保育でするような声のかけ方をすると子どもも大人も大きく変わっていくのではという話

保育で行う声のかけ方は、小さい子どもだけではなくて万人に通用する…というよりも、もっといろいろな場面で取り入れられてよいのでは?と常々思っています。今回の記事では、「保育で行う声のかけ方を高校生にしたらどうなったか」という話をお伝えします。ほんのちょっとした声かけで、姿が大きく変わった話です。

結果ではなく途中経過を褒められてテストの点が爆上がりした話

まずはテストの点の話です。数学がとても苦手である(と本人も周りの大人も思っていた)高校生を、結果ではなく、途中経過だけに目を向けて褒め続けてみたことがあります。まず、問題の解き直しをすることをやめました。解き直しをすると辛いからです。その代わりに3つのことをやりました。

  • 解き方を思い付いたかどうかの確認をする
  • 解き方を思い付いたことに点数が入っていたとしたら何点になったか伝える
  • 公式を覚えていたり計算間違いをしなかったりしたら何点取れていたかを伝える

話を聞き出してみると、この高校生は、公式を覚えていないことと計算間違いをすることでテストの点が取れていないようでした。そこで、「こうすれば解けるのではないか」と思い付いていたこと、つまり、途中経過を褒めることにしました。「5点の問題があったとき、解き方を思い付いたら2点、公式を覚えていたら1点、計算ができたら2点として採点してくれていたら、本当は40点くらい取れている」ということを伝えるようにしたんです。さらに、「もし公式を覚えていて、計算も間違えなかったら、80点くらいは取れたよ」ということも伝えました。

15点くらいの点数だとしても、「先生が点のつけ方を変えてくれたら40点くらいだし、ちょっとだけ頑張ったら80点くらいになるね」ということを続けていったところ、本当に80点以上は取るようになりました。もちろん、子どもによって得意なことや点数が取れない原因は違うので、ここで挙げた3つのことは誰にでも通用する方法ではありません。保育で行う「子どもの見取り+途中経過を褒める+意欲がもてるような声かけ」が上手くいったのではないかという話です。

「工夫したことで上手くいった」と分かる声をかけられ作業を集中してやり続けた話

高校生にある作業を手伝ってもらったときのことです。「袋に物を入れる」という単純な作業だったのですが、私と高校生の作業スピードは2~3倍ほど違いました。おそらく、その高校生は「なんでこんなにスピードが違うんだ」と思ったのではないでしょうか。私のやり方をチラチラ見て、途中から、袋と物の取り方を私と同じような取り方に変えました。

その姿を見ていた私は、「もう少し前まで50個詰めるのに15分くらいだったけど、さっきは12分くらいだったね」と声をかけました。「やり方を工夫して変えたら上手くいった」ということが分かるように、あえて時間を伝えたのです。すると、彼はさらに集中してスピードを上げ、先ほどと同じ量を10分ちょっとで袋に詰めるようになりました。

私がしたのは、作業スピードが違うという姿を見せたことと、「さっきは12分くらいだった」という事実を伝えたことだけです。「工夫してみよう」「頑張って」「集中して」などとは一切言っていませんが、彼はその後も集中して作業をし続けました。保育で行う「子どもの見取り+子どもが考えたことの有効性が分かる声かけ」が上手くいったのではないかという話です。

幼児に数字を挙げて声をかけるようなことは少ないので、分かりやすいよう高校生の例を出してみました。保育で行う援助は、幼児はもちろん、もっと大きな子どもや大人にも効果的だと思いませんか?

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保育塾代表
2人の娘の父親
公立幼稚園・幼保園・大学の附属幼稚園で勤務の後、保育塾を立ち上げる。
ラッパ吹き。小学生を中心に、20年以上いろんなバンドを指導しています。

保育士・幼稚園教諭のみなさんが、ほんの少しだけ余裕をもって仕事ができたら、プラスの循環が生まれます。

ほんの少しだけ余裕をもって仕事ができたら、ほんの少しだけ子どもが落ち着いて、そうするとまた、ほんの少しだけ余裕ができて、効率良く仕事ができる方法を調べたりして・・・

そんなプラスの循環の始めの一歩、小さな余裕を生み出すお手伝いをしています。あなたが読んだこの記事が、そんな始めの一歩になったら嬉しいです。

ABOUTこの記事をかいた人

管理人のUCHI(うち)といいます。 公立幼稚園、幼保園、大学の附属で働いていた元幼稚園教諭。 現在、島根保育塾代表。仕事を効率化するだけなら簡単です。しかし、保育の質を落とさず(むしろ上げながら)効率化することは、現場を経験した人間でないと、なかなか上手くできません。「保育の質を上げる」「労働時間の短縮」これを両立させるための記事を書いていきます。あなたの園に合わせた方法を知りたい人は、お問い合わせくださいね。