リレー・かけっことのつながりを考える「幼児期の終わりまでに育ってほしい10の姿」

幼児期の終わりまでに育ってほしい10の姿を、教育課程・全体的な計画や指導計画に取り入れなければならないみなさん。

5歳はともかく、3歳や4歳を担任している人は、10の姿を取り入れて、子どもの具体的な姿を書き出すのは大変ですよね。

今回は、リレーやかけっこで見られる姿が、「幼児期の終わりまでに育ってほしい10の姿」と、どのようにつながっているかを考えてみましょう。

この記事では、「10の姿」につながる、具体的な姿を考えるためのヒントを、「リレー・かけっこ」に視点を当ててお伝えしています。

この記事を読んで、書いてあることを実践できれば、「10の姿」につながる姿を考える労力が、これまでの半分以下ですむでしょう。

「リレー・かけっこで見られる姿」と「幼児期の終わりまでに育ってほしい10の姿」との関係を考える時に気を付けるのはこの2つ

「リレー・かけっこで見られる姿」と、「幼児期の終わりまでに育ってほしい10の姿」との関係を考える時に、気を付けるのは次の2つです。

  • 教育課程・全体的な計画や指導計画の見直し方を今までと同じにする
    「10の姿」を意識し過ぎると、文章ばかりを見てしまい、実際の子どもの姿を見失いがちになります。実際の子どもの姿をしっかりと見ましょう。
  • 「10の姿」に書いてある言葉を安易に取り入れない
    「10の姿」は幼児期の終わりまでに育ってほしい姿です。「10の姿」とのつながりを分かりやすくしようとして、「10の姿」に書いてある言葉を取り入れると、高度過ぎる場合があります。

それでは、具体的に説明していきますね。

「リレー・かけっこ」で育まれる「健康な心と体」

「健康な心と体は、こんな風にして育まれていく。」ということは、幼稚園教育要領解説や、保育所保育指針解説幼保連携型認定こども園教育・保育要領解説に、はっきりと書いてあります。

ですが、そのことについて詳しく書いて、「10の姿」全部について説明すると、この記事は2万字を軽く超えてしまいます。

ですので、詳しいことは「10の姿」(健康な心と体)につながる具体的な姿を考えるヒントを読んでください。

そのときに出てくるキーワードを使って、「リレー・かけっこ」で育まれる「健康な心と体」について、例をいくつか挙げていきます。

「安定感」
「保育者と並んで走る」とか「保育者と手をつなぎながら」「友達と一緒に」「みんなで手をつないで」などの姿が思い浮かびますね。

「環境に関わり」
走ることで考えると「お散歩に出かけた先で走る」「リレーのコースを走ることを楽しむ」などがあります。

「自己を十分に発揮」
「声をあげながら走る」「いろんな走り方やリズムで走る」のような姿がありますよね。

これらを参考に文で書いてみると、

  • 保育者や友達と一緒に、存分に走り回って楽しむ。
  • 並んで走る、手をつないで走るなど、みんなで一緒に走ることを楽しむ。
  • 遊具から別の遊具までを走る、白線の上を走るなど、コースに沿って走る楽しさを知る。
  • 〇〇公園や小学校の校庭など、広い空間の中で走る気持ちよさを感じる。

こんな感じの姿が思い浮かびます。

他にも、「生活に必要な習慣や態度を身に付け」ということから、順番に走ることや、周りに気をつけて走ることなどが思い浮かびますね。

どれも、今まで普通に見られてきた姿ですよね。

「10の姿」を考えるからといって、特別なことを考える必要はないし、特別なことをする必要もありません。

今まで当たり前に見られてきた姿が、「10の姿」とどうつながっているかを見付ければ良いんです。

リレー・かけっこで育まれる「自立心」

「自立心」についても、「こんな風に育まれていく」ということが、幼稚園教育要領解説や、保育所保育指針解説幼保連携型認定こども園教育・保育要領解説に、はっきりと書いてあります。

詳しいことは「10の姿」(自立心)につながる具体的な姿を考えるヒントを読んでください。

そのときに出てくるキーワードを使って、リレー・かけっこで育まれる「自立心」について、例をいくつか挙げていきます。

「身近な環境に主体的に関わり」
「リレーのコースやバトンに興味をもつ、触れようとする」「コースの白線が何なのか、触って確かめる、集める」「公園など、出かけた先で走ったり端の方まで行こうとしたりする」というような姿が思い浮かびます。

