「教育」と「発達段階」を考えるなら保育現場では絵を描く経験を今より減らしても良いのではという話

単刀直入に言うと、保育現場では子どもに絵を描かせ過ぎです。もちろん、子どもが描きたくて描くのはOK。ただ、教育的なことと発達段階を考えてみると、保育現場での「描かせる」「教える」は多すぎます。保育指針解説には「絵」という文字が93回登場しますが、そのうち90回は絵本について書いてあります。「絵を描く」って、保育のほんの一部分なんですよ。絵を描くこととはちょっと違う方向にも目を向けてみましょう。

子どもの絵の発達段階は?

①擦画期(1~2歳)
色や跡がつくことを楽しんで、ぎこちない線や点を描く。

②錯画期(1歳半~3歳)
意思をもってしっかりした線を描く。そのうち丸い形も描くようになる。

③象徴期(3~4歳)
形を描いた後で「これは石」「これはママ」などと言う。三角や四角も描く。

④カタログ期(3~5歳)
見て何かだいたい分かる絵を描く。関係性のないものが複数並べて描かれる。

⑤図式前期(5~6歳)
上下左右ができ、複数のものを描くときはそれぞれに関連性がある。大小のバランスを取って描こうとする。それらしい色を使おうとする。

⑥図式後期(7歳以上)
立体的に、見たままを描けるようになってくる。

発達を考えると、「髪は黒」「顔はうすだいだい(昔で言うと肌色)」は年長くらいになってからです。でも、髪や顔を決まった色で描かせてしまう人はいるんですよね。また、「よく見て描きましょう」は7歳以上です。小学校に入ってからですね。

1年生が画用紙に絵を描くのは4回ほど

では、7歳以上になった小学生は、学校でどれくらい絵を描くか知っていますか?日本文教出版から出ている図工の教科書(1・2年生の上巻)を見てみると、22個ある活動のうち「絵に表す活動」は7個です。3分の1ほどですね。さらに、その中で画用紙にパスや絵の具で絵を描くのは次の4つだけです。

  • どんどんかくのはたのしいな
  • せんせいあのね
  • みてみておはなし
  • のってみたいないきたいな

じゃあ、後は何をしているかというと、造形遊びや立体、工作なんですよ。鑑賞も1つだけあります。作った物に絵を描くことはありますが、「授業で画用紙に絵を描く」ということは、おそらく想像されていたよりも少ないのではないでしょうか。そして、この時点でもまだ写実はやらないんですよね。

立体の製作や工作が得意な子ども

さて、この記事の冒頭で「 絵を描くこととはちょっと違う方向にも目を向けてみましょう。 」とお伝えしました。違う方向というのは、立体の製作や工作、粘土、積み木など、絵以外の創造的な活動や遊びです。

いつも走りまわっている子どももいれば、静かに遊ぶことが多い子どももいますよね。子どもによって好きなことが違うのと同様に、得意なこともいろいろです。絵が得意でも立体は苦手だったりもします。同じ立体でも得手不得手があって、いろいろと材料を組み合わせて立体的なものを作るのが苦手でも、粘土を使ったらすごいものを作り上げる子どももいるんですよね。

改めて提案します。「この子、絵が上手く描けないな…」という子どもの得意なことを見つけてみませんか?ちょっと違う方向にも目を向けてみましょう。立体的なものを作ると、とんでもない才能が目覚めるかもしれませんよ。もちろん、子どもが描きたくて絵を描くのであれば、いくらでも描いてもらいたいです。

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ABOUTこの記事をかいた人

管理人のUCHI(うち)といいます。 公立幼稚園、幼保園、大学の附属で働いていた元幼稚園教諭。 現在、島根保育塾代表。仕事を効率化するだけなら簡単です。しかし、保育の質を落とさず(むしろ上げながら)効率化することは、現場を経験した人間でないと、なかなか上手くできません。「保育の質を上げる」「労働時間の短縮」これを両立させるための記事を書いていきます。あなたの園に合わせた方法を知りたい人は、お問い合わせくださいね。