【EQ教育?非認知能力?社会情動的スキル?】難しい言葉を使わなくても「子どもの心と身体を育てる」でOKな話

近年、「EQ教育」や「非認知能力」など、難しそうな言葉が注目されているようです。オススメされても、「どう違うの?」「結局どれがいいの?」と思われる方も多いのではないでしょうか。違いを説明しているサイトを見てもよく分からなかったりしますよね。この記事では、そこら辺を全部スッキリさせますね。

EQと非認知能力の違い

「EQ教育」という言葉は、ここ数年で聞くようになったと感じますが、「EQ」という言葉は1995年に出版された「EQ こころの知能指数」という本が世界でベストセラーになったことで広がりました(日本では1996年に出版)。著者は心理学博士のダニエル・ゴールマンです。もう30年近く前から言われていることなんですよ。

この本の中では、「むしろ人生に大きな差をつけるのは、IQより感情をコントロールする自制心や他者に共感し協調する能力である」とされています。これがEQです。「感情と向き合う力」とすると具体的にイメージしやすいかもしれませんね。

EQ・・・自制心、共感力

「非認知能力」という言葉は、経済学者のヘックマンの著書『幼児教育の経済学(邦訳)』に登場します。名付けたのは経済学者なんです。ペリー就学前プログラムという実験で有名な人ですね。経済学者の人が名付けた言葉なんですけど、これに関連して多くの研究がなされています。

名付けたヘックマンは、…到達度テスト(認知テスト)では測れない、意欲や長期計画を実行する能力、他人と協働するのに必要な社会的・感情的制御という「非認知能力」を伸ばす教育が重要である…というように言っているみたいです。この記事では、ヘックマンが言っていることを借ります。

非認知能力・・・意欲や長期計画を実行する能力、他人と協働するのに必要な社会的・感情的制御

ちょっと驚くようなことかもしれませんが、非認知能力には詳細な定義は無いようです。ですので、ところにより、「非認知能力」として取り上げられている力は様々です。リンク先のサイトでは、比較的多くの例が取り上げられていました。
https://schoo.jp/matome/article/1645

対人スキル

  • 協調性
  • 統率力
  • 柔軟性
  • 共感力
  • 傾聴力

対自己スキル

  • 道徳心
  • 倫理観
  • 探究心
  • 自己肯定感
  • 自立性

対課題スキル

  • 実行力
  • 時間管理能力
  • 批判的能力
  • 分析力
  • 論理的思考力

これらはあくまでも1例です。

ザックリまとめると、

EQは、感情と向き合う様々な力
非認知能力は、テストで測ることができない様々な力

こんな風に考えると分かりやすいかと思います。

社会情動的スキルとは

実は、「非認知能力」という言葉は誤解を生む…という話があります。
なぜ誤解を生むかの詳しい話は、リンク先のサイトで大学の先生がしています。
「非認知能力」という名称の流行が生んでしまった“誤解”と“困った副作用”

私はこの記事の上の方で、ヘックマンの言葉を借りて、「非認知能力・・・意欲や長期計画を実行する能力、他人と協働するのに必要な社会的・感情的制御」とお伝えしました。しかし、これに「非認知能力」という名前がついていると誤解を生むという話です。

ヘックマンは学業の能力(彼のいう認知能力)と社会情動性の能力(彼のいう非認知能力)の両立を重視したはずですが、教育者の間では「非認知能力」あるいは「非認知スキル(Non-cognitive skills)」という名称のみが流行語になり、両者のバランスは崩れていきました

引用:「非認知能力」という名称の流行が生んでしまった“誤解”と“困った副作用”

ヘックマンは「非認知能力」という名前をつけましたが、社会情動性の能力なんですよね。OECD(2018)は、次のように位置づけています。

社会情動的スキル・・・a)一貫した思考・感情・行動のパターンに発現し,b)フォーマルまたはインフォーマルな学習体験によって発達させることができ,c)個人の一生を通じて社会経済的成果に重要な影響を与えるような個人の能力

実際の保育でどうするか

さて、「非認知能力が大事」とか、「EQ教育を取り入れて」などと言われている中、実際の保育はどうしていったら良いのでしょうか。簡単に言うと、「保育指針や幼稚園教育要領に沿った保育をすれば良い」です。

保育の世界では、以前から、すでに非認知能力を大事にした保育がなされ、EQ教育は取り入れられています。「非認知能力」とか「EQ教育」と呼んでないだけです。

平成27年度に、文部科学省の「幼児期の非認知的な能力の発達をとらえる研究」で、全国の附属幼稚園の事例がまとめられています(3歳から小学校低学年までの事例がいくつも載っています)。これらは、「非認知能力を育むためにこうしました」ではありません。幼稚園教育要領に沿った普段の保育なんですよ。興味ある人は検索してみてください(文部科学省の許可が必要なので、ここでは引用しません)。

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保育塾代表
2人の娘の父親
公立幼稚園・幼保園・大学の附属幼稚園で勤務の後、保育塾を立ち上げる。
ラッパ吹き。小学生を中心に、20年以上いろんなバンドを指導しています。

保育士・幼稚園教諭のみなさんが、ほんの少しだけ余裕をもって仕事ができたら、プラスの循環が生まれます。

ほんの少しだけ余裕をもって仕事ができたら、ほんの少しだけ子どもが落ち着いて、そうするとまた、ほんの少しだけ余裕ができて、効率良く仕事ができる方法を調べたりして・・・

そんなプラスの循環の始めの一歩、小さな余裕を生み出すお手伝いをしています。あなたが読んだこの記事が、そんな始めの一歩になったら嬉しいです。

ABOUTこの記事をかいた人

管理人のUCHI(うち)といいます。 公立幼稚園、幼保園、大学の附属で働いていた元幼稚園教諭。 現在、島根保育塾代表。仕事を効率化するだけなら簡単です。しかし、保育の質を落とさず(むしろ上げながら)効率化することは、現場を経験した人間でないと、なかなか上手くできません。「保育の質を上げる」「労働時間の短縮」これを両立させるための記事を書いていきます。あなたの園に合わせた方法を知りたい人は、お問い合わせくださいね。