「様々な活動を楽しむ」
これは例はいりませんよね。
リレーやかけっこの活動を楽しんでいる姿なら、なんでもありです。

「信頼する保育士等に支えられながら」「物事を最後まで行う体験を重ね」
「応援されて走る」「転んでも立ち上がる」「抜かれてもあきらめない」「最後まで走る」「疲れても頑張る」などの姿がたくさんありますね。

「自分の力でやろうとする気持ちをもつ」「やり遂げた満足感を味わう」
手をつないで走っていたけど、次は1人で走るとか、長いコースを最後まで頑張るとか、少しずつ頑張ることができれば十分です。

これらがリレー・かけっこで「自立心」が育まれている姿です。

「健康な心と体」と同じように、実際の子どもの姿を思い出しながら、文に表してみてください。

リレー・かけっこで育まれる「協同性」

「協同性」についても、「こんな風に育まれていく」ということが、幼稚園教育要領解説や、保育所保育指針解説幼保連携型認定こども園教育・保育要領解説に、はっきりと書いてあります。

詳しいことは「10の姿」(協同性)につながる具体的な姿を考えるヒントを読んでください。

そのときに出てくるキーワードを使って、リレー・かけっこで育まれる「協同性」について、例をいくつか挙げていきます。

「教師との信頼関係を基盤として」
「基盤として」なので、例はいらないかとも思いましたが、あえて言うなら、信頼関係があるから「先生が見ててくれるから、初めての場所でも安心して走り回る」ということはありますよね。

「友達と関わって、嬉しい、悔しい、悲しい、楽しいなどの感情を味わう」
友達と一緒に走るだけでも「楽しい」「嬉しい」という感情を味わっていますよね。手をつないで走るとか、ちょっとふざけて、変な格好をして走る友達の姿をマネするとか。そうすると、さらに楽しくなりますね。競争して負けると「悔しい」し、転んだり友達において行かれたりすると「悲しい」です。このような体験を通して、「友達との関わりが深く」なっていきます。

協同性ではさらに、「互いの思いや考えを共有する」「共通の目的をもつ」「目的が実現する喜びを味わう中で協同性が育まれる」というようになっていきます。かけっこでは、純粋に走ることが楽しいですが、リレーになると、「協同」する姿がたくさん見られます。

「互いの思いや考えを共有する」
「『絶対勝とうぜ』などと、勝ちたい気持ちを互いに言葉に表す」「速く走る方法を考えて伝え合う」「1位になるために、走る順番を話し合う」「バトンタッチの方法を考える」など、リレーに勝つことを考えると、互いの思いや考えを共有する場面はいくらでも出てきます。ただ、これらのほとんどは5歳になってからの姿ですよね。

「共通の目的をもつ」
3、4歳だと、仮にリレーをしたとしても、チームとしての勝敗は分からないことが多いですね。共通の目的をもつのも、5歳になってからがほとんどです。リレーだと、共通の目的はもちろん「1位になる」ですよね。

これらの経験を通して、「目的が実現する喜びを味わう中で協同性が育まれる」というようになります。

リレー・かけっこで育まれる「道徳性・規範意識の芽生え」

「道徳性・規範意識の芽生え」についても、「こんな風に育まれていく」ということが、幼稚園教育要領解説や、保育所保育指針解説幼保連携型認定こども園教育・保育要領解説に、はっきりと書いてあります。

詳しいことは「10の姿」(道徳性・規範意識の芽生え)につながる具体的な姿を考えるヒントを読んでください。

道徳性・規範意識の芽生えについては、他と違って、キーワードが少ないです。

ですので、ちょっと違う部分もプラスして説明します。

「自分の感情や意思を表現しながら」
「楽しい」「もっと遊んでいたい」「走りたくない」「負けて悔しい」など、リレー・かけっこには、感情や意思の表現がたくさんあります。まずはこれが第一歩です。このように、担任などに感情や意思を表現して、それから、他の子どもたちにも感情や意思を表現します。これが、道徳性・規範意識の芽生えの始まりです。

