あなたは「どうせ何やっても無駄」「頑張っても意味が無い」というように感じたことはありませんか?理不尽な上司に何を言っても通じない。いくら良い仕事をしても給料は上がらない。そのような状況で働いていると、頑張ろうとする気力も無くなっていきます。これは学習性無力感と呼ばれるものです。子どもでも同じように感じてしまうことがあるんですよね。そうならない方法をちょっと考えてみましょう。
学習性無力感とは
学習性無力感とは、「ストレスに対して抵抗することや回避することができない状況が長い間続くと、そのストレスから逃れようとする行動を起こさなくなってしまう現象」のことを言います。
アメリカの心理学者によって発表されたものです。
学習性無力感の実験
昔、こんな実験が行われたそうです。
- まず、Aの部屋とBの部屋に1匹ずつ犬を入れる
- 犬に電気ショックを与える
- Aの部屋はスイッチを押すと電気が止まり、Bの部屋は何をしても電気は止まらない
- Aの部屋の犬はスイッチを押すようになった
- Bの部屋の犬はやがて何もしなくなり床にうずくまったままになった
さらに実験は続きます。
- 先ほどの犬を、跳び越えられる高さの柵の中に入れる
- 犬に電気ショックを与える
- Aの部屋にいた犬は、すぐに柵を跳び越えて逃げた
- Bの部屋にいた犬は、何もしなかった
Bの部屋にいた犬は「何をしても無駄だ」ということを学んでしまったのです。
学習性無力感が現れない場合と現れる場合
別の実験もあります。2つのグループに数学の問題を解いてもらうのですが、片方のグループには答えも解説も無いものを与えるのです。そのとき、必ずしも学習性無力感が現れることはなく、積極性が見られたとのこと。これは一体どういうことなんでしょう?
それは、「いろいろな方法を試すと数学の問題は解くことができる」ということを知っているからですよね。これまでの経験から、頑張ればなんとかなるということを学んでいると状況は変わるようです。
反対に、
- 繰り返しの否定
- 明確なフィードバックが無い(無関心)
これらが行われると、「頑張ればなんとかなる」とは真逆になっていきます。
何をやっても否定されるのであれば「この上司に何を言っても無駄だ」となりますし、仕事を丸投げされて何も言われなければ、「何をやっても同じことだ」となってしまいます。そして、ミスがあったときだけ叱責されると、そのうち「怒られないために働く」という働き方になっていきます。
子どもだとどうなるか
学習性無力感について、子どもの場合はどうなるでしょう?
1番最初に思い浮かぶのは漢字の宿題です。子どもによっては何時間もかけてやった宿題のほとんど全部を直されてしまいます。
毎回否定され続けると、学習性無力感に陥ってしまいます。しかも、「どうせ何やっても無駄」は違う場面でも現れてしまうのです。大人の「怒られないために働く」と同様に「怒られないために勉強する」となってしまいます。主体性をもって学習するとは真逆ですよね。
もっと小さい子どもだとどうでしょう?
幼児の場合、学習性無力感が現れることはあまりありません。否定をされませんから。ただ、「できる・できない」で子どもを見る人がたくさんいることも事実です。あまり「できること」を小さい子どもに求めすぎると、そのうち「怒られないために何もやらない」につながってしまうかもしれません。何もやらなかったら「静かにしなさい」と言われることもありませんから。
学習性無力感を克服するには
学習性無力感を克服するには、主に次の事があげられます。
できる経験をする
できる経験は、「何をやっても無駄」の反対です。どんな小さなステップでも良いので、「何かをしたら少しでも変わった」という経験ができるようにしましょう。
他のことで認められる
できないことは何をやってもできません。ということは誰しもあるものです。できないことはできないままでも大丈夫です。他のことに目を向けましょう。苦手なことができなくても、得意なことができればそれで良いんです。
とにかく肯定される
そもそも「できる・できない」で評価することから離れてみましょう。「そのままのあなたでいいんだよ」ということを言われている人は、学習性無力感とは縁遠い生活をしています。
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保育塾代表
2人の娘の父親
公立幼稚園・幼保園・大学の附属幼稚園で勤務の後、保育塾を立ち上げる。
ラッパ吹き。小学生を中心に、20年以上いろんなバンドを指導しています。保育士・幼稚園教諭のみなさんが、ほんの少しだけ余裕をもって仕事ができたら、プラスの循環が生まれます。
ほんの少しだけ余裕をもって仕事ができたら、ほんの少しだけ子どもが落ち着いて、そうするとまた、ほんの少しだけ余裕ができて、効率良く仕事ができる方法を調べたりして・・・
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