新しい壁面を考えるのに苦労しているみなさん。
毎年のように壁面を使い回しているみなさん。
壁面を工夫して、友達への親しみや興味が増すようにしてみませんか?
この記事では、心理学的な根拠も添えて、友達への親しみや興味が増す壁面を紹介しています。
このようなことを考えたことの無い人にとっては、少し難しく思えるかもしれません。
でも、大人が壁面を作ることに比べると、むしろ短時間で作ることができるものもたくさんありますよ。
友達への親しみや興味が増す壁面の基本
相手のことを知るほど親しみや興味が増す
まずは、
「何をすれば友達への親しみや興味が増すのか」を考えてみましょう。
お誕生日会で、「好きな食べ物」や「大人になったら何になりたいか」など、誕生児にインタビューをすることがあります。
友達のことを、もっと知って、好きになってほしいから、誕生会でインタビューをしますよね。
小学生の頃、プロフィールを書いた紙を交換して、手帳にしていた年代の人はいませんか?
「プロフィール帳」「サイン帳」と呼ばれるものです。
詳しく書いてもらうと嬉しいし、「書いてね。」って紙を渡されるのも嬉しいですよね。
私はすでに大人だったので、推測ですが・・・。
とにかく、子ども達はみんな、すごく嬉しそうに、プロフィール帳でやりとりをしていました。
ということで、友達への興味や関心が増す、1つ目の方法は、
「友達の好きなものを知ることができる壁面にする」です。
具体的にどのような壁面にするかは、後から詳しく書きますね。
会う回数が多いほど、親しみを覚える
先程は、「相手のことを知るほど親しみや興味が増す」という話をしました。
さらに、プロフィールなど、詳しいことを知らなくても、「見ているだけで好意が増す」ということもあります。
これは、心理学で「単純接触効果」「ザイアンスの法則」と呼ばれるものです。
ものすごく簡単に言うと、人は誰かと会う回数が多いほど、その人に親しみを覚えるということになります。
直接に会わなくても、写真を何回も見ると、見た回数分だけ好意が増したという実験もあります。
ということで、友達への興味や関心が増す、2つ目の方法は、
「クラスの友達を何回も見ることができる壁面にする」です。
それでは、
- 友達の好きなものを知ることができる壁面にする
- クラスの友達を何回も見ることができる壁面にする
この2つを取り入れたときに、具体的にどのような壁面になるか、考えてみましょう。
友達の好きなものを知ることができる壁面
誕生日の壁面をアレンジする
誕生日の壁面を眺めて、自分の誕生日をとても楽しみにしている子どもがいますよね。
友達の誕生日をチェックして、誕生日の当日に、友達に声をかけている子どももいます。
誕生日の壁面は、友達への親しみや興味が増す、とても大切なものです。
個人情報を公開することになるので、誕生日の壁面を作っていないところもあります。
でも、誕生会はしていますよね。
それなら、外部の人は見ることができない壁面にすれば良いです。
- 誕生日の壁面ごと、取り外し可能にする
- 壁面の周りに飾り付けたカーテンで隠せるようにする
- ポケットをつけて、中身を取り出すと見ることができるようにする
- 裏返すと見ることができるようにする
などの工夫をすれば、子ども達だけが見ることのできる壁面になります。
誕生日の壁面に、子どもの写真を載せることが可能であれば、しばらくしてから撮り直しをしてみましょう。
壁面を作った4月には、まだ表情が硬いはずです。
さらに、次のようなアレンジをして、誕生日の壁面を変化させていきましょう。
- 子どもの好きなポーズで写真を撮る
- 好きな食べ物や乗り物を貼る
- 子どもの好きな色を背景にする
