子どもに与えるスモールステップはノンステップを選択できる場面がもっと多くなって良いのではという話

子どもを育てていると「こんな風に育ってほしい」「こういう経験をしてほしい」と思うことってたくさんありますよね。その際、ちょっと気をつけたいことがあります。それは、「与え方が適切なのか」ということです。よく、スモールステップという言葉が使われますが、今回の記事では「ノンステップだともっと良いなあ」と感じてもらえるように提案をします。

そのスモールステップは乗り越えられる高さなのか

「頑張る経験」「自分で乗り越える力」というのは確かに必要です。全てが平坦な道になってしまうと、乗り越える経験ができません。ですが、「どう頑張っても乗り越えられない高さではないのか」ということは考えなければなりません。大人が思う「スモールステップを与える」は、本当に乗り越えることができるステップになっているでしょうか。

多くの場合、赤ちゃんは「ハイハイ、つかまり立ち、つたい歩き、よちよち歩き、一人歩き…」というように成長します。もちろん、そのような段階で80㎝ほどの壁を越えることはできません。このように、明らかに分かることは「頑張って壁を越えてほしい」とは思いませんよね。他の場面はどうでしょう?「こぼさず食べてほしい」「早くハシを持てるようになってほしい」など、小さいうちから無理していませんか?

気にしなくてもできるようになることはある

小さいうちに焦らなくても、大きくなったら自然にできることがあります。これも目に見える形で考えてみましょう。

赤ちゃんの時に越えることができない80㎝ほどの壁は、大きくなったら簡単に越えることができます。ですので、赤ちゃんの時に無理して壁にぶら下がらせるようなことはしませんよね。3~4歳だとどうでしょう?「なんとか越えてほしい」と、手を替え品を替え、何度も提示することがあるかもしれません。

たとえば、「時計を読む」ということを考えてみましょう。知育の本では幼児に時計を読ませるようなものもありますが、基本的な時計の読み方は小学校1年生で学びます。ところが、そこで終わりではなくて、2年生以降でも時計は取り上げられます。時間の感覚は難しいので、これくらいの年齢にならないと実感として分かりづらいんですよね。こどもちゃれんじを扱っているベネッセのサイトでも似たようなことが書いてあります。
小学生の保護者必見! 算数の「時刻と時間」ではここにつまずきやすい【前編】

実感として分からない時計のことを小さいうちに学ぼうとすると、ものすごい時間と労力が必要です。それよりは、小さいときにするべきことをしっかりやって、分かるようになった年齢で学ぶ方が良いと思いませんか?その方がよりたくさんの経験をすることができます。

「ちょっとだけ頑張る」がスモールステップ

では、具体的にどんなことに気をつけていけば良いのでしょう。

ポイントは「ちょっとだけ頑張る」です。

スモールステップを考える時に、大人がどんなに頭を悩ませて準備をしても適切でない場合があります。それよりは、子どもの姿を見ましょう。ちょっとだけ頑張ってできるようになるのは、子どもにとって楽しいものです。楽しく乗り越えることができているのであれば、それは調度良いスモールステップです。ちょっと頑張っても乗り越えることができないならば、段差を小さくするか、手を貸すか、他の何かをするか、とにかく手助けが必要です。もちろん、手を貸してできたからといって、「この前できたんだから次は1人でやりなさい」などと都合良くはいきません。

才能があるのに越えられない場合

現在、市販されている車で1番速いものは、最高時速420㎞だそうです。ものすごい性能ですが、車なので15㎝ほどの段差でも登ることはできません。子どもも似たような状況があると思いませんか?すごい能力があって、ちょっとだけ回り道をすれば、あっという間に目的地にたどり着くことができるかもしれないのに、15㎝ほどの段差に何度もぶつかって、傷だらけになっているかもしれないんです。大人がすべきことは、ひたすら頑張らせることではなく、子どもの能力が発揮できるノンステップの回り道を用意することではないでしょうか。

もしあなたが保育関係者なら、「保育塾ベーシック」についての詳しい内容を読んでみてください。「子どもを見取る」「記録する」「援助する」「指導案を書く」「要録を書く」ということについて、3日に1度、10分ほどのプチ研修がメールで届きます。

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管理人うち
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保育塾代表
2人の娘の父親
公立幼稚園・幼保園・大学の附属幼稚園で勤務経験あり。
ラッパ吹き。小学生を中心に、20年以上いろんなバンドを指導しています。

保育士・幼稚園教諭のみなさんが、ほんの少しだけ余裕をもって仕事ができたら、プラスの循環が生まれます。

ほんの少しだけ余裕をもって仕事ができたら、ほんの少しだけ子どもが落ち着いて、そうするとまた、ほんの少しだけ余裕ができて、効率良く仕事ができる方法を調べたりして・・・

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ABOUTこの記事をかいた人

管理人のUCHI(うち)といいます。 公立幼稚園、幼保園、大学の附属で働いていた元幼稚園教諭。 現在、島根保育塾代表。仕事を効率化するだけなら簡単です。しかし、保育の質を落とさず(むしろ上げながら)効率化することは、現場を経験した人間でないと、なかなか上手くできません。「保育の質を上げる」「労働時間の短縮」これを両立させるための記事を書いていきます。あなたの園に合わせた方法を知りたい人は、お問い合わせくださいね。