間で楽しんでみてください。
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保育塾代表
2人の娘の父親
公立幼稚園・幼保園・大学の附属幼稚園で勤務の後、保育塾を立ち上げる。
ラッパ吹き。小学生を中心に、20年以上いろんなバンドを指導しています。保育士・幼稚園教諭のみなさんが、ほんの少しだけ余裕をもって仕事ができたら、プラスの循環が生まれます。
ほんの少しだけ余裕をもって仕事ができたら、ほんの少しだけ子どもが落ち着いて、そうするとまた、ほんの少しだけ余裕ができて、効率良く仕事ができる方法を調べたりして・・・
そんなプラスの循環の始めの一歩、小さな余裕を生み出すお手伝いをしています。あなたが読んだこの記事が、そんな始めの一歩になったら嬉しいです。