「自己主張のぶつかり合いによる葛藤などを通して互いに理解し合う体験を重ねる」
子ども同士がぶつかり合い、葛藤しないといけないんです。そうしないと、互いに理解し合うことにはなりません。ぶつかり合う前から止めてしまうと、道徳性や規範意識の芽生えは育まれないんです。誤解している人もいますが、「道徳性・規範意識の芽生え」は、「決まりを守る」というようなことではありません。人との関わりが先にあって、その中で、必要な決まりができてきます。

「決まりを守る」ということは、「生活に必要な習慣や態度を身に付け」ということを考えると「健康な心と体」ですし、「公共のものの使い方」という意味では「社会生活との関わり」になります。

「他の幼児と様々な体験を重ね」
「様々な体験」なので、なんでもありですね。おどけて走るのも、通せんぼして邪魔するのも、応援されるのも、全部、様々な体験です。

「してよいことや悪いことがあることを分かり」「考えながら行動するようになっていく」
走るのを邪魔すると危ないし、ふざけすぎると転ぶかもしれません。勝負に熱くなりすぎて、つい過激な言葉を言ってしまうかもしれません。友達に対して、「これはしてもOK。これは、してはダメなんだ」ということも、実体験を伴っていると分かりやすいですね。体験を重ねて、してよいこと悪いことがあることを分かってくると、だんだん考えながら行動するようになっていきます。

リレー・かけっこで育まれる「社会生活との関わり」

「社会生活との関わりは、こんな風にして育まれていく。」ということは、幼稚園教育要領解説や、保育所保育指針解説幼保連携型認定こども園教育・保育要領解説に、はっきりと書いてあります。

詳しいことは「10の姿」(社会生活との関わり)につながる具体的な姿を考えるヒントを読んでください。

そのときに出てくるキーワードを使って、リレー・かけっこで育まれる「社会生活との関わり」について、例をいくつか挙げていきます。

「初めての集団生活の場である保育所の生活」「保育士等との信頼関係を基盤」
保育所や幼稚園の生活は、初めての集団生活です。ですので、保育所や幼稚園で生活していること自体、社会生活との関わりです。リレー・かけっこも、みんなで走る、並ぶ、チームになるなど、集団生活そのものですね。「保育士等との信頼関係を基盤」という言葉は、前にも出てきたので省略します。

「保育所内の子どもや職員、他の子どもの保護者」「いろいろな人と親しみをもって関わる」
園外に出かけて、かけっこをするときとか、運動会でリレーをするときは、安全のために、普段よりも多くの職員が参加しますよね。せっかくなので、普段とは違う職員と親しむ場としてみてはいかがでしょうか。運動会を保護者さんに手伝ってもらうと、保護者と触れ合う機会となります。園外の施設では、その施設の人たちとも関わることになりますね。

「家族を大切にしようとする気持ちをもつ」
「いろいろな人と関わる中で、家族の大切さに気付く」という意味だろうと思います。でも、小さい子にはちょっと難しいですよね。ご飯を食べさせてもらって、毎日元気に育ててもらっているから、楽しくリレーやかけっこができます。まずは、そのことへ「ありがとう」の気持ちをもてるようにしましょう。

「小学生や中学生、高齢者や働く人々など地域の身近な人と触れあう体験を重ねる」
小学校や中学校の校庭、公園など、園外の施設を利用していると、リレーやかけっこも、地域の人と触れ合う体験になりますね。あいさつしたり、使わせてもらうお礼を言ったりしますよね。園外の人にお礼を言うことを考えると、園内でリレーの係をしてくれる先生や保護者にも、感謝して良いかもしれませんね。

リレー・かけっこで育まれる「思考力の芽生え」

「思考力の芽生え」についても、「こんな風に育まれていく」ということが、幼稚園教育要領解説や、保育所保育指針解説幼保連携型認定こども園教育・保育要領解説に、はっきりと書いてあります。

詳しいことは「10の姿」(思考力の芽生え)につながる具体的な姿を考えるヒントを読んでください。

では、「思考力の芽生え」が育まれるときに出てくる言葉を見てみましょう。

「身近な事象に積極的に関わる中で」
身近な事象なので、普段のリレー・かけっこで見られる事象で十分です。砂の上を裸足で走ると痛いとか、並んで待っていると頭が熱くなるとか、汗をかくとか。汗をかいて風が吹くと気持ち良いこと、日が当たると暑くなることなど、いくらでも例はあります。「積極的に」という言葉がありますが、気持ちが向いているかどうかの問題です。見ているだけでも積極的に見ていることもあれば、真剣な顔をして話を聞いているようでも、全く話を聞いていないこともありますよね。