- その他、子どもが「知りたい」と言ったことを増やしていく
これらを、全部手作りしてしまうと大変です。
好きな食べ物や乗り物は、写真を貼ってしまいましょう。
背景の模様などは、子どもが描いても良いですよね。
一部でも自分が作ると、さらに興味をもって見るようになります。
子どもの好きなものを壁面にする
誕生日の壁面を使わなくても、子どもの好きなものを、そのまま壁面にしてしまいましょう。
「みかん すきなの だーれだ?」
「でんしゃ すきなの だーれだ?」
などと書いて、ミカンや電車を貼ります。
裏返すと、誰が好きなものか、分かるようにしておきます。
写真を貼るか、子どものマークをつけておきましょう。
ミカンを好きな子どもが5~6人いても、別のミカンを作る必要はないですよね。
1つのミカンに5~6人分のマークをつけると、それだけで、自分と同じようにミカンが好きな友達への親しみが増します。
当番活動でグループを作る前段階としても使える壁面です。
他にも
- 開くと答えが分かるようにする
- めくると分かるようにする
- 取り出すと分かるようにする
など、動きがあると楽しいです。
ただ貼ってあるだけだと、何のことか分からないので、クイズにすると楽しいですよ。
年長くらいになると、
「これは誰でしょう。」
「ヒント1 水色が好き。」
「ヒント2 トマトが好き。」
「ヒント3 泥団子作りのプロ。」
などと、壁面なしでもクイズにできます。
欠席した子どもを知らせるときに使えますよ。
クラスの友達を何回も見ることができる壁面
さあ、次は「クラスの友達を何回も見ることができる壁面」です。
人は誰かと会う回数が多いほど、その人に親しみを覚えます。
「直接に会わなくても、写真を何回も見ると、見た回数分だけ好意が増した」というのと同じことを壁面でやりましょう。
写真を飾るか、子どもが作った人形、その他の子どもの作品、子どものマークを壁面にします。
壁面の中で子ども達を仲良くする
壁面の世界の中で、子ども同士を仲良くしてみましょう。
現実の世界でも本当に仲良くなっていきます。
「2人は本当に仲が良いよね。」と言われると、さらに仲良くなるのと同じことです。
壁面の中では、人形を並べるときには、なるべくくっつけたり手をつながせたりしましょう。
「壁面のスペースが広いから」という理由で、人形を分散させない方が良いです。
人形が離れるほど、子ども達の心も離れていきます。
反対に、遊びの場面を壁面にするのであれば、ある程度、離れているのは当然です。
リレーをしている場面なのに、手をつないでいたとしたら不自然ですよね。
写真や人形は、子ども達の分身なんです。
並べ方に加えて、扱い方にも気を付けましょう。
画ビョウが刺してあったり手足が取れかけていたりすると、快く思わない人もいます。
それよりも、一生懸命作った自分の分身に、画ビョウを刺されると、子ども達が可愛そうです。
大きなものに子ども達を乗せる
船、恐竜、コイノボリ、虹など、壁面に大きなものを作って、子ども達を乗せてみましょう。
みんなで集まることが苦手な子どもがいたとしても、壁面の中では、みんなで一緒になることができます。
その子どもが、壁面の船を気に入ったとしたら、保育室の床にも、大きな船の絵を貼ってみましょう。
集まりたくなると思いませんか?
全員ですることを壁面にする
大縄跳び、お花見、パラバルーンなど、全員ですることを壁面にしてみましょう。
「運動会が終わったから、運動会の絵を描きましょう」というのと逆パターンがあっても良いですよね。
運動会のパラバルーンが楽し過ぎるから、待ちきれなくて大きな壁面にしてみました。
みたいな感じで、楽しみにしていることを製作してみてはいかがですか?
