保育士は誰にでもできる仕事でしょうか。
答えは「No」です。
保育士の資格を取って、保育の現場で働くことは、簡単にできます。
「A君が砂場の砂をまき散らして、周りの子どもにかかったので注意をする」
これは、誰にだってできることです。保育士である必要は、全くありません。保護者にもできます。
「保育士の仕事」は簡単にはできません。
頭で分かっていても、真似できないんです。
そして、「保育士の仕事」が想像できないから、「誰にでもできる」という話になるんです。
今回は、「保育士の仕事」がどのようなものなのか、砂場でのトラブルを事例にお伝えしますね。
砂場でのトラブルを否定的に見ると
「子どもの姿を否定的に見る」って簡単なんです。
「砂かけたら、遊んでもらえなくなるよ」 「走っちゃダメ!危ない!」「お友達の道具をとったらダメよ」「服が汚れるでしょ!」
これらは、誰にでも言えることです。
「子どもの自主性を尊重して」なんて言葉で、見て見ぬ振りをする人もいるかもしれません。
それも、誰にでもできることです。
「保育士の仕事」は、これらとは違います。
砂場でのトラブルを肯定的に見ると
「保育士の仕事」をするときは、砂場でのトラブルを肯定的に見ます。保育の仕事に携わってない人は、「?」が浮かんだかもしれません。でも、これが「保育士の仕事」なんです。
たとえば、A君が、一緒に遊んでいる友達に砂をかけた場合、「砂をかけるのはダメ」「気をつけなさい」と言うのは簡単です。誰にだって簡単に言えることです。
「保育士の仕事」としては、別の視点を持って見る必要があります。「砂をかけた」ではなくて、「砂がかかった」と考えると、いろいろなことが思い浮かびます。
- 砂をまき散らすくらい、遊びを楽しんでいる
- 砂が飛び散ってしまうくらい、ダイナミックに遊んでいる
- 誰かに砂がかかったのにも気づかないくらい、遊びに集中している
砂がかかった方の子どもを中心に見ると、
- 砂がかかっているのに気づかないくらい、遊びに集中している
- 砂をかけられても怒らない、広い心をもっている
- 気持ちをコントロールして冷静でいられる、我慢できる
「保育士の仕事」の続きをすると
ただ単に、見方を変えるだけではなくて、さらに続きもありますよ。肯定的に見た後、「保育士の仕事」を続けると
- A君が周りの状況を見ながら遊べるかどうか、発達を考える
- A君が周りの状況を見ながら遊べるように声をかける
- 砂がかかった側の子どもたちに対して、自分達がA君に声をかけるように働きかける
- 肯定的な面に着目して褒める
- 子ども同士で解決できるように導く
- 他の子ども達もA君と同じくらい楽しく集中して遊べるように環境を整える
まだまだありますけど、これくらいにしておきます。
これらをどの順番で、どのようにするか、たとえば、「働きかける」の中身は「促す」なのか「示唆する」なのか「ヒントを与える」なのか。それをどの言葉で、どのタイミングで、どのように伝えるのか。判断することはたくさんあります。
これ「保育士の仕事」です。
「保育士の仕事」のさらに続きをすると
「何回注意しても直んないよね」と言うだけなら、誰にだってできます。これは仕事ではありません。
「保育士の仕事」をさらに続けると、こんなことをしています。
- 他の子ども達が、A君と同じくらい楽しく集中して遊べるように、さらに環境を整える
- A君の行動について分析する
- 必要があれば職員間で共有し、場合によっては支援の会議などを開く
- 遊び全体で何が育っているのか、どのような働きかけが有効であるかを分析する
- 次回(次の日や次の週)、何を大事にしてどのような視点で保育をするのか、計画を立てる
こういうことをしているから、「保育士の仕事」ができます。もちろん、全部を満足にできるようになるまでは何年もかかります。
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まとめ
「保育士の仕事」って難しいんですよ。
何が難しいって、時間をかければできるんですけど、園によってはこれらをするような時間が全然無いんです。
だから、保育士のみなさんが少しでも余裕をもって働けるように、このサイトを運営しています。
子どもの姿を肯定的に見るということに関しては、コチラの記事もご覧下さい。↓
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保育塾代表
2人の娘の父親
公立幼稚園・幼保園・大学の附属幼稚園で勤務の後、保育塾を立ち上げる。
ラッパ吹き。小学生を中心に、20年以上いろんなバンドを指導しています。
保育士・幼稚園教諭のみなさんが、ほんの少しだけ余裕をもって仕事ができたら、プラスの循環が生まれます。
ほんの少しだけ余裕をもって仕事ができたら、ほんの少しだけ子どもが落ち着いて、そうするとまた、ほんの少しだけ余裕ができて、効率良く仕事ができる方法を調べたりして・・・
そんなプラスの循環の始めの一歩、小さな余裕を生み出すお手伝いをしています。あなたが読んだこの記事が、そんな始めの一歩になったら嬉しいです。