「年間の保育計画に1期(4月~5月)、2期(6~8月)とか書いてあるけど、よく意味が分からない」
「1期のねらいに書いてあることと、担任している子どもの姿が全然違うんだけど、どうしたらいい?」
などと悩んでいるみなさん。
新任の先生に質問されて、上手く答えることができないみなさん。
0歳児の年間保育(指導)計画って、書くのが難しいですよね。
そろそろ、0歳児の年間保育(指導)計画の
書き方を変えてみませんか?
この記事では、0歳児の年間保育(指導)計画を書くのが難しい理由を説明してあります。そして、「どう書けば分かりやすくなるのか」「どう捉えれば悩まなくてすむのか」を提案してあります。
今年度の年間の計画を作成してしまった人も、来年度のため、年間の計画を見直すときのために、考えながら読んでみてください。
0歳児の年間保育(指導)計画を書くのが難しい理由
0歳児の年間保育(指導)計画には、1期(4月~5月)、2期(6月~8月)・・・と書いてあります。他の年齢の年間保育(指導)計画にも同じように書いてあります。1期、2期って、子どもの発達によって分けてありますよね。
でも、
0歳児の年間保育(指導)計画は、他の年齢より書くのが難しいと思いませんか?
難しい理由を一言で言うと、
1期(4月~5月)、2期(6月~8月)という考え方は、0歳児の発達に合っていないからです。
1期(4月~5月)、2期(6月~8月)という考え方が必要な部分もあります。だけど、0歳児の発達には合わないんです。合わない部分があるのに、 全てを1期(4月~5月)、2期(6月~8月)という書き方に合わせないといけないから、難しいんです。
他の年齢だと問題ない
0歳児では年間保育(指導)計画を書くのが難しいですが、他の年齢だと、0歳児ほどは難しくありません。
たとえば、3歳児の場合だと、
- 安心できる居場所を見付ける1期(4月~5月)。
- 安心できる居場所を中心として、行動範囲や興味の対象を広げる2期(6月~8月)。
- 興味をもったことや友達に、自分なりに関わり、伸び伸びと生活する3期(9月~12月)。
- 年中になることに期待をもち、はりきって生活する4期(1月~3月)。
というように、それぞれの期の特徴を表すことができます。
※ここで示した特徴は1つの例で、園によって違います。また、期の分け方も園によって違います。
0歳児の実態
0歳児の場合、3歳児と同じように「1期(4月~5月)の0歳児は、こんな姿」「2期(6月~8月)の0歳児は、こんな姿」って、はっきり言えますか?
言えないですよね。
新年度が始まった時点で、もう歩いている子どももいるし、「まだ4ヶ月?」という子どももいます。
だから、
0歳児の場合は、「1期(4月~5月)は、こんな姿。だから、ねらいはコレ。」って言えないですよね。
具体的な書き方
じゃあ、どうすればいいかというと、具体的には、次の2つを考えると、分かりやすくなります。
- 0歳児では、月齢と期の2本立てで書く。
- 発達は月齢で、行事や自然については期で書く。
月齢と期のそれぞれについて、書くことを詳しく説明しますね。
発達については月齢で書く
保育所保育指針の第1章、3(2)指導計画の作成のイ(ァ)には、
3歳未満児については、一人一人の子どもの生育歴、心身の発達、活動の実態等に即して 、個別的な計画を作成すること。
と書いてあります。
「個別的な計画を作成すること」が必要なんです。「クラス単位で考えて、1期、2期、3期、4期って書くこと」「他の年齢と様式をそろえること」なんて、どこにも書いてありません。
じゃあ、年間保育(指導)計画も、個別的な計画に近づけましょう。。
0歳児クラスでは、
「1期(4月~5月)、2期(6月~8月)、3期(9月~12月)、4期(1月~3月)」
と分けることに加えて、
「~6ヶ月頃、~9ヶ月頃、~12ヶ月頃」
などと、月齢で考えて年間保育(指導)計画を書いてみましょう。
たとえば、
1期(4月~5月)「離乳食のいろいろな味や匂いを感じる」
2期(6月~8月)「離乳食に慣れ、モグモグと口を動かしながら食べる」
3期(9月~12月)「手づかみで、食材の感触を楽しみながら食べる」
というのは、ちょっとおかしいですよね。
4月生まれの子どもだと、1期には歯がかなり生えている子どももいます。
この場合は、「1期、2期」よりも、月齢で、「5~6ヶ月、7~9ヶ月、10~12ヶ月」というように書いた方が、子どもの姿に合っています。