「物の性質や仕組みなどを」
「物の性質」
「仕組み」って言われると難しい気もしますね。「バトンを落とすと転がる」とか、「小さな子どもより大人の方が速く走る」とかが、物の性質です。「手に砂がついているとバトンが滑りやすい」とか、「足を速く動かすと速く走れる」とか、理由を伴っているのが仕組みです。「物の性質や仕組みなどを」なので、そんなに難しく考えなくても、とにかく何かを「感じ取ったり」「気付いたり」するのが思考力の芽生えということですね。先程「身近な事象に積極的に関わる中で」のときに例に挙げた、「暑い」とか、「気持ち良い」とかで十分です。

リレー・かけっこで育まれる「自然との関わり・生命尊重」

「自然との関わり・生命尊重」についても、「こんな風に育まれていく」ということが、幼稚園教育要領解説や、保育所保育指針解説幼保連携型認定こども園教育・保育要領解説に、はっきりと書いてあります。

詳しいことは「10の姿」(自然との関わり・生命尊重)につながる具体的な姿を考えるヒントを読んでください。

では、「自然との関わり・生命尊重」が育まれるときに出てくる言葉を見てみましょう。

「保育所内外の身近な自然」
リレーやかけっこをする場所、気温、天気、風などが、身近な自然ですね。園外に出かけると、そこに行く間に、生き物や道に生えている植物を見ることもありますよね。

「美しさや不思議さに触れて」「感動する体験を通して」
屋外で走るのであれば、目の前の景色そのものが綺麗ですよね。木や草が風で揺れているのも綺麗だし、雨上がりに砂が不思議な形をしていることもあります。砂を見て、粒の大きさの違いに不思議さを感じる子どももいます。リレーで待っている間には、ただ砂を触っているのではなくて、けっこう「感動する体験」をしていることもあるんです。心が動いているから、少々注意をされても、砂を触ることの方が優先で、いつまでも触っています。リレー・かけっこでは、走る気持ちよさを感じることなど、他に「ねらい」とすることがあります。ですので、「美しさや不思議さに触れて」ということに関してはスルーされがちです。

「自然の変化などを感じ取り」「関心をもつようになる」
雲の動きや風の強さ、日の当たり方など、屋外で活動をしていると、自然の変化を感じることが多いです。走り終わって風の気持ちよさを感じている発言などを、聞き逃さないようにしましょう。雨が降り、地面のコンディションが悪いと、外で走ることができないので、リレーやかけっこを楽しんでいる時期は、天気を気にする発言がたくさん聞かれます。「リレーやかけっこに興味をもっている姿」「自然の変化を感じ取り、関心をもっている姿」です。これらの発言も聞き逃さないようにしましょう。

生き物を捕まえる、飼うなど、生き物と触れ合う活動以外で、「生命尊重」のことを言うのは難しいですね。

また、子どもは、身近な動植物に愛着をもって関わる中で、生まれてくる命を目の当たりにして感動したり、時には死に接したりし、生命の不思議さや尊さに気付き、大切にする気持ちをもって関わるようにもなる。

出典:保育所保育指針解説

幼稚園教育要領解説、幼保連携型認定こども園教育・保育要領解説にも同じように書いてあります。

屋外で走っていると、虫を目にすることはありますが、生命の不思議さや尊さということまでにはなりませんね。

リレー・かけっこで育まれる「数量や図形、標識や文字などへの関心・感覚」

「数量や図形、標識や文字などへの関心・感覚」についても、「こんな風に育まれていく」ということが、幼稚園教育要領解説や、保育所保育指針解説幼保連携型認定こども園教育・保育要領解説に、はっきりと書いてあります。

詳しいことは「10の姿」(数量や図形、標識や文字などへの関心・感覚)につながる具体的な姿を考えるヒントを読んでください。

では、「数量や図形、標識や文字などへの関心・感覚」が育まれるときに出てくる言葉を見てみましょう。

「遊びや生活の中で身近にある数字や文字に」
10数える間だけ走るとか、5人ずつでチームになるとか、リレーの順番を決めるときに「何番目」ということを考えるとか、リレー・かけっこでは数字がたくさん出てきます。

