「個人の重点」って何?「ねらい」じゃないの?という方、例文を見てもピンとこない方、何について書くか思い浮かばなくて困っている方に、4つの質問をします。直感で思い付いたことをメモしましょう。文にするのは、それからです。では、さっそく質問しますよ。子どもを思い浮かべて質問に答えてくださいね。
「個人の重点」を思い付くための質問その1
「個人の重点」が思い浮かばなくて困っているAちゃんについて質問です。
「Aちゃんといえば?」
こう言われて、何か思い付いたことはありますか?1番最初に思い付いたということは、あなたは、そのことを気にかけているということです。それを「個人の重点」に書けばいいんです。
ただし、Aちゃんの行動や気持ちに目を向けて、「Aちゃんといえば」を思い出してください。「Aちゃんといえば、すごくイケメン」みたいな、見た目に関することを思い付いても、それは大事にしていることではありませんね。また、「Aちゃんといえば、いつも来るのが遅い」みたいな、本人だけの問題ではないことを思い付いても、どうしようもありません。
「Aちゃんといえば、いつも何か作ってる」ということを思い付いたのなら、「個人の重点」には、「集中して取り組む」とか、「存分に自分を表現する」とか「思いが実現するまで続ける」みたいなことを書けばいいんです。
「Aちゃんといえば、超マイペースでかわいい」ということを思い付いたら、「自分らしく◯◯する」「自分のペースで◯◯する」「納得いくまで◯◯する」などと書けばいいし、「Aちゃんといえば、思っていることを全部口に出す」だったら、「素直に言葉で表現する」とか「思いを伝えながら」などという言葉を使って書けばいいです。
「個人の重点」を思い付くための質問その2
1つ目の質問で「個人の重点」を思い付かなかった人のために、次の質問です。
「もうちょっとこうだったらいいのに・・・。ということは?」
Aちゃんに対して、「もうちょっとこうだったらいいのに・・・。」と思っていることはありませんか?「こうなってほしい」と思っているということは、あなたは、そのことを気にかけているということです。それを個人の重点に書けばいいんです。
「Aちゃんって、周りの人のことが頭から抜けてしまう時があるんだよね」「周りのことを気にかけるようになってほしい」と思っているなら、「友達の気持ちに目を向ける」とか「一緒に遊ぶ」「一緒に楽しむ」などと書けばいいですよね。
「ちょっとしゃべり過ぎだよね」と思っているなら、「落ち着いて◯◯する」とか「周りの様子を見ながら」など、「こうなってほしい」ということを書けばいいんです。
「個人の重点」を思い付くための質問その3
まだ思い付かない人のために、次の質問です。
「1番苦労したことは?」
Aちゃんの対応で1番苦労したことは、あなたが1番気にかけて大事にしてきたことのはずです。それを「個人の重点」に書きましょう。ただ、苦労したことでも、子どもに言ってもどうしようもないことは、「個人の重点」には書けません。「苦労したこと」「苦労していること」に対して、「こうなってほしい」という、理想の姿を書きます。
「ケンカばっかりしているからやめてほしい」ということではありませんよ。「◯◯をやめてほしい」というのは、子どもをただ否定しているだけです。「◯◯をやめてどうなってほしいか」を考えましょう。
ケンカの対応で苦労したのであれば、「友達と一緒に」とか「相手の気持ちに目を向けて」とか「思いを言葉で伝える」などと書きましょう。好き嫌いが多すぎるのなら、「少しずつ頑張る」「自分のペースで」「苦手なことにも」などという言葉が使えますよね。
カバンなどの準備が全然できなかったなら、「◯◯を身につける」とか「身近なルールを」とか「生活の流れ」などの言葉が出てきますし、「周りの様子を見ながら行動する」というようにも書けます。
絵を描かない、歌を歌わない、手遊びをしない、みんなの前で言葉が出ない、あいさつをしない、外に出ようとしない、汚れるのは絶対ダメ、靴下をはかない、運動しない・・・。
「なにかをさせよう」と思うと、苦労することはいくらでも出てきますよね。「個人の重点」書き放題です。
「個人の重点」を思い付くための質問その4
まだ思い付かない人のために、最後の質問です。
「ずっと変わらないでいてほしいことは?」
Aちゃんに対して「ずっと変わらないでいてほしい」と思うことは何でしょう?大事にしたいことだから、「ずっと変わらないでいてほしい」と思っているはずです。大事にしたいことなら、「個人の重点」に書きましょう。
「叱られても立ち直り早いんだよね。また同じ事してるけど(笑)。」なら「前向きに」「思うように行動する」「自分のペースで」などと書けますよね。「とんでもなく優しいよね。」だったら、「◯◯な気持ちで」とか「気持ちを言葉で表す」とか「友達に接する」などの言葉が思い浮かびます。
応用編
実は、ある視点をもつと4つの質問は順番に並べることができます。
- 「 ずっと変わらないでいてほしいことは?」
- 「Aちゃんといえば?」
- 「もうちょっとこうだったらいいのに・・・。ということは?」
- 「1番苦労したことは?」
子どもに対して、「変わらないでいてほしい」と思っている人は、上の質問ほど答えを思い付きやすいはず、「変わってほしい」と思っている人は、下の質問ほど答えを思い付きやすいはずです。
たとえば、質問その4「ずっと変わらないでいてほしいことは?」で、
「叱られても立ち直り早いんだよね。また同じ事してるけど(笑)。」という例を挙げました。しかし、同じ子どもを見ても、「叱られても全然こりないんだよね。また同じ事してるけど(怒)。」と感じる人もいます。 あなたの受け取り方1つで、大事にしたいところ、個人の重点は変わってきます。来年度、ちょっと違う視点からも、子どもを見てみましょう。
まずは、今年度のように要録に苦労しないために、
「発達を考えた遊び方」のカテゴリーや
子どもの姿・見取りのカテゴリー、
環境の構成、保育者の援助のカテゴリー
などをチェックして、好きな記事を読んでみましょう。
「個人の重点」については、他にこんな書き方もあります。
【指導要録・保育要録】1分で書ける「個人の重点」
「要録の書き方をもっと詳しく教えてよ」という人は、下の画像をクリックして、「保育塾ベーシック」についての詳しい内容を読んでみてください。
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