他にも、排泄や運動など、1期、2期、3期と、期で書くよりも、月齢で書いた方がしっくりくることはあります。子どもの発達に関わることは、月齢で書いてみましょう。
発達に関しては個人差があるため、1期(4月~5月)2期(6月~8月)ではなく、6ヶ月頃、9ヶ月頃など、月齢で年間保育(指導)計画を書く。
行事や自然のことは期で書く
0歳児でも、1期(4月~5月)、2期(6月~8月)という書き方が相応しいことがあります。月齢が違う子ども達みんなに、共通する部分ってありますよね。
1つは、園の行事や地域の風習に関したことです。
その中でも、1番大きなことは入園・入所です。子どもによって状況は様々ですが、安心して生活できるようになるまで、細やかな配慮が必要であることは、みんな一緒ですよね。
たとえば、「安定した気持ちで過ごせるよう、特定の保育者がかかわる。」
ということは、月齢が6ヶ月の子どもも、9ヶ月の子どもも、11ヶ月の子どもも、みんな一緒です。この場合は、月齢に関係なく、みんなに共通することなので、1期(4月~5月)と書いた方が分かりやすいですよね。
水遊び、プール、誕生会、もちつきなども、月齢に関係なく、みんなが同じ時期に、同じように体験します。行事や地域の風習などは、1期、2期という、期で書きましょう。
もう1つは、自然環境に関したことです。
「旬の食べ物に触れる、食べる」「風、暑さ、寒さを感じる」などは、月齢に関係なく、みんなが同じ時期に体験することです。自然環境に関わることも、1期、2期という、期で書きましょう。
クラスみんなに共通する、行事や地域の風習に関すること、自然環境に関することは期で書く。
月齢と期の2本立てで書く
1期(4月~5月)、2期(6月~8月)だけだと、子どもの発達に関することは、どこにどのように書くか、分からなくなります。
3ヶ月~5ヶ月、6ヶ月~8ヶ月などの、月齢だけだと、入園・入所の頃の配慮や、季節毎の自然環境に関することなどが手薄になります。
そこで、
子どもの発達に関したことは月齢で書く。
行事や自然環境に関したことは、期で書く。
というように、
月齢と期の2本立てで、年間保育(指導)計画を書いてみましょう。
実際、期と月齢の両方を書いた年間保育計画を見たことがあります。しかし、期の部分と月齢の部分に書いてあることがあいまいだったため、よく分からないものでした。そして、期と月齢の両方が1枚の紙面にあることは、混乱の元となっていました。
期と月齢の2本立てで年間保育(指導)計画を書くときには、
期の部分には行事や自然環境に関したことを書く。
月齢の部分には子どもの発達に関したことを書く。
と、はっきり示さないと、何のことだか分からないようになります。
また、手間はかかりますが、期と月齢の2つを別の紙面で表すのも方法の1つです。
まとめ
0歳児の年間保育(指導)計画は、他の年齢よりも書くのが難しいです。
なぜなら、1期(4月~5月)、2期(6月~8月)という書き方が、0歳児の発達に合っていないからです。
発達については月齢で書きましょう。
しかし、全てを月齢で書くと、入園時の配慮や季節の自然などに関することが手薄になります。
行事や自然環境に関することは期で書きましょう。
月齢と期の2本立てで書くと、それぞれの足りない部分を補うことができます。
2本立てで書く際は、「発達については月齢で書く」「行事や自然環境については期で書く」と、はっきり示しましょう。
手間はかかりますが、混乱しないように、年間保育(指導)計画を2枚に分けて作成するのも1つの方法です。
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保育塾代表
2人の娘の父親
公立幼稚園・幼保園・大学の附属幼稚園で勤務の後、保育塾を立ち上げる。
ラッパ吹き。小学生を中心に、20年以上いろんなバンドを指導しています。保育士・幼稚園教諭のみなさんが、ほんの少しだけ余裕をもって仕事ができたら、プラスの循環が生まれます。
ほんの少しだけ余裕をもって仕事ができたら、ほんの少しだけ子どもが落ち着いて、そうするとまた、ほんの少しだけ余裕ができて、効率良く仕事ができる方法を調べたりして・・・
そんなプラスの循環の始めの一歩、小さな余裕を生み出すお手伝いをしています。あなたが読んだこの記事が、そんな始めの一歩になったら嬉しいです。