「興味や関心をもったり」「物を数えることを楽しんだりする場面が見られるなど」
チームの人数を決めず、アンカーもいない、エンドレスのリレーをしたことがありますか?子ども達は、疲れ切って走れなくなるまで、ひたすら楽しんで走ります。でも、そのうち、各チームの人数を揃えることや、勝敗をつけること、1人が何回走るかということなどを思いつきます。「青チームはあと5人でゴールする」など、人数を数えて、相手チームの状況を把握する姿もありますね。

「保育士等や友達と一緒に」
かけっこなら、ゴールした人数を数えるとか、リレーであれば、「赤チームは3人。緑は、もう6人いる。」など、集まった人数を数えるとか、みんなを待つ場面で、一緒に数を数えることができます。

「数量や図形、標識や文字などに」
5歳児であれば、どのくらい速く走ることができるか、タイムを数え出すかもしれません。バトンの形が、小学校や中学校とは違う円形なのも、気になる子どもがいます。これに関しては、【リレー最大の悩み】折り返しからトラックへの移行をスムーズにする2つのアプローチでも触れています。並ぶ場所に置く、チームカラーのコーンは、標識の仲間です。小学校だと、ゴールした後に、順位別に旗の所に並ぶことがありますよね。これも標識の仲間です。

このようなことに「触れ、親しむ体験を重ねていく」ことで、「数量や図形、標識や文字などへの関心・感覚」が育まれていきます。

リレー・かけっこで育まれる「言葉による伝え合い」

「言葉による伝え合い」についても、「こんな風に育まれていく」ということが、幼稚園教育要領解説や、保育所保育指針解説幼保連携型認定こども園教育・保育要領解説に、はっきりと書いてあります。

詳しいことは「10の姿」(言葉による伝え合い)につながる具体的な姿を考えるヒントを読んでください。

では、「言葉による伝え合い」が育まれるときに出てくる言葉を見てみましょう。

「子どもは保育士等や友達と心を通わせる中で」
リレーやかけっこでは、みんなで一緒に走るとか、走りながら笑うとか、風の心地よさを感じるとか、「ヨーイドン」に集中するなど、一緒に何かをしたり感じたりすることが多いです。ですので、保育士等や友達と心を通わせる体験もたくさんできますよね。

「絵本や物語などに親しみながら」「豊かな言葉や表現を身に付けていく」
絵本や物語は、リレーやかけっこにはありません。でも、「絵本や物語など」の「など」の部分があります。保育士等や友達の、豊かな言葉や表現そのものです。たとえば、「ヘトヘトに疲れた」「流れるくらい汗かいた」などと、これまで知らなかった表現を聞くことがあります。しかも、絵本などとは違い、実感を伴ったリアルな言葉です。

「自分の気持ちや思いを伝え、保育士等や友達が話を聞いてくれる中で」「言葉のやり取りの楽しさを感じ」
これは、どんな遊びや生活の場面でも見られることですよね。「みんなの前で発表して、みんながそれを聞く」というようなことは必要ありません。「走りたくない」「疲れたからもう嫌」など、ちょっとしたことでも、自分の気持ちや思いを伝えれば良いんです。「1、2、1、2」と声を揃えて走ることなども、「言葉のやり取りの楽しさを感じ」につながっていきます。

「言葉による伝え合い」ではさらに、「そのやり取りを通して相手の話を聞いて理解したり共感したりするようになっていく」、「このような体験を繰り返す中で、自分の話や思いが相手に伝わり、相手の話や思いが分かる楽しさや喜びを感じ」、「次第に伝え合うことができるようになっていく」というようになっていきます。
5歳になると、リレーのチームやルール、走る順番など、話し合う場面、伝え合う場面を、たくさんもつことができます。3、4歳では、ちょっと難しいですね。「話を聞いて理解したり共感したり」→「このような体験を繰り返す」→「思いが伝わり相手の話や思いが分かる楽しさや喜びを感じ」という、たくさんの段階があって、それから、「次第に伝え合うことができるようになっていく」ですから。伝え合いにつながることとして、チームの名前を決めることはできますね。

リレー・かけっこで育まれる「豊かな感性と表現」

「豊かな感性と表現」についても、「こんな風に育まれていく」ということが、幼稚園教育要領解説や、保育所保育指針解説幼保連携型認定こども園教育・保育要領解説に、はっきりと書いてあります。

