5領域のねらいと自分が書いた記録を見比べて記録に線をひき「人間関係②」などと書いてみよう

あなたは、実際の子どもの姿が、5領域の「ねらい及び内容」とどのようにつながっているか考えたことがありますか?自分で書いた記録に線を引いて考えると、5領域の「ねらい及び内容」とのつながりが分かるようになってきます。こちらは保育塾のメルマガ「保育塾ベーシック」の試し読みとしての記事ですので、メルマガ風の文章でお伝えします。

前回の振り返り

それでは、保育塾ベーシックの第11回目を開始しましょう。

第10回目では、

  • 記録した子どもの姿について、ザックリとでいいので、「5領域のどれにあたるか」を考えること
  • できる分だけでいいので、どれだけつたなかったとしても、何かに書き出してみること

をオススメしました。

やってみましたか?
最初は上手くいかなくてもいいんです。
上手くいかないな・・・と落ち込むこともありません。


以前、ある大学で「実習の記録をどのように書くか」という講義をしました。写真を見せながら「この写真の中の子ども達は、何を学んでいると思いますか?」という質問をしたところ・・・3人組のグループで相談して、答えが3つ出てくれば多い方でした。でも、ほんの1ヶ月後、実習が終わる頃には、みんな実習前とは全く違う姿になります。

「今までにしたことがない」というものは、できなくて当然です。だから、できなくても落ち込むことはありません。少しずつできるようになればいいです。

前回出された課題

それでは、第10回目の課題を考えていきたいと思います。

第10回目は・・・

☆記録を引っ張り出して線を引き、「人間関係②」などと書いてみましょう。できれば、そう書いた理由も考えてみましょう。

ヒント
ある部分に線を引いて、「人間関係②と書いたのはなぜだろう?」と考えても、おそらく考えにくいです。
「なぜ人間関係①ではなくて、人間関係②と書いたのだろう?①と②の違いは何なのだろう?」と考えてみてはいかがでしょうか。

という課題でした。

ただし、注意して頂きたいことがあります。

全部やるとキリがないので、1つか2つの場面で十分です。たくさんの場面でなくてもいいので、深く考えると、自然と他の場面についても深く考えることができるようになってきます。

「書きやすいものはどれかな」などと思ってしまうと、選ぶだけで時間がかかります。最初に目についたもので考えてみましょう。

記録をするときに、5領域のことを考えるのはやめましょう。そんなことを考えていたら、何も書けなくなります。記録は見たままを書いてください。

足に砂をかけられて反応する子どもの姿を1歳以上3歳未満児の「ねらい及び内容」と照らし合わせる

この課題も、前回や前々回と同じように、あなたの記録にピッタリ合った具体的な例を書くことはできません。ですので、「こんな風に考えていくやり方もあるんだ」ということを受け取っていただければと思います。

今回も、3歳未満児について、前回使用した記録を基に考えてみます。

※記録に出てくる子どもの名前、姿はフィクションです。

はるき あん  砂場の枠に並んで座る。保育者が足に砂をかけると、声をあげて喜ぶ。

はるき  砂をかけられても動かない。
あん  砂をかけられるとすぐに足を砂から抜く。→またかけられるのを待つ。少し間が空くと、手で自分の足元を叩いて催促する。

いつき  自分から近寄ってきて、あんの隣に座る。同じく声をあげて喜ぶ。

みなと あおい  「おいで」の声かけで、はるきの隣に並んで座る。みなとは足に砂をかけられると、驚いて立ち上がる。

記録はこんな風に書きましょう・・・ということではありませんからね。

自分に分かりやすい記録であれば、どのような形でもいいと思います。

この姿を、今回は5領域の人間関係の「ねらい」と比べてみますね。

人間関係のねらい

人との関わりに関する領域「人間関係」
① 保育所での生活を楽しみ、身近な人と関わる心地よさを感じる。
② 周囲の子ども等への興味や関心が高まり、関わりをもとうとする。
③ 保育所の生活の仕方に慣れ、きまりの大切さに気付く。

「③ 保育所の生活の仕方に慣れ、きまりの大切さに気付く。」
これは、人と一緒に過ごしていくためのきまりですね。

簡単に書いてみると

はるき あん  砂場の枠に並んで座る。保育者が足に砂をかけると、声をあげて喜ぶ。(人間関係①)

はるき  砂をかけられても動かない。
あん  砂をかけられるとすぐに足を砂から抜く。→またかけられるのを待つ(人間関係③)。少し間が空くと、手で自分の足元を叩いて催促する(人間関係②)。

