【伝統?悪習?】保育現場に伝わる「変わらないこと」について原因をちょっと真面目に考える

手書きのお便り・運動会や発表会・地域との付き合い方・PTA・書類の様式・監査のあり方・お金の使い方・種々の手続き・人員配置…保育現場での「変わらない」はたくさんあります。細かく並べていたら今書いている部分が膨大な量になるところでした。さて、今回は「なぜ変わらないか」に目を向けていきます。なんとか変わってほしいですよね。

保育現場が変わらない理由はたぶんこれ

「園によって状況は違う」「この園長には何を言っても無駄」という状況はもちろんあるのでしょうが、それを言っていると絶対に変わらないので一旦置いておきますね。多くの現場にあてはまる「保育現場が変わらない大きな理由」は、

変えない方が楽

ということがあるんですよね。これだけを言うと、「やっぱり園長が楽をしているんだ」などという話になってしまうので、ちょっと違う話をします。次の2つについてお伝えしますね。

  • 変える権限がある人が存在しない
  • 変える権限がある人が気付いていない

ちゃんと関係があることなので、「?」が浮かんでいたとしても続けて読んでみてください。

永久に変わりそうにない美術展

某市では、市内の幼稚園、保育所から作品を持ち寄って美術展が開かれます。「今年のテーマはこれ」「あなたの園はスペースこれくらいです」「園から1人運営に関わること」みたいな感じで、相当な労力がかかる様子です。子どもの現状に関わらず、とにかく作品を提出しないといけないし、美術展なので各園の展示に見栄えも要求されます。運営に関わった人は、休日に係として労働しないといけません。それなのに、見に来る人の多くは、自分の子どもが作ったものくらいにしか興味がありません。

関わる多くの人が辛いのなら、やめてしまえば良いだろうと思いますが、そう簡単にはいきません。なぜなら、「現状を変える権限を持っている」という人が存在しないからです。「こんなに大変なことはやめてしまおう」と声をあげ、仲間を集めて根回しをし、数十園のほとんどに納得してもらい、「せーの」でやめることはできるかもしれません。その結果、市内にいる歴代の園長から何を言われるか分からないんですよね。自分は平気でも、どこかの園の誰かが大変な思いをすることになるかもしれないんです。

「大変だから変えてほしい」と思っている人がいたとしても、「変える方が大変」「変えない方がマシ」という状況だと、「変えよう」ということにはなりにくいです。「変える権限を持っている人がいない場合」はなおさらです。園長だからといって、無理なこと、変えられないことはたくさんあります。このような場合は、一気に変えるのではなく、様子を見ながら少しずつ変えていくなどを考える必要がありますね。

当事者が分からなくてもなんとかなる手続き

役所で農林関係の仕事をしていたTさん。ある日、助成金を申請する人が書く書類が難しいことに疑問をもちました。「なぜこんなに難しいのか」と上司に尋ねると、上司からは「おまえもすぐ分かるようになる」と返事が。Tさんは、「それはおかしいでしょう。申請する人が書く書類なのに、こっちだけ分かっててもダメでしょう。」というようにハッキリ言ったそうです。そのように言われて納得する上司も懐が深いですよね。

このように、変更する権限をもった人が問題に気付いていない場合もありますし、新しくどこかから来た人の方が、おかしな点に気付くことは多々あります。Tさんは、申請する人が分かりやすいように書類を作り替え、その様式は今でも使われているそうです。

このように、「変える権限がある人」が変える必要に気付いていない場合、思い切って声を挙げても良いですよね。Tさんのように、変える権限がある人の下、声を挙げた本人が変えることになるというのもよくある話です。「自分が変えるのは大変だから」と思ってしまうと変わらないので、なんとか頑張って変えたいところです。

案外簡単に状況を変えられることも

一方で、案外簡単に状況が変わることもあります。これは私の体験談なのですが、極小規模の幼稚園で、園長(小学校の校長が兼務)、主任、担任(3~5歳を1人で担任)が1度に異動になるという、とんでもない人事をされたことがあります。私は新しくその園に行った側です。小学校の教頭が幼稚園の教頭を兼務していたのですが、前年までほとんど関わっていなかったようで、何を聞いても「分からない」「知らない」ということばかりでした。誰も前年のことを知らないならと、前年までと同じことをするのはやめ、何もかもを新しく決めました。

多くのことを1からするのはとても大変でしたね…ということも特にありませんでした。前年までと同じようにするということは、何も考えずにできることではなく、これまでのことを思い出したり調べたりする労力がけっこう必要であることに気付きました。

このような、思いがけないできごとに合わせて、状況を大きく変えることができる場合があります。コロナ禍での行事も、大きく変わったことなのではないでしょうか。「何かに合わせて」思い切って変えてしまうことも必要かもしれませんね。

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保育塾代表
2人の娘の父親
公立幼稚園・幼保園・大学の附属幼稚園で勤務の後、保育塾を立ち上げる。
ラッパ吹き。小学生を中心に、20年以上いろんなバンドを指導しています。

保育士・幼稚園教諭のみなさんが、ほんの少しだけ余裕をもって仕事ができたら、プラスの循環が生まれます。

ほんの少しだけ余裕をもって仕事ができたら、ほんの少しだけ子どもが落ち着いて、そうするとまた、ほんの少しだけ余裕ができて、効率良く仕事ができる方法を調べたりして・・・

そんなプラスの循環の始めの一歩、小さな余裕を生み出すお手伝いをしています。あなたが読んだこの記事が、そんな始めの一歩になったら嬉しいです。

ABOUTこの記事をかいた人

管理人のUCHI(うち)といいます。 公立幼稚園、幼保園、大学の附属で働いていた元幼稚園教諭。 現在、島根保育塾代表。仕事を効率化するだけなら簡単です。しかし、保育の質を落とさず(むしろ上げながら)効率化することは、現場を経験した人間でないと、なかなか上手くできません。「保育の質を上げる」「労働時間の短縮」これを両立させるための記事を書いていきます。あなたの園に合わせた方法を知りたい人は、お問い合わせくださいね。