壁面を見て、運動会がさらに楽しみになります。
壁面の中では、自分の人形が友達とパラバルーンの楽しさを共有しています。
そして、壁面の中ではみんなが笑顔です。
そのような場面を、いつも見ていると、現実の世界でも「友達と一緒にいたい」と思うようになっていきます。
もちろん、ただ貼ってあるだけでは効果が薄いです。
「(壁面の中の)Aちゃん、すごい楽しそうだよね。」
「Bちゃんは、すごく笑ってるね。」
「本当だね。嬉しくなるよね。」
など、子どもと会話をしていきましょう。
それぞれの子どもが作ったものを並べる
風船につかまった子どもの人形や、ハートを持った子どもの人形など、それぞれの子どもが作ったものを並べてみましょう。
もっと言えば、子どもの作品であれば、人形や写真である必要はないです。
一生懸命に、楽しく作ったり描いたりしたものは、その時点で子どもの分身です。
自分の作品が、誰の隣に並ぶか、どんな風に飾られるかは、子どもにとって、とても楽しみなことです。
作品を並べるとしたら、オススメは色遊びです。
通常の絵だと、丁寧に描き込む子どもの絵と、つたない子どもの絵を、隣にするかどうか、迷いますよね。
上手下手で比べる人がいるから。
色遊びなら、普段の絵がどうなのかは関係ないです。
「○○ちゃんと☆☆君の色が似てる。」「○○ちゃんの描いたのが、ここに入ると、良い感じになったね。」などと言えます。
他にも、「美味しそう」「大人っぽい」「面白い」など、色遊びなら、いくらでも褒め言葉が出てきます。
さらに、子どものセンスで、どのように並べるかを決めると、もっと楽しくなります。
普段、絵が苦手だと思っている子どもでも、どのように並べるかは考えることができますよ。
絵を描くのが苦手なことと、配色のセンスとは別問題ですから。
色遊びには、いろんな題材があるのも魅力の1つです。
キノコ、カタツムリの殻、傘、てるてる坊主、七夕飾り、プレゼント、鯉のぼりのウロコ、アイスクリーム、キャンディーなど、既成の色にとらわれなければ、なんでも題材にできます。
みんなで楽しく、混ぜて、塗って、描いて、並べてみてください。
壁面で「かくれんぼ」をする
子ども達が「かくれんぼ」をしている壁面を作ってみましょう。
特に、幼稚園に入園してすぐの子ども達向けです。
かくれんぼの場面は、どんなものでもOKです。
園庭の遊具を作って貼り付けても良いし、桜の花びらやタンポポ、秋なら落ち葉を敷き詰めても良いです。
その中に、子どものマークのシールを、拡大コピーしたものを、少しだけ見えるように、背景に隠して配置します。
そうすると、誰がどこに隠れているかを楽しんで探すことができますよ。
隠れる場所を変えていくと、長い間楽しめます。
そのうち、「昨日○○ちゃんと遊んだから。」などと、友達のマークと自分のマークを隣にしたくなってきます。
子どもの遊びを壁面にする
子ども達がしている遊びを、そのまま壁面にしてみましょう。
忍者ごっこをしているなら、お城や手裏剣、修行の場面を作って、子どもの人形を忍者にします。
海賊ごっこなら、宝物を探している場面や海賊船などを作ることができますね。
「Aちゃんは修行ばっかりしてるよね」「あ、B君は手裏剣を作ってたんだ」と、友達の遊びを視覚的に知ることができますよ。
さらに、壁面の中で作ったものを、後から遊びに取り入れることもできますし、遊びが発展すると、壁面の方も作り変えたくなります。
「船は作ったけど、海賊の旗を作ってなかった。」「新しい島に行ったから、壁にも島をつけて。」みたいな感じです。
まとめ
人は、相手のことを知るほど、会う回数が多いほど、親しみを感じるようです。
そこで、友達への親しみや興味が増す壁面の工夫をしてみてはいかがでしょうか。
「友達の好きなものを知ることができる壁面」では、次の2つを紹介しました。
- 誕生日の壁面をアレンジする
- 子どもの好きなものを壁面にする
「クラスの友達を何回も見ることができる壁面」では、次の6つを紹介しました。
- 壁面の中で子ども達を仲良くする
- 大きなものに子ども達を乗せる
- 全員ですることを壁面にする
- それぞれの子どもが作ったものを並べる
- 壁面で「かくれんぼ」をする
- 子どもの遊びを壁面にする
これらをヒントに、壁面を作ってみてくださいね。
「友達への親しみや興味が増す壁面」は、壁面がもつ役割の1部分でしかありません。
【作るのがもっと楽しくなる】壁面製作のレパートリーを10倍に増やすアイディア集では、11個の役割から、壁面を考えています。
「季節の壁面」「素材で考える壁面」など、他の視点から壁面を考えたい人は、チェックしてみてください。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
「もっといろいろと知りたい」という方は、