保育指導案が書ける人なら分かる全体的な計画や教育課程の見直し方(実践編)

あなたは「全体的な計画」や「教育課程」という言葉を知っていますか?作成したことや見直したことは?すぐに取り出して見ることができますか?難しそうな言葉で、見たこともない人もけっこういるんですよね。ですが、実は園の全職員が関わって作成するものなんです。ということで敬遠する人も多いのですが、これを簡単に説明していきます。

全体的な計画・教育課程とは?

まず、保育所に勤めている方に確認です。数年前、保育指針が改定されて「保育課程」という言葉は無くなり、その代わりに「全体的な計画」という言葉が登場しました。ということが保育指針にも書いてあります。この「全体的な計画」は、保育所でも、幼稚園でも、こども園でも作成するものです。

ですが、保育所保育指針、幼稚園教育要領、認定こども園教育・保育要領に書いてあることって、少しずつ違います。場合によっては、それぞれの「全体的な計画」を違うもののように受け取ってしまう方もいるかもしれません。特に、教育・保育要領では、「教育課程」という名前は出てきますが詳しい記述はありませんので疑問に思っている方もいらっしゃると思います。

言い切ってしまうのはどうかとも思いますが、根本は同じですからね。幼稚園の教育課程を取っ掛かりにして考えると分かりやすいので、保育所、こども園の方も少しお付き合いください。

「教育課程」というものは、学校にもあるんですよ。幼稚園でいうと、登園から降園までです。それ以外の部分は「教育課程に係る教育時間の終了後等に行う教育活動の計画」という名前がついています。長くて覚えることができません。簡単に言うと、預かり保育の部分ですね。

生活習慣や健康診断など、学校保健計画に関わること、防犯、設備管理、避難訓練など、学校安全計画に関わること、その他、いろんな計画を合わせて「全体的な計画」と思っておくと分かりやすいです。これが、幼稚園教育要領に難しく書いてあるんですよ。

もちろん、これらは相互に関わっています。健康診断は保育中に行いますし、預かり保育の時にも避難訓練をします。預かり保育は単に子どもを預かるだけではなくて、昼間の保育とつながったものになっています(なってますよね?)。

こちらが、保育所の全体的な計画を表した図です。幼稚園の登園から降園までの部分(教育課程の部分)をクラスでの生活に、預かり保育の部分を合同保育の部分に置き換えると分かりやすいです。元々、保健計画や安全計画の部分も全て含めて「保育課程」と言っていたんですよね。幼稚園の「教育課程」が表している範囲と同じように受け取られかねないので、「保育課程」から「全体的な計画」に呼び方が変わったのかもしれませんね。

※ここまで、あくまでも分かりやすくするために図に表しています。保育指針、幼稚園教育要領、認定こども園教育・保育要領をしっかり読み比べてください。

基本的な書き方・何を書けば良いか

さて、「基本的な作成の仕方・何を書けば良いか」ということですが、これまで各園で作成しているものは、主に幼稚園の「教育課程」の部分なんです。「全体的な計画」って、簡単に1枚に表せるような量ではありません。「教育課程」の部分だけだったとしても、1枚に表してあるものは内容が不十分なんですけどね。

書き方についても保育指針解説や幼稚園教育要領解説に書いてありますが、そこを読んでも難しいです。これを整理して、今すぐに取り組むこと、そのうち少しずつやれば良いことをスッキリさせましょう。また、「何を書けば良いか」ということも知りましょう。そうすると、様式を自園に合ったものにできるのではないでしょうか。

全体的な計画作成の手順について(参考例)
1)保育所保育の基本について、職員間の共通理解を図る。
・児童福祉法や児童の権利に関する条約等、関係法令を理解する。
・保育所保育指針、保育所保育指針解説の内容を理解する。
2)乳幼児期の発達及び子ども、家庭、地域の実態、保育所に対する社会の要請、保護者の意向などを把握する。
3)各保育所の保育の理念、目標、方針等について職員間の共通理解を図る。
4)子どもの発達過程を長期的に見通し、保育所の生活全体を通して、 第2章に示す事項を踏まえ、それぞれの時期にふさわしい具体的なねらいと内容を、一貫性をもって構成する。
5)保育時間の長短、在籍期間の長短、その他子どもの発達や心身の状態及び家庭の状況に配慮して、それぞれにふさわしい生活の中で保育目標が達成されるようにする。
6)全体的な計画に基づく保育の経過や結果について省察、評価し、課題を明確化する。その上で、改善に向けた取組の方向性を職員間で共有し、次の作成に生かす。

引用:保育所保育指針解説 

保育所保育指針解説には、作成の手順について、このように書いてありますが、ハッキリ言ってしまうと何年経ってもできませんね。1)の時点から先に進みません。ここら辺をどうしていくか、現場に合わせて考えていく必要があります。

ということを具体的に全部考えていくと、この記事は簡単に数万字になってしまいます。そこで、保育塾では「全体的な計画」の具体的な作成、見直しの仕方については研修内でお伝えしています。

実際の「全体的な計画」の一部を使って、見直す方法と、それに伴い月案の作成についても考えることができる研修です。新任の先生にも負担の少ないやり方ですので、興味のある方はこちらのnoteの記事をご覧ください。

保育指導案が書ける人なら分かる全体的な計画や教育課程の見直し方(実践編)
2022年10月16日(日)
ZOOMを使ってオンラインで行います。

ABOUTこの記事をかいた人

管理人のUCHI(うち)といいます。 公立幼稚園、幼保園、大学の附属で働いていた元幼稚園教諭。 現在、島根保育塾代表。仕事を効率化するだけなら簡単です。しかし、保育の質を落とさず(むしろ上げながら)効率化することは、現場を経験した人間でないと、なかなか上手くできません。「保育の質を上げる」「労働時間の短縮」これを両立させるための記事を書いていきます。あなたの園に合わせた方法を知りたい人は、お問い合わせくださいね。