1日の終わりに、みんなで集まって「振り返り」をしますよね。
遊び、活動の区切りなどにも「振り返り」をしますよね。
あなたは、どのように問いかけていますか?
いつも
「楽しかった人。」
と言って、子どもが手を挙げるようにしていませんか?
この記事では、1日の終わりや、活動の後などに、「振り返り」をするときの「問いかけ」について考えています。
あなたがいつも、どのように問いかけているか、考えながら読んでみてください。
教育要領や保育指針に書いてある振り返り
まずは、幼稚園教育要領解説や、保育所保育指針解説を見てみましょう。
「振り返り」「振り返る」「振り返って」などの言葉を見てみると、幼稚園と保育所で大きな違いがあることが分かります。
保育所保育指針解説に書いてある振り返り
保育所保育指針解説には30回近く「振り返り」「振り返る」「振り返って」という言葉が出てきます。
そのほとんどが、職員が自分の保育を振り返るという話です。
子どもの振り返りは、「友だちとの関わりの中で、自分の言動を振り返る」というときに登場します。
みんなで集まって振り返ることって、保育指針解説の中で、1回しか出てきません。
幼稚園教育要領解説に書いてある振り返り
幼稚園教育要領解説には、「振り返り」について、どのように書いてあるでしょう。
振り返ることについて、保育所と同じく30回ほど記述があります。
そのうちの3分の1が、職員が保育を見直すための振り返りです。
3分の2が、子どもが行う振り返りです。
保育指針解説と全然違いますよね。
幼保連携型認定こども園教育・保育要領解説に書いてある振り返り
教育・保育要領解説に登場する「振り返り」の割合は、さらに違います。
振り返りについては、保育指針解説や教育要領解説と同じく、30回ほど登場します。
そのほとんどが、子どもが振り返る話なんです。
保育所・幼稚園・こども園の違い
保育所・幼稚園・こども園の違いって、なんでしょう?
保育指針解説や、教育要領解説に書いてある、子どもの振り返りと、大人の振り返りの割合が、こんなにも違うのは何故だと思いますか?
・・・
なぜでしょう。
・・・
考えてますか?
・・・
保育所は、年齢が低い子どもが多いからですよね。
年齢が低いうちは、自分の言動を振り返ることはできません。
「子どもがどうするか」よりも、「大人がどうするか」の方が多いから、保育指針解説には、大人の振り返りについて多くの記述があるんです。
では、どうして、幼保連携型認定こども園教育・保育要領解説は、幼稚園教育要領解説よりも、子どもの振り返りについて、たくさん記述してあるんでしょう。
こども園には、保育所と同じように年齢が低い子どももいるのに。
この理由を専門家の人が話すと、おそらく、とても難しいです。
ここでは簡単に分かるように書きますね。
自分の言動や経験を振り返り、次に何をするのか考える能力を、「メタ認知能力」と言います。
「メタ認知能力って大事だよね。子どもが自分を振り返ることのできる場を、もっと大切にしようよ。」ってなったのは、割と最近なんです。小学校や中学校でも、割と最近です。
こども園ができたのも、割と最近です。
だから、「幼保連携型認定こども園教育・保育要領解説には、子どもの振り返りのことを、しっかり書きましょうよ」ということになったのでしょう。
あくまでも、推測ですけどね。
改定されたとはいえ、保育指針解説や教育要領解説の文章は、ごっそり変わるわけではありません。
だから、保育指針解説や、教育要領解説は、こども園の教育・保育要領解説よりも、子どもの振り返りについての記述が少ないんです。
子どもが自分のことを振り返るための具体的な問いかけとは
子どもたちが、自分の言動や経験を振り返ることは、大事なことです。
では、具体的に、どのような問いかけをしていけばいいのか、考えてみましょう。
発達によって「問いかけ」の言葉を変える
問いかけの言葉は、子どもの発達によって変えるべきです。
2歳児も5歳児も、「楽しかった人。」と言われて、子どもが手を挙げる。それで先生が何かを言う。という振り返りで満足していませんか?
2歳や3歳なら、「楽しかった人。」でも十分です。
そう言われて、「ああ、自分は楽しかったんだな」と振り返ることになります。
遊んでいる途中に「楽しい」と思うことはあっても、1日が終わったときに、「今日は楽しかったな」と思うことは、ほとんど無いですよね。目の前のことしか見えていませんから。
「楽しかった人。」で手を挙げた後、「こんなことがあったよね」と、思い起こせるように、先生が話をすれば十分です。
4歳児だと、「楽しかった人。」の続きがほしいところです。
あくまでも目安ですが・・・
まずは「何が楽しかったのか」。
そして「どう楽しかったのか」。
5歳児だと、思い出すだけではなく、考えることもしていきたいところです。
これも、あくまでも目安ですが、「どう楽しかったのか」の続きで・・・
「次にどうしたいのか」
「そのためには何が必要か」
などです。
だから、
その日限りの活動ではなくて、次の日にも、さらにその次の日にも続いていく遊びや活動が必要です。
そして、
みんなで1つのことに向かっていれば、子どもが自分に必要なことだと判断すれば、互いの話を聞くようになります。
「話を聞く気持ちを作る」とか「姿勢をよくする」とか「話をしている友だちのことを考える」なども必要かもしれませんが、「子どもが話を聞きたくなる」ということにも目を向けて保育をしてみましょう。
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場面によって「問いかけ」の言葉を変える
自らを振り返ることは、1日の終わりや活動の後だけではありませんね。
保育指針解説では、「道徳性・規範意識の芽生え」で、振り返りについての記述があります。
「したらいけないことだったかな」
「喜んでもらえたな」
「◯◯ちゃんが、こんな顔してるけど、言い方どうだったかな」
というのが、自らの言動を振り返ることですね。
じゃあ、
「今の言い方は、どうだったかな。」
「◯◯ちゃんの顔見て、どう思う?」
などと問いかければいいですよね。
遊びの場面だと、
「何したい?」
「どれがいいと思う?」
「これからどうする?」
「なんでこうなったかな?」
「◯◯君はどう思う?」
などが考えられます。
振り返りは、1日や活動の終わりばかりではないですよね。
普段の遊びや生活の中で、場面によって、問いかけ方を変えていきましょう。
もちろん、発達のことも考えつつですよ。
まとめ
年齢が低い子どもは、振り返ること自体ありません。
振り返ることができるようになるのは、ある程度の発達をしてからです。
ということは、2歳児と5歳児が、同じ問いかけではおかしいですよね。
発達によって、問いかけの言葉を変えていきましょう。
そして、振り返る場面は1日の終わりや活動の終わりのときばかりではありません。
場面により、その都度振り返ることができるように、子どもに問いかけていきましょう。
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保育塾代表
2人の娘の父親
公立幼稚園・幼保園・大学の附属幼稚園で勤務経験あり。
ラッパ吹き。小学生を中心に、20年以上いろんなバンドを指導しています。保育士・幼稚園教諭のみなさんが、ほんの少しだけ余裕をもって仕事ができたら、プラスの循環が生まれます。
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