詳しいことは「10の姿」(豊かな感性と表現)につながる具体的な姿を考えるヒントを読んでください。

では、「豊かな感性と表現」が育まれるときに出てくる言葉を見てみましょう。

「子どもは、生活の中で心を動かす出来事に触れ」
リレー・かけっこでの心を動かす出来事といったら・・・と、難しく考える必要はありません。「楽しい」「すごく疲れた」「暑い」「転んで痛い」など、何でもありです。並んでいるときに、後ろにいる子どもに押されただけでも、大騒ぎになることもありますよね。「協同性」のところにも出てきましたが、「悲しい」「悔しい」などのネガティブな感情も必要です。

「みずみずしい感性を基に思いを巡らせ様々な表現を楽しむようになる」
ピョンピョンと、跳ねるように走るのが面白くて、速く走ることよりも跳ねるように走ることを優先するかもしれません。走った後には、「グッタリしている」という言葉から、「グタグタに疲れた。」という言葉を思いつくかもしれません。楽しすぎて、言葉にならないような声をあげながら走ることもあるでしょう。「子どもの素朴な表現は、自分の気持ちがそのまま声や表情、身体の動きになって表れることがある」とは、こういうことです。

「保育士等や他の子どもに受け止められることを通して」
速く走ることができなくても、小さいうちは、走ること自体が楽しいです。まずは、それを受け止められることが必要です。そうすると、次の動きが出てきますよね。

「動きや音などで表現したり演じて遊んだりしながら」
動物と同じように、4本足のつもりで、手も使って走る子どももいます。プールでよくある「ワニやライオンになって」を、走るときにも楽しんでみましょう。また、走っているときの「音」を、「ダッダッダッダッ」「サササササ」などと、声で表現している子どももいますよね。歌いながらとか、気合いを入れて叫びながら走ることもあります。

こうして、「自分なりに表現することの喜びを味わう」ようになります。これらが、リレーやかけっこで「豊かな感性と表現」が育まれているところです。

まとめ

「自立心」も「協同性」も、他の姿も、「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」がどのように育まれるかは、幼稚園教育要領解説や、保育所保育指針解説幼保連携型認定こども園教育・保育要領解説に、はっきりと書いてあります。そこに出てくる言葉を使って、この記事は書いてあります。まずは、幼稚園教育要領解説や、保育所保育指針解説幼保連携型認定こども園教育・保育要領解説を、よく読みましょう。

「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」を具体的に考える時に必要なことは教育課程・全体的な計画や指導計画を、今までと同じように見直すことです。今までは、子どもの姿を基にして見直していました。「10の姿」を基にして見直してしまうと、今までとは違う見直し方になってしまいます。ですので、実際の子どもの姿とは違うものになってしまったり今まで以上に労力が必要だったりします。

そして、「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」に書いてある言葉を安易に取り入れないことが大切です。「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」なので、書いてあることは、かなり高度です。

最後に、「10の姿」を3歳や4歳で表にすることは求められていません。これまでと同じように「5領域」をベースとして保育をしましょう。これについて詳しいことは、「10の姿」(協同性)につながる具体的な姿を考えるヒントに書いてあります。

リレーに限らず、他の遊びについても、子どもの発達に合った遊び方をすることが、とても大事です。他の遊びについての記事もチェックしてくださいね。

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保育塾代表
2人の娘の父親
公立幼稚園・幼保園・大学の附属幼稚園で勤務経験あり。
ラッパ吹き。小学生を中心に、20年以上いろんなバンドを指導しています。

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ほんの少しだけ余裕をもって仕事ができたら、ほんの少しだけ子どもが落ち着いて、そうするとまた、ほんの少しだけ余裕ができて、効率良く仕事ができる方法を調べたりして・・・

そんなプラスの循環の始めの一歩、小さな余裕を生み出すお手伝いをしています。

ABOUTこの記事をかいた人

管理人のUCHI(うち)といいます。 公立幼稚園、幼保園、大学の附属で働いていた元幼稚園教諭。 現在、島根保育塾代表。仕事を効率化するだけなら簡単です。しかし、保育の質を落とさず(むしろ上げながら)効率化することは、現場を経験した人間でないと、なかなか上手くできません。「保育の質を上げる」「労働時間の短縮」これを両立させるための記事を書いていきます。あなたの園に合わせた方法を知りたい人は、お問い合わせくださいね。