「残業はしたくない」「できる限り決められた時間内に仕事をする必要がある」という点では、保育の世界もビジネスの世界も同じです。そこで、今回はビジネスの世界で取り上げられることが多いパレートの法則(80:20の法則)について、「保育の働き方に取り入れると具体的にどうなるか」ということを考えていきます。
パレートの法則とは
聞いたことがあるかもしれませんが、改めて「パレートの法則」が何なのかを引用しますね。
パレートの法則(パレートのほうそく)は、イタリアの経済学者ヴィルフレド・パレートが発見した冪乗則。経済において、全体の数値の大部分は、全体を構成するうちの一部の要素が生み出しているとした。80:20の法則、ばらつきの法則とも呼ばれる。
引用元:ウィキペディア
パレートの法則は「働きアリの法則」とも呼ばれます。働きアリのうち、熱心に働いているのは2割、そこそこ働くけどサボってもいるのが6割、何もしないのが2割いるらしいんですよね。かといって、働かない2割のアリを取り除くと、それまで働いていたはずのアリ達のうち2割が働かなくなるそうです。
この法則、なぜビジネスの世界で取り上げられることが多いかというと、パレートさんが経済において見つけ出した法則だからです。売り上げや成果のいろいろなことに、この法則が当てはまります。
- 売り上げの8割は2割の顧客からもたらされている
- 売り上げの8割は2割の従業員が上げている
- 上位2割を改善すれば8割の効果がある
- 費やした時間の2割で8割の成果を生み出している
というようなことが起こるらしいです。保育者にとっては売り上げは関係ありませんから、今回は「仕事の成果と費やす時間」について考えてみましょう。
保育の働き方でパレートの法則を取り入れることができそうなこととは
まず、考えておきたいのは「100点をとるのはとても難しい」ということです。どんなに得意な教科でも、高校生にもなれば100点ってそう簡単にとれるものではありません。仕事でも同じことです。なにか1つのことで100点を目指す労力があるのなら、同じ労力を使って、5つのことで80点を目指した方が良いです。では、保育の働き方でパレートの法則を取り入れることができそうなことをいくつか紹介しますね。
壁面
まずはよく話題になる壁面の作成です。近年は「持ち帰って遅くまでやってます」ではなくて、「子どもの作品を飾っています」という声も多く聞くようになったのではと思います。「持ち帰って遅くまで作る」というやり方で、はたして100の成果を上げることができていたのでしょうか…。ということがまず疑問ですよね。「子どもの作品を飾る」もしくは、「本物を飾る」などの2割ほどの労力で、80点のできになったら十分ですよね。
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ピアノ
ピアノも苦手な人にとっては時間がとてもかかるところです。楽譜通りに弾くことをやめてしまえば費やす時間は大幅に減ります。そもそも、ピアノを弾かなくても大した問題ではありません。CDなどに伴奏をしてもらいましょう。ピアノを練習して月に3曲を歌うよりも、ピアノ無しで手遊びやわらべ歌がたくさん出てきた方が良いくらいです。「ピアノが苦手で、必死に練習したけど子どもの前では上手く弾けない」って、8割の労力で2割の効果くらいしかないのではと思えてしまいます。
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行事
行事のあり方も、見直すところがたくさんありますよね。作り物や練習に労力のほとんどを費やしていないでしょうか。子どもが楽しむことや子どもの育ちのために使う労力はどれくらいありますか?まずは、何にどれくらいの時間を使っているか、それが子どもの育ちにどれくらいつながっているかを考えてみましょう。ひょっとすると、8割の行事は今よりずっと簡単にできるかもしれませんよ。関連記事
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保育指導案
普段の保育指導案は、ハッキリ言うときちんとした言葉使いができていなくても文になっていなくても問題ありません。指導する側の人は、書いてあることが分からなかったら、聞いてしまえばそれで終わりで良いです。文章表現よりも「子どもをどう見て何をするか」が大事です。それも1度にはできるわけないので、1番大事なことだけをしっかりできるように伝えます。それが2割の労力のつもりでやりましょう。そのうち書けるようになります。
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保育塾代表
2人の娘の父親
公立幼稚園・幼保園・大学の附属幼稚園で勤務の後、保育塾を立ち上げる。
ラッパ吹き。小学生を中心に、20年以上いろんなバンドを指導しています。保育士・幼稚園教諭のみなさんが、ほんの少しだけ余裕をもって仕事ができたら、プラスの循環が生まれます。
ほんの少しだけ余裕をもって仕事ができたら、ほんの少しだけ子どもが落ち着いて、そうするとまた、ほんの少しだけ余裕ができて、効率良く仕事ができる方法を調べたりして・・・
そんなプラスの循環の始めの一歩、小さな余裕を生み出すお手伝いをしています。あなたが読んだこの記事が、そんな始めの一歩になったら嬉しいです。