【100%完璧な人っている?】不適切保育についての考え方

「不適切保育」について、「そんなことまで言われたら保育できない」とか、「絶対にしたらいけないっていう園はあるの?」というような言葉が聞かれます。そんな風に葛藤しながら保育するのも大変だと思いますので、不適切保育をどのように受け取れば分かりやすいか、個人的な見解を述べますね。あくまでも、個人的な見解です。

「不適切保育」という言葉ででくくりすぎ問題

不適切保育という言葉を使うときに、まずハッキリさせておきたいのは、「それは不適切保育というか虐待でしょう」という状態のものも「不適切保育」と表現されることがあるということです。「一昔前は当然のように行われ、この時代だから取り上げられるようになった関わり方」について、「そこまでなかなかできないな」と言うAさんと、「昔だろうが今だろうが、そんなことしたら保育と呼んではいけないどころかハッキリ言って虐待」を思い浮かべて、「絶対ダメ」と言うBさんが議論してもすれ違いますよね。

今の時代だから出てきた「不適切保育」

では、虐待案件は分けて考えて「虐待」と扱うとして、今の時代だから言われるようになった「不適切保育」について、どのように捉えるかを考えてみます。改めてお伝えしますが、個人的な見解です。

安全に関わることは別問題

たとえば、「当園では、この言動はNGです」のような一覧を作ったとしましょう。「子どもに、『やってみたい』という思いがあることを、大人の都合で止めるのは不適切です。子どもの主体性を尊重しましょう」というような1文があったとしますね。

あったとしても、面白がって噛み付く場合や、怒ると手や足が出る場合は止めますよね。子どもの主体性を尊重することは、もちろん大事なんですが、他の子どもの安全に関わることなので、そちらを優先します。「それまでの積み重ねで、そもそも起きないようにする」も必要なんですが、その上で、起きたら止めるのは当然ですよね。

安全に関わることは別問題なんです。同様に、避難訓練のときも、子どもの意思に反する場合でも行う必要がありますよね。

不適切保育にも段階がある

この記事の始めの方で、「虐待は不適切保育と分けて考える」という話をしました。さらに、「不適切保育」についても、「絶対ダメ」というものと、「それって不適切保育かな」というものがあります。しかも、これは人によって受け取り方が違いますよね。「この場合はどうだろう」を一つ一つ検証するとキリがないので、1つだけ例をあげますね。先ほどの噛み付きの例が分かりやすいかと思います。

噛み付きや引っ掻きが起きる原因として、子どものストレスが溜まっているとか、言葉で伝えられる年齢ではないから手段として噛み付いているということがあります。「家庭にも協力してもらってストレスを感じないような環境を作る」「思い切り遊んで発散する」「物の取り合いから噛み付きが起きるなら、取り合わなくてもすむ環境を整える」などを完全に行えば、噛み付きは起こりません。…ということが本当だったとしても、100%はできませんよね。

「不適切保育」が表す範囲は本当に広くて、時として、「ベストでは無い」を不適切と言っている人もいるのではないかなと感じることがあります。

不適切保育をするかどうかの捉え方

「不適切保育をするかどうか」と言われると、「もちろんしてはいけない」ということになるのでしょうが、「そんなことまで不適切と言われると」という人と平行線なんですよね。そして、「不適切保育とは」を考えてもキリがありません。日々の保育がありますので、結論が出るのを待っているわけにもいきません。

そこで提案です。

不適切保育について考える時は、「歩行者用の信号も、赤か青かではなくて点滅がある」と同じようなものだと捉えてみてはどうでしょう。どちらかハッキリとは決めることができない、何段階もあるものを、青か赤かの2択にしようとすると無理があります。「渡ってよい」でも「絶対ダメ」でもない場面ってありますよね。「不適切かどうか」も大事ですが、その場面毎での自分にできる最良を判断できるようになることが大事かなと思います。

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保育塾代表
2人の娘の父親
公立幼稚園・幼保園・大学の附属幼稚園で勤務の後、保育塾を立ち上げる。
ラッパ吹き。小学生を中心に、20年以上いろんなバンドを指導しています。

保育士・幼稚園教諭のみなさんが、ほんの少しだけ余裕をもって仕事ができたら、プラスの循環が生まれます。

ほんの少しだけ余裕をもって仕事ができたら、ほんの少しだけ子どもが落ち着いて、そうするとまた、ほんの少しだけ余裕ができて、効率良く仕事ができる方法を調べたりして・・・

そんなプラスの循環の始めの一歩、小さな余裕を生み出すお手伝いをしています。あなたが読んだこの記事が、そんな始めの一歩になったら嬉しいです。

ABOUTこの記事をかいた人

管理人のUCHI(うち)といいます。 公立幼稚園、幼保園、大学の附属で働いていた元幼稚園教諭。 現在、島根保育塾代表。仕事を効率化するだけなら簡単です。しかし、保育の質を落とさず(むしろ上げながら)効率化することは、現場を経験した人間でないと、なかなか上手くできません。「保育の質を上げる」「労働時間の短縮」これを両立させるための記事を書いていきます。あなたの園に合わせた方法を知りたい人は、お問い合わせくださいね。