「友達」と「仲間」の違い、分かりますか?
「友達」と「仲間」は、はっきりと違うものです。
そして、保育の世界では、「友達」と「仲間」に対しての感覚が、一般社会とは少し違います。
この記事では、「友達」と「仲間」の違いを、はっきりと分かるように説明しています。
特に、保育の仕事に関わる人たちは、一般社会の人とすれ違わないよう、違いをしっかり分かっておいてくださいね。
辞書に載っている「友達」と「仲間」の違い
まずは、辞書に載っている意味を確認してみます。
とも-だち【友達】の意味
互いに心を許し合って、対等に交わっている人。一緒に遊んだりしゃべったりする親しい人。友人。朋友 (ほうゆう) 。友。「友達になる」「遊び友達」「飲み友達」
なか‐ま【仲間】の意味
1一緒に物事をする間柄。また、その人。「趣味を同じにする仲間に加わる」「飲み仲間」
2地位・職業などの同じ人々。「文士の仲間」
3同じ種類のもの。同類。「オオカミは犬の仲間だ」
4 近世、商工業者の同業組合。官許を得たものを株仲間といった。
「飲み友達」「飲み仲間」の両方があるのが面白いですね。
「友達」と「仲間」の違いを一言で表すと
辞書をちゃんと見てみると、なんとなく違いが分かりますね。
一言で「友達」と「仲間」の違いを表すと
心でつながっている→「友達」
目的や所属するところでつながっている→「仲間」
です。
なぜ保育の世界は一般社会と「友達」「仲間」の感覚が違うのか
ここまで読んで、
「で、『保育の世界は感覚が違う』って言ってるけど、そうなの?そんなことないでしょ。」
と思っている人もいることでしょう。
でも、保育の世界では、「友達」「仲間」の感覚が、一般社会での感覚とは違うんです。
まずは、子どもが小さいとき、「友達」という言葉の使い方が一般社会とは違います。
飲食店などで、自分の子どもと同じくらいの小さな子どもを見かけたら、みなさん、何と言ってますか?
「ほら、お友達だよ~。」って言うことがありますね。
公園の砂場で、よその子どもの道具を使おうとしたときは、「それは、お友達のだからね。」などと言いますよね。
友達って、一般的には、心を許している、親しい人のことを言います。
飲食店や公園で、たまたま出会った小さな子どもは、本当は「友達」ではないですよね。
どちらかというと、同じ「小さな子ども」ということで、「仲間」です。
でも、「ほら、仲間だよ~。」と言うのも不自然ですよね。
「お友達だよ~。」のほうが自然です。
もう一つは、いつ「仲間」になるかが違います。
一般的には、職場や趣味のサークルが同じだったら、その時点で「仲間」です。
でも、保育の世界では、先程の「ほら、お友達だよ~。」と同じで、一緒のクラスだと「クラスの友達」になります。
主に「仲間」が使われるのは、ただ所属するところが同じ場合ではなくて、同じ目的をもっている場合です。
たとえば、「運動会のリレーで同じチームになった仲間」とか「宝物を探して、一緒に何日も園庭を掘り続けている仲間」などです。
子どもにとっての「友達」と「仲間」
子どもにとっての「友達」
実は、「クラスの友達」という感覚をもっている子どもは、それほど多くありません。
うちの子(当時2歳児)「お友達はお姉ちゃん。お母ちゃんとお父ちゃんは、お友達。」
2歳児だとこんな感覚です。
うちの子(当時4歳児)「友達は、りんちゃんと、きょうちゃんだけ。」
クラスの友達ではなくて、親同士が友達で、家に遊びに行ったことのある子どもの名前が出てきました。
4歳児だと、「友達」の意味をなんとなく分かっています。
クラスの友達とは、いつも数人で遊んでいましたが、家に行ったことがないので、「友達」という感覚ではなかったようです。
「うちの子、『友達がいない』って言うんです。」などと、心配している人はいませんか?
「家に行ったことがないと友達ではない」と思っている子どももいます。
一般的な意味での「親友」を「友達」と思っている子どももいます。
そうなると、小さいうちは友達がいない場合もありますよね。
さらに、同じ遊びをしていても、会話をしていても、遊びのスタートに「一緒に遊ぼう。」や「入れて。」「いいよ。」が無いと、「一緒に遊んだ」と思わない子どももいます。
反対に、「一緒に遊ぼう。」や「入れて。」「いいよ。」で遊びが始まっても、別々に遊んでいることもあり、それでも、「一緒に遊んだ」と思っていることがあります。
もっと言うと、誰とも一緒に遊んでいないように見えても、頭の中で想像して、「みんなで遊んだよ」というような場合もあるんです。
「友達」という言葉の受け取り方は、子どもによって違います。
ということは、「お友達には優しくしましょう。」って言っても、子どもには思うように伝わらないことがあります。
大人としては、「クラスのみんな」とか、「周りの子ども達」というつもりでも、「じゃあ、A君とB君とC君の3人には優しくしよう」と、限定的に受け取られるかもしれません。
「お友達」ではなくて、「〇〇組のみんな」などと、具体的な言葉で言うと、伝わりやすいです。
「優しく」も抽象的な言葉ですよね。
優しくしようと思って、可愛がっているカエルを、よく見えるように、いきなり顔の前に出してくる子どもがいるかもしれませんよ。
子どもにとっての「仲間」
上で例をあげたように、リレーのチームが同じになったときや、遊びの中で同じ苦労をしたときなどに「仲間」と言うことはあります。
年長くらいにならないと出てこない言葉です。
保育する側も、意識して「仲間」と言うのは、年中や年長になってからですよね。
同じ目的をもっているのが「仲間」なので、子どもが小さいうちは、あまり使わない言葉です。
じゃあ、小学生くらいでは、どうでしょうか。
小学生の子どもに「さっきの子、友達?」などと聞くと、「違う。友達じゃなくて、ただ同じクラスの人。」という答えが返ってくることがあります。
中学生や高校生も、同じように言いますね。
「同クラ」とか。
「クラスの仲間」と思っているのは、学校の先生だけかもしれません。
学校の先生みんなに聞いたことはありませんが、私の周りの学校の先生だと、最初は「クラスの仲間」という感覚だそうです。
最初が「クラスの仲間」で、仲が良くなってくると「友達」になるということでした。
中学校の先生も同じ感覚です。
同じクラスの場合は、「一緒に勉強をする間柄」で「所属が同じ」なので、一般的な意味の「仲間」です。
人によって、とらえ方が違うと思いますので、みなさんも小学校や中学校の先生に聞いてみてください。
結果を「お問い合わせ」から、お知らせ頂けると、ありがたいです。
まとめ
「友達」と「仲間」の、一般的な意味を一言で表すと、
心でつながっている→「友達」
目的や所属するところでつながっている→「仲間」
です。
小さい子の場合は、「お友達だよ~。」などと、初めて会った子どもも、みんな「友達」と表現されます。
幼稚園や保育所に通うくらいの子ども達だと、年齢、個人によって、「友達」のとらえ方は様々です。
単に「友達」と言っても、抽象的なので、真意が伝わらないことがあります。
「〇〇組のみんな」や個人名など、はっきりと分かる具体的な言葉を使った方が無難です。
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