保育指導案の「保育者の援助」に、多くの人が「共感する」って書きますよね。でも、「共感する」について質問をすると、けっこうな人が困ってしまいます。というか、質問をすると嫌な顔をされます。
この記事では、普段は具体的に考えたことがない保育者の援助「共感する」について、具体的な場面を取り上げながら、深く考えています。「共感する」について考えるだけでも、保育が変わってきますよ。
今回の記事は、文章としては簡単に分かるように書いてありますが、相当レベル高いです。研修1つ分くらいの濃い内容になっています。
基本的なことが知りたい人は、コチラの記事も読んでみてください。
保育者の援助「共感する」についての質問
手元にある人は、月案や週案を取り出して見てください。「共感する」って書いてありますか?月案や週案に書いた「共感する」について考えてみましょう。
では、質問しますよ。
「共感する」って具体的に何をしますか?
なぜこんな質問をするかというと、月案や週案に「共感する」と書いてはいるけど、実際に何をするか考えてない人がいるからです。または、「共感する」と書きながら、実際にしていることは「共感する」ではないことが多いからです。
「共感する」で具体的にすることとは
保育案、保育指導案に、「共感する」と書いてあるとき、多くの人が実際にしていることは、次のようなことです。
「そうだよね」と同調する、同意する
たとえば、グループの名前を決めるときに、4対1になっても「絶対、ゼロワングループがいい!」と、1人で主張を続ける子どもに「そうだよね。B君は仮面ライダー大好きだもんね。」と言うのは「同調する」です。同調とは、誰かと調子を合わせること、意見に賛成することですデジタル大辞泉(小学館)。「同意する」も、賛成することです。
「そうだよね。B君は仮面ライダー大好きだもんね。」と言いながら、他の4人が言っている「 パンダグループ」を勧めるとしたら、それは同調や同意でもありません。賛成してないですから。でも、実際このようにする場面はありますよね。「B君が言っていることは分かったよ。でもね・・・」というときは「気持ちを受け止める」と言えます。
「受け止める」についての関連記事はコチラ
【辞書より詳しい】保育用語の意味・関係・違い・使い方(その1)
「そうなんだね」と確認する、感心する
次に何をして遊ぶかを決めるときや、遊びの仲間に入れてもらえないとき、「みんなが僕の言うことを聞いてくれない」と訴えてきたB君に「そうなんだね」と言うのは「確認する」です。
いろんな場で言っているのですが、「そうなんだね」という返事には、子どもは満足できないことが多いです。子どもは「そう」が何を指すのか理解できないことがあります。結果、「先生も話を聞いてくれてない」と思うかもしれません。
子どもが何かを発見したときなどに「感心する」という意味で、「そうなんだね」を使うことがあります。この場合の「そうなんだね」も、一言で終わりにするのではなくて、続けて何かを言えると良いですね。
「痛いね」「悲しいね」とオウム返しする、感情を言葉に表す
子どもがケガをして「痛い」と泣いているとき、「痛いね」と言うのは「オウム返しをする」です。言葉に出さずに、ただ泣いているときもありますよね。このとき「悲しいね」とか「悔しいよね」と言うのは「感情を言葉に表す」です。もちろん、共感した上でオウム返しをしたり感情を言葉に表したりしている人もいます。
言葉は無くとも同じ立場で同じことをしてみる
子どもと同じ立場で、同じ体勢で、同じ目線で、同じことをすると、共感できることがあります。こちらが子どもに共感できるだけではなく、子どももこちらに共感するんです。
ツイッターで分かりやすいツイートがあったので、引用させてほしいとお願いしました。コチラのツイートです↓
あまり年長さんと関わる機会は多くないけど、保育に入った時に自由遊びの時間だけど特に遊ぶでもなく床にゴロゴロしてる子がいて、ゴロゴロする時間も大事だけどなんとなくどういう気分なんだろうと思って隣で同じようにゴロゴロしてみた。そしたら結構遊んでくれるように。 https://t.co/5yumu7P0Za
— 仮 (@mgu97) December 16, 2019
「共感する」って、読んで字のごとく、共に感じることなんですよ。自由に遊べる時間にゴロゴロしてる子どもって、「誘っても、面白そうな物を見せても、気にはするけど動かない」ということ、ありませんか?
ツイート主の「仮さん」は、子どもと一緒にゴロゴロすることで、そのときの子どもの気分を共に感じています。結果、そのときを境に、子どもは「仮さん」と一緒に遊びたくなっているんです。
「共感する」で具体的に感じることとは
大人同士なら「共感する」ということは難しくないんですよ。
子どもに「共感する」って、普通の大人なら難しいです。
たとえば、砂場で遊んでいるとき
- スコップで砂を掘ること、そのものが楽しいですか?
- 砂場に溜めた水に浮かぶ泡をキレイだと思えますか?
- 砂に吸い込まれていく水を、不思議に感じていますか?
- 汚れることよりも濡れて気持ち良いことを優先できますか?
- ひたすら感触を楽しんで、いつまでも砂に触っていたいと思いますか?
なかなかできないことではないでしょうか。
大人ですから。
先程お伝えしたように、子どもと同じ立場で、同じ体勢で、同じ目線で、同じように遊んでみると、見え方が変わってきます。
まとめ
子どもに共感するのって、難しいです。大人と子どもの感覚は違いますから。
「そうだよね」と言うのは「同調する」「同意する」です。
「そうなんだね」は「確認する」「感心する」、
「痛いね」「悲しいね」などと言うのは「オウム返しする」や「感情を言葉に表す」と言えます。
共感するには、言葉は無くとも、子どもと同じ立場で、同じ体勢で、同じ目線で、同じようにしてみましょう。きっと、子どももあなたに共感するでしょう。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。「もっといろいろと知りたい」という方は、ホームページや、このサイトの記事が一覧になったサイトマップを、研修・ワークショップなどについて詳しくは「保育塾」の取り組みをご覧ください。
管理人うち(@uchi70794834|Twitter)
Follow @uchi70794834
保育塾代表
2人の娘の父親
公立幼稚園・幼保園・大学の附属幼稚園で勤務の後、保育塾を立ち上げる。
ラッパ吹き。小学生を中心に、20年以上いろんなバンドを指導しています。
保育士・幼稚園教諭のみなさんが、ほんの少しだけ余裕をもって仕事ができたら、プラスの循環が生まれます。
ほんの少しだけ余裕をもって仕事ができたら、ほんの少しだけ子どもが落ち着いて、そうするとまた、ほんの少しだけ余裕ができて、効率良く仕事ができる方法を調べたりして・・・
そんなプラスの循環の始めの一歩、小さな余裕を生み出すお手伝いをしています。あなたが読んだこの記事が、そんな始めの一歩になったら嬉しいです。