いつき  自分から近寄ってきて、あんの隣に座る(人間関係②③)。同じく声をあげて喜ぶ。

みなと あおい  「おいで」の声かけで、はるきの隣に並んで座る(人間関係②③)。みなとは足に砂をかけられると、驚いて立ち上がる。

なぜそれを選んで書いたのかという理由もつけると

はるき あん  砂場の枠に並んで座る。保育者が足に砂をかけると、声をあげて喜ぶ。(人間関係①保育所での生活を楽しみ、身近な人と関わる心地よさを感じる。)。
「同じように声をあげる」というのがポイントです。ただ同じ体験をするだけではなく、それに対して同じような反応をしています。共感してるんです。


あん  またかけられるのを待つ(人間関係③保育所の生活の仕方に慣れ、きまりの大切さに気付く)。
人と関わる上での「きまり」が分っています。分っているから待っています。


あん  少し間が空くと、手で自分の足元を叩いて催促する(人間関係②周囲の子ども等への興味や関心が高まり、関わりをもとうとする。)
「周囲の子ども等」の「等」の部分、先生との関わりをもとうとしています。


いつき  自分から近寄ってきて、あんの隣に座る(人間関係②周囲の子ども等への興味や関心が高まり、関わりをもとうとする。③保育所の生活の仕方に慣れ、きまりの大切さに気付く)。同じく声をあげて喜ぶ。
いつきは、はるき、あんがしている遊びを見付け、楽しそうだと思って自分から近寄っています。周囲の子ども等への興味や関心が高まっている姿です。あんの隣に座ったのは、自分がどこに座ればよいか、分っているからです。


みなと あおい  「おいで」の声かけで、はるきの隣に並んで座る(人間関係②③)。
自分からではないですが、いつきと同じく、側に来て座っています。興味や関心が高まっている姿です。自分がどこに座ればよいかも分っています。



いかがでしたか?

あまり詳しく書きすぎても、重荷になってしまうので、今回はサラッと書いてしまいました。

今回の課題

それでは第11回目の課題です。

☆乳児保育に関わるねらい及び内容の視点について、次の◯◯に当てはまる言葉を調べてみましょう。

ア◯◯的発達に関する視点「健やかに伸び伸びと育つ」
イ◯◯的発達に関する視点「身近な人と気持ちが通じ合う」
ウ◯◯的発達に関する視点「身近なものと関わり感性が育つ」

ポイント
知らない人、忘れてしまった人は、まず予想してみてください。クイズみたいに楽しんでしまいましょう。

本を持っていなくても、ネットで調べることができます。

どこに書いてあるか、前から順番に読んで・・・ということはしないでくださいね。ある意味、今回1番大事なのはこれです。

今回は、これまでと趣向が違います。ですが、制限時間10分は変わりません。10分だけ集中して、予想をし、調べてみましょう。できるのであれば、5分でも3分でもかまいません。「仕事をできるだけ短く終わらせる楽しさ」を感じられるようになってほしいです。


ここまでが、保育塾ベーシックの第11回目の内容です。
第1回から、ずっと砂場の遊びについて考えています。「子どもをどう見取るか」ということを20回ほど、記録についても20回ほど、その後、ねらい及び内容、援助、要録と、それぞれ20回に分け、3日に1度メルマガでお届けしています。無料です。
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第6回についても試し読みができるようにしています。
砂場での並行遊びを1歳以上3歳未満児の「ねらい及び内容」と照らし合わせると5領域の全てとつながっている話

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保育塾代表
2人の娘の父親
公立幼稚園・幼保園・大学の附属幼稚園で勤務の後、保育塾を立ち上げる。
ラッパ吹き。小学生を中心に、20年以上いろんなバンドを指導しています。

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ほんの少しだけ余裕をもって仕事ができたら、ほんの少しだけ子どもが落ち着いて、そうするとまた、ほんの少しだけ余裕ができて、効率良く仕事ができる方法を調べたりして・・・

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ABOUTこの記事をかいた人

管理人のUCHI(うち)といいます。 公立幼稚園、幼保園、大学の附属で働いていた元幼稚園教諭。 現在、島根保育塾代表。仕事を効率化するだけなら簡単です。しかし、保育の質を落とさず(むしろ上げながら)効率化することは、現場を経験した人間でないと、なかなか上手くできません。「保育の質を上げる」「労働時間の短縮」これを両立させるための記事を書いていきます。あなたの園に合わせた方法を知りたい人は、お問い合わせくださいね。